プラダを着た悪魔
これは、男女にかかわらず、仕事をしているすべての人に何らかのかたちであてはまるのではないかという、実に身近な内容の作品。
とっても面白かったです
娘と行きましたが、彼女も大変気に入った様子でした。
脚本も、撮り方も、実によくできていて、適度にスピード感のある、心地よい展開、すべてのキャラがぴったりとはまり役。
セリフがいちいちツボに来てしまって、おかしくってたまりませんでした。
メリル・ストリープ、ほんとに上手いですね~~。
また、仕事にプロフェッショナルであればあるほど、浮上してくるプライベートな面での問題点とか、仕事と人生のそれぞれの考え方など、なかなかにするどい視点で描かれていて、軽いコメディと思いきや、勉強にもなってしまいました。
ロケーションも、NY、パリと、最高ですし。
登場するお店や、オフィスや、編集長の自宅のインテリアなども観ていて楽しく、
そしてなんといっても、今回の見どころは、ファッションでしょうね
イケてない主人公のアンディが、オシャレに変身していくところは、オードリー&アステアの「パリの恋人」を思わせます(ちょっと古くてすいません)。
でも、ただのシンデレラ・ストーリーで終わらないってところがこの作品のするどいところであります。
アン・ハサウェイは、「ブロークバック・マウンテン」の時、かなりいい演技してるなあと思っておりました。
今回はモデルさんのようなこの勇姿。
とっても素敵
そしてかわいい
劇中では「太ってる」とさんざん言われている役なのですが、どこがですか~~(汗)。
それにしても、アンディ(ハサウェイ)は仕事できすぎですよ~。
そして、悪魔のような上司ミランダに、実はちゃーんと実力を認められてて、育てられていくんですねえ。
ミランダにはどうも、身近なものを感じてしまいました(笑)。
店を手伝ってる娘が言うんですよ。
「おかあさんが来る日の朝が、ミランダが来るときの朝にそっくり」だと(爆)。
まあ、どこでもあんな感じの光景は普通かなと思うのですが~~。
今は私も、どちらかというとミランダ側の立場ですが、かつてはああいうキョーレツな女上司の部下だったこともあり、アンディにも共感できたりして、楽しかったです。
すっごい無理なことを指示されて、
「あなたならできるわよね?」とか言われて。
今思い出すと笑えますけど・・・
でも、それが任務完了したときの快感ったら。
あのアンディの表情、ほんとによかったですね~。
そう、その人はまさに悪魔のような上司で、じゃんじゃんスタッフをクビにしてましたけど、私は彼女のことがそんなに嫌いではありませんでした。
仕事に対しての姿勢が、プロフェッショナルであればあるほど、リスクはあるし、厳しいのもあたりまえ。
「君は頑張ってない。愚痴を言ってるだけ」
というセリフもよかった。
仕事のできない人って、言い訳が得意。
できる人ほど、言い訳をしないですよね。
また、男性ならそんなにキツイ人と言われないかもしれないのに、女性だから周囲の評価が厳しいと言ったセリフには大いに納得するものがありました。
とくに男性側から見ると厳しいですね。
アンディの、最後のほうで着てる革ジャン&ジーンズスタイルは、自由と、そしてクリエイティブさと、仕事をして人生を楽しむ女性のスタイルをあらわしているかのようでした。
アンディ・ファッションの変化を追っていくと、彼女の成長が実によく表現されているなあと思いました。
帰りに新宿のタカシマヤへ寄って、バッグ売り場を通ったら、
「あれ?あのバッグはもしや・・・」
と目にとまり、近づくと、・・・やはりそうでした。
劇中でアンディの使用していた、スタッズがついたバッグを発見!
限定販売中だとか。
成功の光と影、とはよく話題にされることですが、この作品で語られているのも非常に興味深かったですね。
メリル・ストリープ演じる編集長は、成功者なわけですが、家庭を犠牲にしているし、時には部下を犠牲にすることもあるという人物。
そんなボスとはちょっと違和感を感じてしまったアンディ(ハサウェイ)。
この2人を観ていて思うことは、メリル演じるボスのパターンは、もう古いのかもしれない、と思いました。
で、アンディはさらに一歩進むのかもしれないな、と思いました。
自分の好きなことを仕事にし、社会的に認められ、恋愛(または家庭)も充実させ、と、文字どおり”すべてを手に入れ”、人生を存分に楽しむのが、これからの”自分らしい生き方”なのではと。
今という時代は、悪い部分やいい部分や、いろいろ議論されておりますが、あきらかに進化している部分はあるのではないかと思っているんですよね。
さらに言えば、最近特に気になるのは、いろいろなシーンでの”格差”ですね。う~ん、これについてはまたいずれ。
さて、使用前のアンディ(笑)
さすがパトリシア・フィールド、この微妙な色とかスカートの柄とか、髪型がなんともはや、イケてないですね~~実によく表現されていますね(笑)。
自分の着るものもロクに選べないことは、自分の魅力を引き出していない=つまり自分がわかってないことにも通じ、また、仕事面でも、自分で選んだ道ではないわけです。
すべてにおいて何となく選んだことに対し、常に言い訳を用意して、「私の責任じゃない」と逃避しているのです。
そんなアンディは、悪魔のような上司に鍛えられて、本当の自分を見出していくのでした。
この作品を観て、思い出したのが、神田先生のこの本でした。
また読み返しています。
なぜか「プラダを着た悪魔」にリンクする部分が多いんですよね。
非常に興味深いことです。
成功者の告白―5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語
監督のデビット・フランケルと脚本のアライン・ブロッシュ・マッケンナがハーバード大学出身というのも、ああ、なるほどと、なんだか頷けてしまいました。
原題:The Devil Wears Prada
監督 デヴィッド・フランケル
脚本 アライン・ブロッシュ・マッケンナ
原作 ローレン・ワイズバーガー
製作 ウェンディ・フィネルマン
製作総指揮 カレン・ローゼンフェルト
ジョー・カラッシオロ・ジュニア
出演者 メリル・ストリープ
アン・ハサウェイ
スタンリー・トゥッチ
サイモン・ベイカー
エミリー・ブラント
エイドリアン・グレニアー
音楽 セオドア・シャピロ
撮影 フロリアン・バルハウス
編集 マーク・リヴォルシー
公開 アメリカ合衆国の旗 2006年6月30日
上映時間 110分
製作国:アメリカ合衆国
メリル・ストリープ 宮寺智子
アン・ハサウェイ 小松由佳
エミリー・ブラント よのひかり
スタンリー・トゥッチ 小形満
エイドリアン・グレニアー 永井誠
サイモン・ベイカー 真殿光昭
トレイシー・トムズ 清水千恵