インサイド・マン

面白かったですっ!
はじめの導入部分からもう、映像と音の演出のうまさにやられっぱなし。
すごくかっこいい!

私は、映画を観るときには、どうしても作り手側からの視点で観てしまう癖があります。
俳優さんは素敵だけど、セットとか映像の撮り方とか、衣装とか、ビジュアルの部分が一番気になる。
とにかく、スタイリッシュで、クールな映像センスには唸りましたね~。

撮影は、フォーン・ブースやタイガー・ランドのマシュー・リバティック,ASCで、ドキュメント・タッチな撮りかたがかっこいいなあと思います。フォーン・ブースなんかすごく好き。

また、特筆すべきは、セット。美術デザインの素晴しさです。
スパイク・リー監督作品のほかには「ビューティフル・マインド」や「シンデレラマン」などのロン・ハワード作品も手がけている、ウィン・トーマス氏。
ただ単にリアルを追求するのではなく、独特の芸術的センスがすごくいい。
シンデレラマンのときの、レトロで素敵なインテリアのセンスにも、感動しておりました。
今回も銀行や、会長の部屋の格調があり、なんともいえないエレガントさとオシャレなセンスの漂う雰囲気は、再度観たいと思ってしまいます。
是非、メイキングで語ってほしい。
クリストファー・プラマーも語るように、俳優がそこに立つと、それだけですでに完成されたイメージができあがる、そんな素晴しい完成度の高いセットです。
フレイジャー捜査官のアパートの部屋も、暗い色調で統一されていて、ジャズっぽい雰囲気が素敵でした。

冒頭と、エンドクレジットなどに流れる、とても印象的な曲「チャイヤチャイヤ」。
インドの音楽だそうですが、あとのほうでは黒人系HIPPOPになってた気がするけど・・・。
なかなかインパクトのある音楽です。
民族的な雰囲気がかえって今風で、なかなかよかった。
キリッとクールで、緊迫した雰囲気の作品に、対照的といえる、楽天的なイメージを加味していて、おもしろい演出と思いました。
そう、全体をとおして、セリフでも、重い感じのテーマ、たとえば人種問題などを軽いジョークで流して、でも言いたいことをさらっと伝える、そんなところに監督の小粋で巧妙なテクニックを感じとることができ、勉強になりました。
セリフのやりとりは、じっくり観てるとかなりのおもしろさです。
(またいつものように、翻訳の変なところは、想像力でがんばらないといけないのですが・・・)
あちらこちらに人種問題的な要素をちりばめてあるのは、アフリカ系アメリカ人&ブルックリン育ちの監督ならではだなーと、思いました。
で、そこがNYっぽさを表していて、とてもおもしろい。

脇役にも、すごく個性的な顔の俳優&女優を意図的に使っているなと思いました。
最後に俳優さんたちの顔入りで名前が出るのです。
しかもそれを端役までやってくれる映画ってなかなかないです。
ああいうところって、監督のポリシーみたいなものかな、すごくいいと思いました。
私はいつも、脇役さんがとても気になるほうなので、パンフにはメインキャストの名前しか載らないから、すごく不満なのです。
キャストは全員載せてほしいものです!
それと、最近ちょっとセンスいいなと思う作品のエンドクレジットは、止まってるのが流行りなのでしょうか。
あの手法もとてもいいと思いました。
だらだら~~っと流れてると、目が疲れるのなんのって。
今回のは、ぴたり、ぴたりと、実に読みやすい!
「ニューワールド」のときも同じように流れない手法でした。あれはいいな。

ジョディもクライヴも、クリストファーもみんな良かった!
脚本のうまさが、俳優さんたちの演技のすばらしさでぐっと引き立ってるという、そんな印象でした。
善人が出てこないというのもとても良かったです。

友人の感想で、一生懸命観ないとわからなくなる、って聞いていて、「こりゃあ必死に観ないとダメだな!」と思いましたので、とにかく集中して観てました。
おかげさまで本当に面白かった。
でも、確かにもう一度観ていろいろと確認したくなりますね(笑)。
時間軸とか、登場人物とか、セリフとかが意図的に入り組んでいて、わざと観る人を混乱させる作りになっているのです。
クライヴさんのクールで知的な犯罪者、すごく良かった。
アーサーの役柄がいまいち気に入らなかったもんで、今回ですっきり♪

頭の体操に、とっても最適な作品です♪

インサイド・マン 【Blu-ray ベスト・ライブラリー100】
デンゼル・ワシントン (出演),‎ クライブ・オーウェン (出演),‎ スパイク・リー (監督)