トランスアメリカ

人生は旅。
なりたい自分になるためには、痛みと苦しみが伴います。
でも、その旅を終えたとき、人は何十倍もやさしく、そして強くなれるのです。
これは、特別な人たちの特別な物語ではありません。
あなた自身の物語でもあるのです・・・。

・・・と、パンフから引用しました。
本来の自分を見つけて、そしてなりたかった自分になるって、自然なはずなのに、なぜだか大変なんですよね。
でも、少しの勇気があれば。
きっとそれはかなうのです。
だって、それは誰でも必ず自分自身の中に持っているものだから。

ダンカン・タッカー監督は、初長編映画で、低予算作品ですが、とっても良い作品です。
まず、テーマがいいですね。本質にせまってるとこ。
あとセリフや演出なども、とてもきめ細かく行き届いて素晴しいと思いました。
今後も要注目の監督ですね~♪楽しみです。

この作品のあちらこちらにチラチラと見え隠れする、”ファンタジー的要素”が、とってもツボでした。
トビー(ケヴィン・ゼガーズ)が着てるTシャツは魔法使いなのです。
彼のセリフにも「ロード・オブ・ザ・リング」が出てきたり、アラゴルンらしき(?)フィギュアを持っていたり。
おサルのぬいぐるみもかわいいし、それに旅の途中で彼に授けられる”勇者の帽子”って、すごく重要な意味を含んでいる気がしました。
ファンタジーって、空想の世界だけど、現実とリンクしてるところがすごくおもしろいんですよね。

この映画を観ながら、つい最近観た「プルートで朝食を」や「ブロークンフラワーズ」を思い出しました。
類似点がかなりありますね。

それにしても、ちょっと世間からはずれた親子関係の物語、すごく良かったですね。
しみじみしました。年齢の関係も近いし・・・。
子供の気持ち、親の気持ち、ってすごくよく理解できちゃって・・・なんか自分のこととリンクしちゃって、面白かったですね。
そう、子供って恐ろしいほど「本質」を見抜いているんですよね。
最近は娘ともちょっと哲学的な話ができるようになり、面白くなってきました。
勉強させてもらってます(笑)。

フェリシティ・ホフマン、ほんとに上手いです~~!!
性同一性障害の男性という実にフクザツな役を、やりすぎにならず、嫌味がなく、ほんとに自然に演じていて、すごいなーと思いました。
トランス・セクシャルというそうで、タイトルの「トランスアメリカ」にひっかけてるんですね。
ゲイとは少し意味が違うようです。
立ちションがすごすぎたわ~(@@)。
で、この、妙な保守的なファッションがおかしいです。
ピンクがかえって不気味・・・。
あと、薄い紫色が好きなようで、それがまたなんだか怪しい雰囲気なのね~(笑)。
彼女というか彼は、恥ずかしいので服は全て通販で購入している、という設定だそうです。
それで、いまいちサイズがあってない、とか(笑)。
この、保守的なファッションに、彼女の心の解放されていない部分が反映されているようで・・・。
ケヴィン・ゼガーズ息子役のケヴィン・ゼガーズ。
超~~美形です。
傷ついて、愛と真実を探す少年を好演しておりました。
どのように成長されるのか、楽しみです。

そうそう、ひとつひっかかったことが。
変なベジタリアンが出てくるんですよね~(- -;)
ブロークンフラワーズのときも、変なベジの夫婦出てきたし。
またか~~~?!って感じでした。なんで~~・・・
たまにはマトモなベジのキャラを出してください。お願いします(笑)。

トランスアメリカ [DVD]
フェリシティ・ハフマン (出演),‎ ケヴィン・ゼガーズ (出演),‎ ダンカン・タッカー (監督, 脚本)