ニューワールド

2018年3月8日

試写会に行って来ました。

実は、コリン・ファレルは大好きなのです。
気が多いので、好きな俳優さんは大勢いるのですが、この頃特に注目なのは彼。
ワイルドさと、独特の感性が好きですね。漆黒の瞳も素敵。

テレンス・マリック監督って、過去作品を観たことがないのですが、たったの4作しか撮ってないそうですね。
なんとも、伝説的な監督さんなのです。

ニューワールド。ひとことで表現するなら「芸術的」です。
魂が洗われるような思いになりました。
本当に美しい映像です。
過剰な演出を徹底排除。
ラヴシーンも、極力排除。カゲキなシーンも排除。
そしてまた、セリフも削りに削って、寡黙に、静かに、ただただひたすら美しい
「かつてのアメリカ」の美しい自然が映し出される。
空。草。木。水。風・・・。
映像と音楽で癒される。環境映画か、とも思える仕上がり。
ジェームズ・ホーナーの音楽が素晴しくて、即、サントラ注文しました!
クラシックも使っていたようです。

スミス(コリン)が感動する、自然と一体になって生活を営む原住民。
それとは対極にある上陸したイギリス人たちの、生存能力の無さ。
原住民の生活は、崇高なものに思えた。
それを目の当たりにしたスミスは、自己の弱さと矛盾に恐れを抱き、
ホカポンタスの無垢な心に答えることができない。
そんな感じでした。切ないです。

物質文明を批判するかのようなシーンもありましたね。
むさぼるように金を掘る白人たちの醜い姿とか。
コインをつまみあげるシーンとか。いろいろ・・・。

コリンの登場シーンで、怒涛のように押し寄せる感動。
黒髪、髭の、ワイルドなコリンは本当に素敵です。

戦闘シーンも、すごく良かった。
そんなにハードではなかったのですが。
コリンの動きが素晴しくて、際立っていました。ホレボレ。

デビッド・シューリスは出番少なくてかわいそうだった(笑)
クリストファー・プラマー!ビシッとキメてました!やはり素敵・・・

ホカポンタスの兄、イケメンかも!
他にも、原住民の中になかなかイケテル男、数名。
原住民ファッションも、なかなかオシャレだと思いました♪

茶とアイボリー主体のザックリした生地の衣装、とても良かった。
対照的だったけど、イギリスで謁見のときに着ていたホカポンタスの衣装も
すごく素敵だった。シルクハットのような形の帽子、大きなレースの衿。

鳥が何種類か登場しますが、どの鳥も綺麗で印象的でした。

コリンの髪につけた羽もかわいい・・・
コリンは登場するたびにほぼウル目でした。
漆黒の瞳に吸い込まれそうな感じ。
ああ、あの斜め上目線が最高です。一番好きな角度。

しかし、悲恋ものだというのに、最近流行のダサダサ●流とはまったく違い、
(いや、そんなものを比較にすることすらバカバカしい!)
誰もボロボロ泣いたりしないところが、すごく良かった。
ああいう演出がかえって心に響きますね。

愛。。。愛とは。。。?ひとくちには語れないもの。
そして「こうだから」とか理屈をつけられないもの。
それはまるで、流れる川のようでもあり、
ざわめく風のようでもあり、
静かに語りかける森の木のようでもある。
美しい映像は、そんな風に語りかけているようでした。

はっきりいって、実に実に、一般ウケをねらっておりません。
芸術的感性にうったえる、品格のあるできばえ。
まさにツボでした。
こんな映画が作れるなんて!!!

15歳をまったく感じさせないヒロインの演技。
彼女の表現力には、感動しました!

キャスティングで、一筋縄ではいかないラブストーリーということが想像できます。
2人とも、甘口じゃない。
コリンの対抗馬がクリスチャンというのは、かなりイケてると思いましたね。
クリスチャンの微笑みは、素晴しかったです。
うる目のコリンVSキラキラクリスチャン(笑)

何度か観る予定ですが、第1回目の感想はこんな感じでした。
はあ・・・癒された。

***

結局、5回観ました。
とにかく、こういう作品は、大画面で観ないとだめなのです。
音楽も芸術的で、音響の良い劇場だと、まるでクラシックコンサートのようで。
映像と音に酔いしれてしまいますね。
本当に何度観ても素晴しいです。

もう、これ観てしまうと・・・私は何を観てもなにか物足りなさを感じてしまいます。
1回目の時は、あまりに驚いてただただ「すごい!」で終わってしまいましたが、観るたびに細部へのこだわりが発見できて、さらに感動が増すのです。
5回目は、イギリス人とネイティヴの人々の戦闘シーンが、あまりにも美しく悲しく、泣けて泣けてしかたがなかった。

これを観ていると、心の深いところで何かが覚醒する気がするのです。
心の深層に染み渡り、そして宇宙を感じます。

マリック監督の表現は”観せる”のではなく”感じさせる”作品と解説されていましたが、まさに感性で感じる作品でした。

また、コリン・ファレルの感性の素晴しさには感動しっぱなしです。
彼は、恐ろしいくらいの表現力と感性の持ち主だと思ってます。
「アレキサンダー」で彼の素晴しさに気がつきましたが、その「アレキサンダー」も2回目観るまでは解らなかった。
彼の凄さは、ちょっとやそっとでは理解できないかもしれません。
でも、巨匠といわれる監督たちがこぞって彼を使いたがるところには、実に頷けます。
クリスチャン・ベイルも素敵だしかっこいいし、すごく演技うまいし、でも、やっぱりスミスの野生と精神性はコリンじゃないと表現できないなと、思います。
クリスチャン・ベイルも、すごく好きな俳優のひとりです。

はじめちょっと、慣れなくて違和感があった、ネイティヴの方々のボディ・ペインティングも、観察してると、とっても芸術的で楽しいんですね。
リアリティにはこだわったらしく、粘土や土で本物の質感を出し、筆を使わずに、手や棒で塗ったそうです。
パンフから引用しますと
「しばらくすると、ネイティヴ・アメリカンを演じる俳優たちは、毎朝自分たちでペイントするようになった。
『デザインも自分なりに変えていました。
まるでスピリチュアルな儀式の一環のようでした』とベイレス(ヘアメイク担当)は振り返る。
興味深いことに、戦士役のなかには、自分の夢に出てきた模様を使うようになった者が複数いたという」
ここの文章を読んで、感激しました。
これ、アートや精神世界に興味ある人なら、絶対ピンとくる話だと思います。

夢については、私もとても興味があって、セミナーに行ったり、関連する本を読んだりしています。
また、自分の夢について記録してみたり、絵に描いてみたり。
意味とかを深く考えるというよりは、面白がっているだけなんですが。
それと脳に関する本なんかも、面白いですね。

恋っていうのは「何で好きになったか」っていう、理由みたいなものはほとんど関係ないんですよね。
落ちる、ものだから。
あの、草原の中で出会ったふたりのシーン。
感じることがない人から見ればなんでもないシーンかもしれないけれど、あれはマリック監督の「真実の恋」の瞬間の表現だと、胸が熱くなるのです。
この作品で最も好きなシーンかもしれない。
もう、上映が終わってしまうのがさみしくてたまりません。
はっきりいって、毎日観てもいいわ。
絶対にDVDを購入して、メイキングなど観たい。今から楽しみです。
今年のベスト1、もう決まりです。

ニュー・ワールド コレクターズ・エディション [DVD]
コリン・ファレル (出演),‎ クリスチャン・ベール (出演),‎ テレンス・マリック (監督)