『マトリックス・レザレクションズ』感想
マトリックス レザレクションズの作品情報
時間:148分
原題:The Matrix Resurrections
製作:2021年アメリカ
監督:ラナ・ウォシャウスキー
脚本:アレクサンダー・ヘモン、デイヴィッド・ミッチェル、ラナ・ウォシャウスキー
撮影:ダニエル・マッサーセシ、ジョン・トール
音楽:ジョニー・クリメック、トム・ティクヴァ
キャスト:
キアヌ・リーブス(小山力也)
キャリー=アン・モス(日野由利加)
ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世(諏訪部順一)
ジェシカ・ヘンウィック(内田真礼)
ジョナサン・グロフ(中村悠一)
ニール・パトリック・ハリス(津田健次郎)
プリヤンカー・チョープラー・ジョナス(水樹奈々)
ジェイダ・ピンケット・スミス(本田貴子)
トビー・オンウメール(小野大輔)
ブライアン・J・スミス(武内駿輔)
クリスティーナ・リッチ(柴咲コウ)
ランベール・ウィルソン(江原正士)
予告編
マトリックス レザレクションズのあらすじ
トーマス・アンダーソン(キアヌ・リーブス)は、ゲームクリエイターとして3部作のゲーム「マトリックス」を作り、世の中を席巻していた。しかし彼は、夢と現実の境界が曖昧になる症状や度々生じる既視感に悩まされていた。
カウンセラーから処方され毎日欠かさず服用していたのはブルーピル。
社内では新作「マトリックス4」の企画が持ち上がり、その制作に追われる日々。
そんな中、彼は自身が作ったゲームのキャラクター、モーフィアスと遭遇する。
さらにティファニー(キャリー・アン・モス)という名のトリニティーそっくりの女性とカフェで出会うが、二人とも過去の記憶を無くしている。
トーマスにとっての現実とは何なのか、そして事実とは?
マトリックス レザレクションズを観る前に復習しておく
私はマトリックス過去3作品「マトリックス」「マトリックス リローテッド」「マトリックス レボリューションズ」のブルーレイ3作セットを所有しているので、今回のマトリックス レザレクションズを劇場に観にいく前に、予習として全てを観直しました。
大好きな作品なので、今まで何回となく観ている作品だけど、最後に観たのが数年前という…いつだったか記憶が定かではない。
観直してみると、覚えているところと忘れているところとあって、「あれーここのシーンてこんなんだったっけ」みたいなことも多々あったので、つくづく観直しておいて良かったです。
というわけでしっかりと復習をしてから映画館へ。
ちなみに、COVID-19パンデミックの影響で公開が2022年4月1日まで延期されたのですが、2020年10月5日には約四か月前倒しして新たな全米公開日は2021年12月22日となり、さらに日本では世界最速の2021年12月17日の公開に!という、ごちゃごちゃなスケジュールでした。
いやーはやー、もう楽しいのなんのって!!!
なにしろいきなりキアヌがロン毛&髭スタイルで登場でしょう、意味もなくワクワクしてしまいますね。
でもあの風貌はまるでジョンウイックですよね。笑
しかし4作目の話を聞いた時、「え、3で完結してたんじゃないの?」
と思って、いったいどっからどういう話が始まっていくのか、全く想像できませんでした。
ところが!
そっからそうやって始まるのかー!
となりました。
冒頭から監督に敬服!
最初から最後まで、意外性と、新鮮な驚きと、そして懐かしさと、慣れ親しんだ旧友と昔話をするかのような素敵な共感性!
押井監督の言葉を借りるなら、快感原則が戻ってきた!という感じでした。
次々と展開してくシーンにワクワクしっぱなし。
そうきたかーーー!!!
の連続。
やってくれますねえ。
それにしてもつくづく思うけど、この複雑な世界観を実に分かりやすく面白く作っているなあと。
私は過去3作品見ていたからこそ楽しめた部分が本当に大きかったと思えるけど、もしかしてこれいきなり4作目から観た人もいるのかなあ?
それでも単品として結構楽しめるかもしれないですね。本当にわかりやすくよく作られているから、感心してしまいます。
マトリックス レザレクションズは笑えるシーンが満載♪
そんで結構、笑わせてくれるシーンが満載で、なんかもう完全にファンサービスですよね♪
色々とひねりを効かせたギャグ突っ込んでくれるし、なにこれコメディ作品か?って思ってしまったくらいですよ。
私が特に気に入っているのは、キアヌが頭にラバーダック乗せて浴槽に浸かってるシーン♪
1作目からずっと重要なアイテムだったアナログ電話は、レザレクションズではさすがにスマホになりましたねー笑
モーフィアス登場シーンも、笑わせてくれますし、スミスにしても「ああ!そういうかたちで登場させるのか!」って、思わずニヤリとしますね。
マトリックスレザレクションズにおける新しい概念
今回から新しく追加された、新たな概念がいくつかあり、そのどれもが、なるほどなーといういちいちうなづいてしまうものばかりでした。
本当にこのマトリックスの世界っていうのは、ドンドン新しいものを盛り込んでくるにも関わらず、スンナリと微塵の抵抗感もなく受け入れられてしまう所が素晴らしいと思うのです。
特に予習しておく必要は全くないけど、上にも書いたように、マトリックスの世界で重要なアイテムだったアナログ電話は、今回からスマホに変更されています。
あの「ジリリーン!!!」って鳴って、電話の所まで行かなきゃならないっていう緊迫感が作品を盛り上げていたよなあと懐かしんでいますが、しかしやはりもうやっぱりスマホの時代だもんねえ、そこはそうだよねえーと納得させられます。
新しい概念で面白かったのは「エクソモーフィック粒子」や「デジタル自己イメージ」「シンシエント」。ビジュアルの進化と共に、実に巧みに様々な技術を駆使して見せてくれます。
レザレクションズの色使いはとてもカラフル、そしてヴィヴィッドで、お馴染みのレッドピルとブルーピルもメタリックカラー仕上げ。キラッとしていてゴージャス。これは映像の進化を物語っていますねー。
マトリックス レザレクションズの脇役たち
チャド・スタエルスキ
トリニティー(ティファニー)の夫、チャド。
「ジョンウイック」シリーズの監督であり、「マトリックス」
シリーズでのキアヌのスタントダブルも担当。えーとつまりこれは、「もう一人のキアヌ」が夫役を劇中で担当していたというシャレですね。
キアヌの風貌もなんかジョンウイックっぽいし。
3作目まで登場していたキャラクターが出てくるのだけど、演じる俳優は変更されている人が数名います。年齢とか色々な事情があったりもするんだろうけど、もっと大きい理由は、設定の変更。レザレクションズでの設定は、3作目までと比較すると独特なものがあります。
モーフィアス役は、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世。かなり若返った印象で、ファンキーな性格。
スミス役はジョナサン・グロフ。なぜか?トーマス・アンダーソンのビジネスパートナーになっています。3作目までのクールな印象とは違い、人懐っこくて経営者の素質があります。
コミュ症のアンダーソンをうまくフォローしている。
ヒューゴ・ウィービングの印象が強烈に残像のように残っていたけれど、ジョナサン・グロフのスミスも違和感なく観れた。
アナリスト役はニール・パトリック・スミス。鮮やかなブルーの眼鏡をかけているのだけど、この青色がブルーピルの色と同色なのが心憎い演出。ニールも悪役っぷりがすっかり板についている感じ。彼の悪役で思い出すのが「ゴーン・ガール」。あの時の悪役イメージと今回で、もう次からニールが何かで出てきたら「こいつ悪役だな」って思ってしまいそう。
マトリックス レザレクションズのウォシャウスキー監督
ウォシャウスキー監督兄弟は、性転換手術により女性になったと聞いてましたが、2人ともだったと、最近になって知りました。
で、兄弟が姉妹になったのでウォシャウスキー姉妹監督という呼ばれ方にいつの間にかなっていました!
ラリー&アンディ・ウォシャウスキー兄弟監督だったのが、ラナ&リリー・ウォシャウスキー姉妹監督になったのです。
今回の「マトリックス レザレクションズ」は、ラナ・ウォシャウスキー監督の単独作品になっています。
女性監督としての目線なのか、すごくトリニティーにスポットライトが当たっている印象が強かったです。
これについては複数の人達が言っているけれども、監督が「女性」である、ということと関連していて、つまり監督自身の投影でもあるのだということです。意図的に彼女を強調しているんですね。
マトリックスレザレクションズとQ-anonとの関連性
「Qanon」の件で、政治的に利用されてしまったことに、監督は怒りを感じていたようです。クリエイターとしては、確かになあー、そう感じることが当然だと思う。
とはいえ、このような世界的に拡がったQムーブメントには物凄いエネルギーを感じているし、だからこそマトリックスのイメージが象徴的に取り上げられていったのも、やはり想像を絶するほどのパワーが作品にあるからこそなのだと思うのです。
※Qのトレイラーだけでも、一見の価値ありです。「マトリックス」に登場したものたちが、次々と出てきます。白ウサギ、レッドピル、…。
U-NEXTで視聴できます。
私も全編観ましたが大変面白かった。吹き替えナレーションが井上和彦さん‼︎です!
マトリックス レザレクションズは覚醒のための映画である
白いウサギは、1作目からの重要キーワードだったんですが、なんと4作目の本作でも登場します。
ネオは再び、というか新たな、かな。。。覚醒の旅を始めることになるのです。
自分の人生は自分で取り戻す!っていうことかな。
「人生は選択の連続である」シェイクスピアの名言です。
思い起こせば1作目の「マトリックス」の始めの方で、会社の上司に、ネオは選択を迫られる。
「真面目に働くか、会社をやめるか」
そこから物語が始まっていくんですね。
そして、モーフィアスに、「真実を知るなら赤いピルを、元の生活に戻るなら青いピルを」という選択を迫られるのでしたね。
「リベリオン」も、私は大好きな作品ですが、「マトリックスレザレクションズ」は本当に革命の象徴となったのではないだろうか。
マトリックス レザレクションズが影響を受けまくっているのは「攻殻機動隊」
監督自らが、「攻殻機動隊」の影響を受けたことを公言しているそうです。
劇場用プログラムで、押井守監督が本作について熱く語っておられました。
やはりクリエイター視点はすごくタメになりますねえ。
押井監督は、「いつの間にか「攻殻機動隊」から「ドラゴンボール」に変わってるんだよ(笑)」と解説。空中でバトルするシーンは、「ドラゴンボール」の引用ということです。
マトリックス レザレクションズの小ネタ話
ところで字幕版翻訳担当は林完治さん♪そうこなくっちゃね!やっぱり最高ですw
音楽担当にトム・ティクヴァ監督の名前を発見。『クラウド・アトラス』で監督されていたのでつながっているんですねー。それにしても映画監督だと思っていたので音楽担当もされるとは驚きました。『ラン・ローラ・ラン』や『パフューム』も好きな作品でした。
特別版劇場用プログラム
キラキラ豪華なメタリックカラーです!
中身も豪華。
劇場のカウンターで店員さんに「通常版と特別版とどっちになさいますか?」って聞かれて…
そりゃあ、特別版に決まってますよね。
押井監督の何ページにも及ぶコメントや、ライターの方々の詳細解説など、かなりの読み応え。
押井監督は、日本の映画人は、「今回の『マトリックス』を観て、顔を洗って出直せばどうかと言いたいくらい(笑)」と語っておられます。
実はBDセットが発売される以前に、すでに所有していたDVD-BOX♪
やっぱりいいですよねーこのパッケージデザイン。マトリックス!って感じ。
なのでBDセットがあるけど手放せないでいる。。。(^ ^;)
マトリックスレザレクションズ鑑賞記念に、キアヌ・リーヴスを描いてみました♪
マトリックス レザレクションズの関連作品
『マトリックス レザレクションズ』
▶AmazonPrimeで見る(字幕版)
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『マトリックス1~3』
BD3作品セット
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U-NEXTで見る▶
『アニマトリックス』
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『攻殻機動隊』といえばこれ!
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ウォシャウスキー監督といえば、こちらも超おすすめです!
『クラウドアトラス』
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U-NEXTで見る▶
『センス8』
SFドラマ。ウォシャウスキー監督の初ドラマ作品。▶NetFlixで配信中!
「クラウドアトラス」原作者のデイビッド・ミッチェルと、「センス8」の原案者アレクサンダル・ヘモンの2人は、「マトリックス・レザレクションズ」で共同脚本を務めています。
監督は違うけど、覚醒の映画として素晴らしいです。「マトリックス」の影響をかなり受けているよう。
『リベリオン』
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最近のキアヌと言えばこれ!
『ジョン・ウィック』1-3
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