傷だらけの男たち
私は映画が大好きです。
大好きなので、評価したり、批判したりすることがどうしてもできないんですよね。
でも今日はちょっとだけ愚痴っぽくなりそうです。
そう、あくまでも愚痴です。
アンドリュー・ラウ監督の作品はとても好きです。
今回の作品も、とても楽しみにしていました。
でも、なんかなあ・・・。
監督、いまいちノリが悪い気がしました。
いつもの純粋な、もの作りの心みたいな感じがどうも伝わってこないんですよね。
スターが出てるし、とりあえず大衆はそんなことで喜ぶかもしれないけど・・・。
監督の思いとは関係のない、いろんな商業的な臭いが漂っている気がして。
そうはいっても映画には大抵商業的なことが関わっているものなのだけども、
今回は不自然に強調されているシーンがやたら気になったんですね。
まるでTVドラマみたいに。
とくにあの”日本語の歌”なんか、違和感がありすぎだったし。
それでも、トニー・レオンの演技の凄さには参りました。
違和感のあるシーンにはあれれ~~っと引いてしまい、しかしトニーが出てくると、彼の演技に思わず引き込まれてしまうのです。
悪役を演じるのは初めてという記事を読みましたが、ほんとうに、あまりにも見事な悪役ぶりでした。
この↑画像のように、あまり表情を変えることなく、それでも内面の静かな怒り、恐れ、不安など、キリキリとした緊迫感があってしかも、彼の持つ独特の情緒的な雰囲気とあいまって、決して他にはない味を出していた気がします。
もちろん、いつも上手い人だなあ~とは思っていましたが、今回ほど本当に凄い人だと思ったことはなかったです。
特に終盤、彼の演技に感情を揺さぶられて、涙が出そうになったくらい凄かった。
しかし、アルマーニと思しきスーツ姿でキッチンでスープを盛り付けているトニーはいったい・・・。
ジャケットくらい脱いでもよさそうな気がしたけどな~~(変なところが気になってしまう)。
あと、「恋人の家のベッドで両手首を切ってフトンかけて死んでる女」ってどうなんだろう・・・。
しかも、その原因をあとで知ってさらに謎でしたわ。
な~んて、いろいろとツッコミどころが多く、あとで娘とか友人と大笑いしながら語ってしまったのでした。
でもこれだったら「デイジー」とか「イニシャルD」のほうが面白かったよね~っと、娘と話しておりました。
ラウ監督、次はハリウッドとか関係ないところで、自由に作りたいものを作ってほしいなあと思いました。