映画『プレステージ』の感想

2023年7月15日

娘は、この映画を観たあと呟くように
「人の心の闇を見た・・・」
と言って、怖がっておりました。

この作品の感想を書くのは、ちょっと難しくて。
というのは、何を書いてもネタバレになりそうで、困ったなーと、またグズグズしているうちに1週間以上も過ぎてしまいました。
映画感想が脳内にたまってくると、落ち着かないのなんのって・・・
できるだけ、ストーリーにはふれないで書くことにしましょう。


さて、とにかくこの「プレステージ」は最高に面白かったです
なにしろ、粋な演出が素晴しい人、クリストファー・ノーラン監督に、ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、さらにアンディ・サーキス、そしてデヴィッド・ボウイ。
こんなに豪華なメンバーを並べてくださっては、文句など言いようがありませんね(笑)
ウルバリンとバットマンとゴラムと、執事!!
・・・って、それだけで嬉しく、彼らが目の前で演技してくれるのが楽しくってたまりません。
ヒューとアンディさんがご対面する場面なんか、つい顔がほころんでにやけてしまいます。
アンディさんがニターッと笑うと、あのCGのゴラムの笑みがかぶってしまいます。


ウルバリンとバットマンの対決・・・いえ、アンジャーとボーデンのマジック対決は本当に見応えがありました。
華があって優雅な身のこなしのヒュー・ジャックマンと、控えめでありながらしたたかな、影のある役を見事に演じるクリスチャン・ベイル。
2人ともすごくお似合いでした。
特に、クリスチャン・ベイルの演技にはほんとに参りましたね。完璧でした。
彼の演技に冒頭から感心していた私は、かなり早い段階で”あること”に気がついてしまいました。

この作品は、冒頭からしっかり観て、しかも観たことやセリフなどを記憶しておかなければなりません。
そういう作り手の遊びが、本当に楽しいのです。
隠された秘密をひとつずつ知って、確認していく面白さ、ですね。

1回最後まで観ると、確認したいことで頭がいっぱいになってしまい、もう一度最初から観たい!と、思ってしまうのです。
で、私は2回観ました。
本当はもっと何度も観たいのですが、次々と公開される新作の魅力には勝てないのです(溜息・・・)


スカーレット・ヨハンソン、今回は出番少なめでしたが、それでもあの匂い立つような色気と存在感で、強烈な香りの花がいつも脇に活けてあるかのようでした。
今回、とくに目をひいたのが衣装でしたね。
この画像の、スカーレットの衣装!なんてかわいい!
両脇の刺繍や、裾のレース、首のチョーカー、黒いストッキングにそして足元は編み上げブーツです。バックスタイルのデザインもすごく素敵なのです。
パールのロングネックレスもおしゃれですね~。
くるくる巻いた髪も素敵。そしてこれを最高にかわいく着こなすスカーレット。
このほかにも、スカーレットの着る衣装はどれもこれも素晴しく素敵で、いちいち全身を詳細に映してほしいっ!!と思いながら観ていました。
手のこんだ帽子の飾りなんて、ほんの一瞬でしかも部分的にしか映らず、ああ、もっと観たい~~!と、そんなシーンばかりでした・・・耳の小さなピアスまで、気になる、気になる。
ヴィクトリア調はもともと大好きなのですが、ほんとにたまらないですね、この時代の風俗って。
メンズ・ファッションも、どれも素敵でした。
とくに印象深いのは、ゆるく締めたスカーフのようなネクタイ。
それをまた素敵なピンで留めてあるんですよね~。
ジャケットの下からのぞかせるベストもいいし、シルクハットも大好きだし、・・・・ああ、なんという素晴しいものを観てるんだろう私は!
・・・と、ストーリーの複雑さを必死に追いかけながら、あまりにも素敵な衣装に見とれっぱなしでした。
舞台とか、また舞台裏、それにお屋敷とかパブなどのインテリア観察も楽しかったですね。
まーほんとうに、あらゆるところで楽しませてくれる、最高に素晴しい作品でした。


マジックに使われるメカのデザインも、アナログというか、アンティークな感じが面白かったです。ギギギ・・・なんて音がしたり。

「バットマンビギンズ」のときの執事役が最高にハマッてた、マイケル・ケインさん、今回もなんとなく執事なイメージでしたね(笑)。
ナイス・フォローが決まってました♪

脚本はとてもよくできていて、なんとノーラン監督の弟さんなのですねえ。

デヴィッド・ボウイは、実在した天才発明家ニコラ・テスラ役がとても似合っていました。
目の鋭い光は、まさに科学者そのもののようで、それに、ベテラン俳優のような風格がありました。
この作品、あらゆるところが伏線になっているという作りなのですが、それまた面白かったです。
ニコラ・テスラと、エジソンの関係は、ボーデンとアンジャーに重なったり、とか・・・

おっと、語りだすとまた深みにはまりそうなので、この辺にしておきましょう。

ノーラン監督、期待どおりの出来栄えでした、大満足です。
品があって、奥行きのある映像も良かったです。
撮影は、ノーラン監督作品をずっと撮り続けているウォーリー・フォスター。
私は「バットマン・ビギンズ」の時の映像もすごく好きで、影の表現なんか、特にいいですね。
あと、明るくライトを当てる部分の、絵画的な感じとかも好きです。

ところで私は、普段はマジック自体にはそれほど関心がありませんが、それでもこの作品は面白く観賞しました。
何にせよ、舞台裏の苦労というのはつい面白く観てしまいますね。
人は騙されたいという心理や、また、成功しても失敗しても大衆は喜ぶ、といったところが印象に残りました。
科学や、人間の成功と挫折、また、虚栄心、表側と裏側の対比など、いろいろと考えさせてくれるところもあり、非常に見応えがありました。
DVDもちろん買いですね~

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