バーフバリ 伝説誕生/王の凱旋

2019年3月27日

作品情報

原題:Baahubali
製作:2016~2017年
監督:S・S・ラージャマウリ
脚本:S・S・ラージャマウリ、K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード
撮影:K・K・センティル・クマール
音楽:M・M・キーラヴァーニ

キャスト:
プラバース(小山力也)
ラーナー・ダッグバーティ(山野井仁)
アヌシュカ・シェッティ(喜多村英梨)
サティヤラージ(麦人)
タマンナー(森なな子)

<第44回サターン賞、第65回ナショナル・フィルム・アワード受賞>

バーフバリを浴びた感想

王を称えよ!
伝説誕生、王の凱旋。
続けて見るべきですが、それぞれ2時間超えなのでしっかり挑まないといけません。
体力必要です。
でも物凄くノリが良いので、あっという間に5~6時間経ってしまいます。後半は迫り来る尿意との戦い。それでも王を称えずにはいられない!!!それほどぶっ飛んだ映画です。

バーフバリ。それは英雄であり、神であり、奇跡を背負って君臨する王の名前。

見終われば必ず「王を称えよ!」と叫んでいる。

バーフバリの何がすごいのか?

細かいところまで計算し尽くされた予定調和によって、とっても気持ちよく観れます。
けれどただ王道を行くだけでなく、バーフバリはその斜め上を飛んでいく!

演出がすごい。とにかくすごい。
この世界は全てがバーフバリのために回っている!!!という演出のすごさ。
木を一本倒せば敵だけに枝が当たって味方は助かる!
弓矢を放てば百発百中!!
当てたいところに当たるッッッ!!!
カンフー映画も真っ青になるほど迫力のある完璧な演出です。
「おお~~~!!!」「すげえ~~~!!!」の連続。
まるで、神です。バーフバリが歩いた道は耕され、バーフバリが触れたものには生命が宿り、バーフバリの息吹によって人々の魂は震える!
おおバーフバリよ!!!!

恋愛のシーンでも、スポッと流れてきた花が納まったり、美しく空を飛んだり……。
ダンスの振り付けも完璧。
セクハラは絶対に許さず、国よりも愛する女(家族)を優先し、何より民の心を重んじる最高の王バーフバリ!

細かいところまで計算し尽くされています。
この予定調和の連鎖は、仏教的な、何か霊的なものを感じます。
チャクラを開けば誰でもこのような世界に入れるでしょうが、ここまで奇跡が連続するのは彼こそが王だから!!!

こうした演出をさらに盛り上げているのが、美しいヴィヴィッドな色彩による美術と衣装です。
インド特有の、見事なビジュアルセンスに圧倒されます。
派手派手でも、顔が濃いから似合うんでしょうね~~~。
逆に顔が濃すぎるので、派手派手じゃないと似合わないくらいの。

迫力満点の戦闘シーン

両編で3度ある合戦のシーン。
人数もさることながら、規模が大迫力です。
思わず『ロード・オブ・ザ・リング』を思い出します。
バーフバリがあまりにもチートで、実に気持ちよく雑魚兵士たちを薙ぎ払ってくれるので、ここでも快感指数が爆上がりするのだと思います。バーフバリ無双とかやってみたい。そろそろ出るでしょう。

特に『王の凱旋』では、牛二頭に乗るバーフバリが凄まじく格好良かった!!

それから弓矢の伏線も見事に回収され、まさしく天晴です!
ポスターはここだったんですね。私はポスターは合成かと思っていたのですが、本当にあったシーンでびっくりしました。

バーフバリに込められた想い

しかし監督の一番描きたかったのは、バーフバリの凄さとか神々しさとかではなく、『なぜカッタッパはアマレンドラ・バーフバリを殺したのか?』という部分。
あれほどの忠実な家臣が、なぜ裏切ったのか……?
じっくり考えてみるまでもなく、彼はバーフバリ王子に仕えていたのではなく、王家の奴隷剣士でした。
なので、一番命令の威力があるのは国母であるシヴァガミ妃です。
しかも、一度は辞退しようとしたのに、「そちが殺さぬなら私が殺す」とまで言われてしまい、王家の者の手を血に染めるのは大変なことなので、それならば……と断腸の思いでアマレンドラ・バーフバリを手にかけたのです。
けれどそこへバラーラデーヴァがやってきて憎悪の限りめった刺しにしながら、いかにも悪役という独り言を所構わず叫んだものですから、全てがバラーラデーヴァの仕組んだ策略だったと分かり、シヴァガミもカッタッパも絶望のどん底に。
ですが彼らに唯一残された希望が、生まれたばかりのマヘンドラ・バーフバリ。
シヴァガミは彼を命をかけて守り抜き、安全な滝の下の村へ辿り着いた……冒頭へ戻る……というわけでした。

最終的にはカッタッパも王国へ戻ることができたわけですが、命をかけて償ったシヴァガミ妃に対して、カッタッパ何したの?と。
しましたよ。スライディング土下座からの絶対忠誠のポーズ!彼は元々、巻き込まれただけですからね。
そして合戦でも活躍し、マヘンドラ・バーフバリを守り、最後まで戦い抜きました。
無事に、王の孫の顔も見れそうです。良かったね。

このような奴隷制の悲劇が、二度と繰り返されてはならない。そういう想いを、この作品に込めたのではないでしょうか。
インドでは、現在も1800万人以上の国民が奴隷のような状態で生活しています。

また、監督は色々な作品からの影響について語っており、特に『イントレランス』『ベン・ハー』『HERO~英雄~』『300(スリー・ハンドレッド)』『ライオン・キング』などを挙げています。

批評家やファンからは、インド版『ハムレット』だと言われているようです。なるほど。

バーフバリ前とバーフバリ後では人生が変わりました!

そう叫ぶ人々が後を絶たないのだが、これはあながちウソでもない。
まだバーフバリを体験していない人は、ぜひ体験してみていただきたい。たったの5時間です。


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