Disney’sクリスマス・キャロル

◆作品情報
 原題:A Christmas Carol
 製作:2009年アメリカ
 監督:ロバート・ゼメキス
 脚本:ロバート・ゼメキス
 原作:チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』
 撮影:ロバート・プレスリー
 音楽:アラン・シルヴェストリ
 
 キャスト:
ジム・キャリー
ゲイリー・オールドマン
コリン・ファース
ロビン・ライト・ペン

3Dで観たかったのですが、なぜか3Dは日本語吹き替えになっているところばかりで、私は絶対に吹き替えで観るのはありえないし、それに娘が3Dは嫌だと言うので、字幕の3Dじゃないほうで観ました。
それでも映像はすごく立体的だし、これで十分だと思いました。
最近は何でも3Dになってきていて、中には、別に3Dでなくてもいいのでは・・・というようなものまである。
ついにTV放映も可能になったそうで、申し込んでお金を払うと3Dメガネが自宅に届けられるのだそうです。


こうなってくると藤子不二雄作品の「21エモン」に出てくるような、バーチャル体験型のゲームなども普通に自宅で実現可能になりそうな感じ。
(ちなみに藤子先生のドラえもんの道具など、何点も実際に実現化したものがあるのです)

だいぶ話がそれましたが
「クリスマス・キャロル」はかのチャールズ・ディケンズの名著であり、また、過去にもたくさん映画化されてきているので、今更な感じを持ってしまう人もいるのではと思います。
でもしかし、なのです。


やはりロバート・ゼメキス監督の高い美意識と映像センスは素晴らしいです。
「ポーラー・エクスプレス」から「べオウルフ」を経てさらに進化したあまりにも美しい映像世界には見とれるばかりでした。
ジム・キャリーにソックリなスクルージや聖霊たち。
ふっと、顔や表情が変わる瞬間にうわあ~っと思います。
冒頭からの大変美しいロンドンの街は必見です。
聖霊の気分になって、ヴィクトリア時代の雪のロンドンを自由自在に飛び回るなんて、こんな素敵に楽しいお遊びは、進化した映像技術ならではの醍醐味。
もともと原作がとても映像的な雰囲気を持っているので、イメージがしやすいのもこの作品の素晴らしいところです。


最大の見所、というか聴きどころ、かな?
なんといっても主演のジム・キャリーが凄いのです。
子供役を含めてひとり7役をこなしています。
ゲイリー・オールドマンも子供役を含めて3役をこなしています。


ジム・キャリーは本当に素晴らしかったです。
スクルージというキャラクターは、実にたくさんの表情を持っている人物で、それを見事に演じていました。
また、子供から老人から聖霊までの七変化をまったく違和感なく可能にしてくれたのはパフォーマンス・キャプチャーという技術のおかげですね。
ジム・キャリーの声の自由自在に変化するのが本当にすごい!と感心しました。

甥のフレッド役をコリン・ファースが担当。
彼がスクルージの仕事場に入ってきたとき、すぐに彼だとわかりました。ソックリだったので!


娘と大いにウケまくってしまったのが第一の聖霊、過去の聖霊さんです。
ロウソクの姿かたちをしていて、身体の動き方がたまらなくいいんです~!


これは、ゴーストという表現スタイルをとりながら、実はスクルージの”潜在意識さん”なんだね、と娘と観終わってから話し合いました。

一晩でガラッと性格や考え方が変わるなんて都合が良すぎるでしょうか?
いいえ、私は決してそんなことはないと思います。人間、変わる時は一瞬で変わるものなんですよね。
というよりも、スクルージは、クリスマスが来るだいぶ前から、変わろうと準備をしていたのだと思います。
もっと言ってしまえば、変わった、のではなく、本来のスクルージのあり方に戻った、というのが正しいのではないかと思います。
ちょっと、脇道に行ってただけだったんです。
だから、長い年月笑っていなかった彼なのにもかかわらず、なんとも言い表せないほどの素晴らしく最高!の笑いが自然に出てきたんですね。
それは、もともと彼の中にあったものだから。

スクルージが笑うシーンが一番好きですね。つい、こちらも笑顔になってしまう。
実にすがすがしい場面です。

たくさんの気づきと楽しく癒しのひとときをくれるゼメキスの作品、そしてジム・キャリー最高、ディケンズ万歳!なのです。

DVDは絶対に購入します。クリスマスに観る映画がまたまた増えたのでした!

これは、岩波書店から出ている愛蔵版の「クリスマス・キャロル」。
プレゼントなどには是非おすすめの1冊です。
装丁が美麗
そして、イラストは初版本に4点が追加されていて、カラーのものもあります。
映画版の文庫も出ていますが、読むなら是非、初版本の翻訳のものをおすすめします。ディケンズの文章は本当に素晴らしいです。


最後に、原作からの素敵な一節を引用します。

何の利益にならなくても、ほんとうにそうしてよかったなと思うことが、世の中にはたくさんあると思いますけどね
クリスマスもそのひとつです。・・・中略・・・
とにかくクリスマスは、親切と、許しと、恵みと、喜びのときなんです。長い一年のなかでもこのときだけは、男も女もみんないっしょになって、ふだんは閉ざされた心を大きく開き、自分たちより貧しい暮らしをしている人たちも、墓というおなじ目的地に向かって旅をする仲間同士なのであって、どこかべつの場所へ向かうべつの生きものじゃないんだってことを思い出すんです。