ダ・ヴィンチ・コード

娘と行ってきました。
2人とも、原作未読で観たのですが、面白かったです。
映画で原作がある場合、今までの経験からいって、どちらかというと、先に原作を読まないほうが映画は楽しめると思うんですね。
何にせよ、映画化は大変だと思うのです。
文章を映像化するという作業だけ考えても。文章と映像は、まったく性質の異なるものであって、人間のまるで違う部分にうったえてくるわけで。

小説というのは、文章を追いながら自分の頭の中でイメージ画像を作り上げていき、それは人によってかなり違ったものだったりする。
映像はまったく逆なわけで、ビジュアルから先にうったえてくるから、先に自分で構築したイメージが脳に入ってるとして、あとから来る画像がそれと異なるものであった場合、脳の中でそれをすぐに差し替えるのは、かなり困難なのではと思う。
とはいえ、文章から映像をイメージするのは楽しいものですね。
映像のインパクトはかなり強いから、先に自分がイメージしていたものと違った場合に、まるであとから観た映像のほうが正しくて、自分は間違っていたかのような気持ちになることもある。
でも、どれが正しくて、どれが間違っている、ということはないと解釈すれば気が楽になるかもしれない。

今回のこの作品は、ダン・ブラウン本人が製作総指揮を担当していることから考えて、原作に忠実に作られていることはまず、間違いはないのだと思う。
ウィトルウィウス的人体図を模して横たわる、ソニエール館長の映像。
ダイイング・メッセージ!大変衝撃的な映像ですねー。
私のいつも食べてるパスタ「ラ・テラ・エ・イル・チェロ」の袋に、あの絵が使われていて、パスタ料理するたびに館長の死体を思いだしますね。
ですので、あれを予告編で観たときは、別の意味で衝撃でした(笑)。
まー死ぬ間際によくあそこまでやるなあと感心しますけども、やっぱあそこで服着てたらダメよね。
真実にこだわった館長の心意気が感じられますね(笑)。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、天才のなかでも最も好きな天才ですし、画家としての彼の作品もとても好きです。
でも、いわゆるミステリー好きというわけではないので、「ダ・ヴィンチ・コード」はどうしても読みたいというわけでもなかったのです。
で、未読のまま行ってしまいました。
原作未読だと、わかりにくいのでは、という噂でしたが、
映画のなかでちゃんと、しつこいくらいに説明してくれてるので、ストーリーが難解ということは全く感じられなかったですね。
むしろ、単純な話だったのでは・・・。
娘は「面白かった!」と喜んでいましたし。

カンヌで「失笑」がおこった、というのは、やはりキリスト教の方々としての反応でしょうか?と思ってしまいました。
「ありえない」という感想って、結構ありがちだと思うのですが、フィクションなのだから、ありえないことを題材にしているわけで、それはあたりまえなのでは、と思いましたが・・・。
それよりも映画的にはなかなかよくできてると思ったのでした。

まあ、賛否両論のようだけれども、とにかく一言。
宣伝をしすぎだと思った。
予告編の見過ぎで、ちょっと食傷気味だった。
キリスト教とイスラム教のいくつかの団体がこの映画の上映反対運動を行っているとかなんとか・・・。
フィクションなんだから、そんなに大騒ぎしなくてもいいのに。

冒頭の、ラングドンの「旅」というセリフが印象的でした。また、彼の背後に映し出される様々な「記号」。確かに、記号って暗示的で、なにかを言いたげです。想像力をかきたてられるものですね。
ミステリーの世界も、興味がわいてきました。
要は、現実世界の中にいかに空想の遊びをしかけるか、という楽しいゲームなわけですね。私の尊敬する方が「天使と悪魔」をすすめていらしたので、こちらも購入済みなのでしたー。つか、積読~(汗)。早く読まなくっちゃ。娘にはハリポタを読むように指令出されてるし・・・

映像に奥行きがある。これはきっと、セットじゃなくて、本物の現場で撮影されたことが大きいのではと思いました。
ルーブルや、パリの街や、シャトーなどなど、やはり本物の質感や漂う空気感、雰囲気は素晴しい。
ロン・ハワードは好きな監督です。
品があって、センスの良いしかもリアリティを感じさせる映像感覚だなと思います。
「ビューティフルマインド」や「シンデレラマン」のときにもそれはすごく感じていて、とくにあのボクシングの試合のシーンは、本当に迫力があってよかった。

あと、展開にすごく変化があるしスピード感もあって、俳優さんそれぞれの個性が素晴しく生かされていましたし。
特にベタニは最高!本当にうまいですね。
大好き。
ちょっとハスキーな声とか、クールな話し方とか。
最近は、肉体派というか、マッチョな俳優さんが多いなかで、ほっそりとした肢体を見せてくれるのも、新鮮です。
どんな役のときも過剰になることなく、いとも簡単そうに淡々と演じている雰囲気がいいですね。
クールです~。
インタビューなどで、彼が演技についての話をするのを読むのは、とてもおもしろい。
仕事への冷静なスタンスを持っていて、頭のいいひとだなあと思うのです。
もうほとんど、この作品はシラスのためにあるようなものです(言い切ったよ)。
暗い過去を持つ修道僧の暗殺者。おいしすぎますね。
美形だし、もともと色素薄いから、今回の役にぴったりでした。
自分を痛めつけるシーンとかね、死にっぷりも良かったです。(原作と違うらしいですが)
シラスの少年時代の子も、美形でかわいくて、ベタニのイメージそのものだったわ。

サー・イアン・マッケランも最高でした。
登場したときはガンダルフがしゃべってるとしか見えなかったんですが(爆)、だんだんと物語に引き込まれて、あのキャラクターに参ってしまいました。
素晴しいわ、サー。
本当に気品のある方で、話し方を観ているだけで満足してしまうほどの魅力的なおじいさまです。

トム・ハンクスも、雰囲気出てましたし、あとリーの執事も良かった。
スパイダーマン2の悪役さんも。
ジャン・レノはあんなもんかな~と思いましたけど(もともとあまり期待してなかった)。
オドレイ・トトゥは重要な役にもかかわらず、ちょっと印象弱い?

音楽はハンス・ジマーが担当しており、やはりいつもの重厚な感じで、ナイスでした。
ジマー大好き!
映像が本当に美しかったので誰かなーと思ったら、サルヴァトーレ・トチノ。
「シンデレラマン」の映像もすごく素敵だった。

六本木の一番大きいスクリーンで観て、帰りには隣でやってたダ・ヴィンチ・コード展を観てきました。
原寸大の最後の晩餐の映像が観れたり、小道具なんかも展示してあって、面白かった。
でも、伊勢丹のナルニア展が無料だったことを考えると、¥1500の入場料は高いかもね。
字幕がまたTさんでしたけど、やっぱり文章がすごく変なときがあって、意味不明なことがあり、困りました・・・。
主語と述語くらい、つじつま合わせてほしいと思ったよ・・・。字幕読まないで観たいものです。

ダ・ヴィンチ・コード エクステンデッド・エディション [Blu-ray]
トム・ハンクス (出演), オドレイ・トトゥ (出演), ロン・ハワード (監督)