映画『春の惑い』感想

『春の惑い』作品情報

 時間:116分
 原題:小城之春
 製作:2002年中国
 監督:田壮壮
 脚本:阿城
 撮影:李屏賓
 音楽:趙李
 衣装:葉錦添
 キャスト:
フー・ジンファン
ウー・ジュン
シン・バイチン
ルウ・スースー
イエ・シャオカン

『春の惑い』あらすじ

1946年。中国・蘇州。
病弱な夫と美しい妻。冷めきった夫婦の元へ、夫の旧友が十年ぶりに訪ねてくる。
しかし彼は、妻の初恋の人だった……。

『春の惑い』感想


中国の古典映画『小城之春』リメイク作品。
オリジナル版は、1948年に発表された、フェイ・ムー監督の『小城之春』。ロケ地は、チャン・イーモウ監督の『上海ルージュ』でも撮影場所になった、景勝地・蘇州西南東山鎮太湖のほとりにある小さな街。
2002年ヴェネチア国際映画祭コントロコレンテ部門のグランプリ受賞作。

静かな昭和中国の美しい田舎風景

戦後のレトロな中国文化がとても素敵です。とてもきれいな映像作品でした。
街は空襲でボロボロなのですが、奇跡的に残った館で暮らす夫婦。
クラシックな家の様子、レトロなランプシェードや格子扉など、少し前の中国文化を楽しめます。
古い家は、メインの部屋の周囲に回廊があるんですよね。さらに中庭があるという。

上海から来た旧友は、麻のベストとジャケットで、垢抜けた風貌。
医者なのでお金持ちなのでしょう。

風景がとても美しいです。
中国の、長閑で美しい部分。
蘇州は広い川が流れているのですが、そこを歌いながらボートで行くところとか。
あんな小さいボートに立ち乗りして大丈夫なのか……?

城壁はものすごく古そう。
街を壁で囲んであるんですね。

派手な演出は一切無く、全てが控えめ。セリフも少ないので、それも舞台っぽく思えます。
俳優さんたちも、舞台俳優が揃っているとか。納得です。

控えめな映像で魅せる細やかな心理描写


カメラがずっと遠め。まるで舞台を見ているような。
顔のアップとか一切ありません。
でも遠すぎない。絶妙なシーンが静かに続いていきます。

パッケージのあらすじに妻の「初恋の人」って書いてあるから、てっきり片想いだったのかと思いきや、がっつり付き合っていた様子。
じゃあ「元彼」じゃん!
元彼と初恋の人とでは、意味合いが違ってきますよ。
「初恋の人で元彼」だとさらに違いますよ。(細かい)
なんで結婚しなかった!?
しかしこの作品、ドロドロはしていないんですね。

ラストシーンの捉え方も、人それぞれなんだろうな……と思います。
美しいのか、おぞましいのか……私は前向きに解釈したいなあ。