モーリス・ベジャール・バレエ団 2010年日本公演

2021年6月20日


とうとう最終日のベジャール公演。
客席は(特に1階席)ほとんど立って拍手してたし、紙吹雪と「SAYONARA」の文字。
心あたたまる最終日でした。
きっとまた会えるのね、という余韻を残して・・・。

本当に感動の舞台でした。

プログラムのデザインがとても素敵なのです。
ダンサーが宙に浮いている、まるで無重力な感覚。宇宙的なものを感じさせるのです。

演目は
「3人のソナタ」
「火の鳥」
「メフィスト・ワルツ」
「アリア」
でした。

「メフィスト・ワルツ」は、急きょジル・ロマンの意向で特別プレゼントとして追加上演となったもの。
伝統と、そして革新といった感じですね。

以前読んだ記事で、ジル・ロマンの言葉に、前半2本に「ベジャールの作劇法すべてが収まっている」というのがあったので、そういう意味で対比をねらった構成なのだろうと思いました。

「アリア」は、以前映画でリハーサルを観ていて、完成品を観るのを心から楽しみにしていました。

「われわれはベジャール作品の保護団体ではない。新しいアプローチをしていく」
というロマンの言葉のとおりだったなあと思いました。

専門的なことはよくわからないけど、すごく「新しい」と感じました。
そして、ずーっと、心は舞台に引き込まれて、我を忘れて観ていた、という感じでした。
今までのベジャール作品は、男性ダンサーメインのところがあって、それがすごく古典バレエと違う魅力があって好きでした。
ロマンの振り付けも、もちろんそうした今までの男性ダンサー達の魅力をじゅうぶん見せてくれながら、女性の魅力、つまり女性の持つセクシーさやなめらかでやわらかい美しさ、といった部分も引き出して見せていました。

この作品はギリシア神話のテセウスの物語から着想していて、そこに”今”という現代的なスパイスをきかせた、ビジュアル的にもスタイリッシュな仕上がり。

善と悪、光と闇、官能、暴力、愛、自己破壊と再生・・・。
本当に様々な要素がぎっしり詰まった作品でした。
ジュリアン・ファブローの魂のこもった踊りにとても感動しました。
まだ新作だから、これから踊り込んでいくことで、さらに作品の奥行きが増すのでは、と思われる、希望に満ちていました。

バッハのピアノ、ゴルドベルグはやはりグールド演奏かな・・・と思いました。

大いにインスピレーションを受ける舞台。私にとって必要なものなのです。

モレシャンさんがいらしてました。ベジャール公演では必ずお会いしますね。
黒のパンツにゴールドの靴、さすがにオシャレでした。


すでに新作「アリア」のDVDが発売になっていました。
ジャケットの写真を観て思わず、「これを使ったのか~!」と。
この場面はとてもバイオレンスなイメージのところで、緊迫感があふれているんですね。
そういう雰囲気の中で、赤い衣装がストレッチ素材で、びよ~んと伸びるのがちょっとばかりユーモラスな感じで面白かったのです。
この赤はとても印象的に使われていました。