キュア 〜禁断の隔離病棟〜

作品情報

 時間:146分
 原題:A Cure for Wellness
 製作:2016年アメリカ、ドイツ、ルクセンブルク
 監督:ゴア・ヴァービンスキー
 脚本:ジャスティン・ヘイス
 撮影:ボジャン・バゼリ
 音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ
 
 キャスト:
デイン・デハーン(下妻由幸)
ジェイソン・アイザックス(世古陽丸)
ミア・ゴス(吉田聖子)

地雷タグ:ウナギ、水、胎児、生理、ミイラ、ゾンビ(?)、顔の皮、歯医者

予告編

病院モノ×中世純血厨×金融マンの闇

なんとこの映画、146分もあるんですよ。
ちょっとマニアックな人向けだと思います。146分のサイコスリラーと聞いても驚かないどころか、「へぇ、どのくらい怖いの?」といそいそ見始めるタイプの。


デハーンが良かった。先の読めるありがちな設定とはいえ、結構楽しめました。
とにかく、可愛いデハーン君が出ずっぱりなので、もう何でもいいっていう。それはある。否定できない。


ミア・ゴスの個性が素晴らしい。
いかにもホラー向きの美少女です。眉毛が薄すぎてコワイ。
幽霊のようなふわふわした水色のワンピとロングヘアーがやけに似合っていました。

『パイレーツ』シリーズの監督

ゴア・ヴァービンスキー監督独特の美的センスが随所に光ってます。オペラ座の怪人的演出も楽しかった。
POC3の際、監督は自らギターを手に取りサウンドトラックに参加するほど音楽が好きなようで、今回も良かったです。

ミステリーというより、結構サイコスリラー感があるんですが、怖さレベルで言えば、全体的にそれほど怖くは、ない、です。はい。
演出は時々ちょーっとばかりエグいけど、ギリギリ大丈夫。
表現も結構分かりやすいし、映像がきれいめなのでセーフ。


むしろ精神的にじわじわ来る感じがわりと良い。
山の上にそびえるヤバそうな城に近づいたら携帯電波圏外!!!って時点でもうかなりヤバい。
「治療の為に電波を遮断しております」みたいな。マジかーーー。
でも牛のシーンと歯のシーンはビジュアル的にツライというか、見たくないやつだった……。映さなくていいよ……。(鳥肌)

精神的にじわじわ来るというのは、いわゆるハリウッドホラーにありがちな、音のデカさで脅かされたりというシーンはあまり無いし、ストーリーも分かりやすいから先が読めててそれほど絶望感も無いんだけど、根底にある『倫理観をチクチクされる感じ』がじわじわ来ます。なので、こういう感じは好き。つい、先が気になって・・・なんとなく想定内なことになっても観たい感じです。

物語の舞台について

冒頭シーン、どよーんと暗すぎてどこだか分からないけど実はNYC/ウォール街なのですが、その後は、ほとんどスイスの山の上にある療養所が舞台です。

へぇ~病院モノか~セットが凝ってるなぁ~お城借りたのかな~
・・・と、美しい建築に魅入ってしまいました。
気になって調べてみると・・・
ロケ地詳細
とってもゴシックな雰囲気の建築です。
ドイツ軍の療養所でありヒトラーも入院したというベーリッツ・ハイルシュテッテン・サナトリウム、ホーエンツォレルン城など、本作の設定では舞台がスイスとなっているけど、ロケ地は主にドイツのようです。
やっぱり、ゴシックでダークなイメージっていうと、ドイツですよねー。ヤバそうな実験とかいっぱいしてそうだし。重厚かつエレガントな建築様式美に、見惚れまくってしまいます。

”謎の多い曰く付きの城を再建した療養所”ということで、ウォール街(そもそもトーンが暗いんだが)から突然ゴシックホラーに展開っていいですねー。
水と実験がメインのセットや演出は、どこか『シェイプ・オブ・ウォーター』を思い出します。
皆さん『シャッターアイランド』だと言っていましたが、残念ながらそちらはまだ未鑑賞。今度検証してみます。
デハーンがディカプリオに似てるのはわかる。

ラストについて


ジェイソン・アイザックスの変貌ぶりには驚いたかも。
火はNGなんですね。外的要因だから?(笑)
変態っぷりが良かった。さすがの演技力です。変態エロおやじはわりと演じやすいのかもしれないけど。

ラストシーンは何だろう……一応、ハッピーエンド、なのかな……?(首を傾げる)
B級ホラーに見えて、わりと考えさせられる映画でした。
本編中初のデハーン君の笑顔が邪悪すぎて、つい深読みしてしまうだけかもしれないけど。

彼らはどこへ行くんだろうか・・・。