石の微笑
この作品は公開前から、ブノワ・マジメルが主演ということと、何となくいい作品な感じがするので、映画好きの友人たちと観たい観たいと騒いでいたんですよね。
で、やっと始まった~!と思ったら・・・
レイトショーだけ!?ってどういうことよ!?
と、かなり憤慨しておりまして、夜かア~~~どうしようかなあ~~と、張り切って前売り券を購入していたのにイ~~私はちょっと困っていました。
すると、とある新聞でベタ褒めされたとかで、午前中の上映も追加されることになり、バンザイ!!!
そしてちょうどそんな時、沖縄から友人が上京するっていうんで、それでは一緒に観に行きましょう~♪ということになりました。
そんなこんなで良いタイミングでした。
ハリウッド映画はもう、どこまで行ってもハリウッド~~なわけで。
しかし、この「石の微笑」なんか観ると、やはりフランス映画は素晴しいな~~と、あらためて思わされますね。
まずは映像が綺麗。ものすごく、綺麗なんですね。
撮影監督がエドゥアルド・セラで、「真珠の耳飾の少女」の、あの絵画タッチの芸術的感覚を再び楽しむことができて、大満足でした。
どのシーンも、ライティングや色調がすばらしく素敵で、とにかく構図がもう、完璧。
これだけで、もう一度観に行く価値がじゅうぶんにあります、私には。
そういえば「ブラッド・ダイアモンド」もこの撮影監督だったけど、アクションが基本だったためかそんなに印象に残っていないなあ・・・
さて、内容はサスペンスなので、ネタバレするとおもしろくないから、さらっと書きますね~。
クロード・シャブロル監督って、1930年生まれだからもう77歳。
なんかもう、50本とか映画撮ってる人なので、ものすごく熟練なわけです。
だから、なんだか奇妙な演出だとか、アンバランスなところなんかも、全ては計算の上。
そこが凄いところかと思います。
セリフも、展開も、なんというか、一風変わったサスペンスでありながら、非常に安定感があるんですね。この変が熟練。
そういう意味からも、不思議な魅力にあふれておりましたね。
主演のブノワ・マジメルさん、最近の雑誌インタビュー記事ではちょっと太った印象の姿を見せており、彼自身「僕ってグルメだから」などと言い訳めいたことを語っていて、心配していたのです。が・・・!!
なんと、この作品のブノワさんは、きっちりと締まったお顔と身体で、その美しさをいかんなく発揮しておられました。
スーツ姿の美しいこと!!
いや~プロフェッショナルですね~~。素晴しかったです。
まるでギリシア彫刻のような立体的なお顔立ちには、思わず見入ってしまいました。
立体的な顔の影とかを見ると、ついつい観察してしまい、デッサンの授業で悪戦苦闘した石膏像を思い出しました・・・
ブノワさんが演じるフィリップは、とても真面目な青年なのですが、異常に石の彫像に固執しているという人で、その変なところがこのお話の軸になってもいるのです。
「石の微笑」は、青年が愛していた彫像の微笑でした。
あの、微妙~なほほえみがなんともいえない味でした。
いわゆる「アルカイックスマイル」って感じですね。
それにしても、この作品の登場人物は、奇妙な人ばかりで、なかなか楽しかったです(笑)。
始まり方にしても、途中の話の展開のしかたにしても、そしてまた終わり方にしても、とにかくアンチハリウッド的と言えばわかりやすいのでしょうか。
要するに、ハリウッドっぽい、というと、大体の展開とか終わり方などのパターンが決まっていて、観客はまたそういうのを面白いと思っているところがあるわけです。
だけど、こういったヨーロッパなんかの作品は、ありがちパターンにはおさまらないってところがいいんですね。
「え、そうなるの?!」とか
「え、そこで終わり?!」とか(笑)
あと、最初のあのシーンがてっきり伏線なのかと思ったけど、ただの思わせぶりだったの?!とか。
意味があるんだかないんだかどうしたらいいのかわからないような感じなんだけど、なんか面白い、とか。
なんか文章が変なところは(いつものことかもしれないが)シャブロル監督のせいです(笑)。
この作品て、大真面目に褒められていたりするのですが、わたしは奇妙な演出が面白いなあ~と思って観ていました。
まあ、そんな感じで・・・フランス映画って楽しいですね。
もう一度、観たいなあ。。