【ネタバレ】ファンタスティック・ビースト 黒い魔法使いの誕生

2023年11月30日

※鑑賞後の感想です。まだ本編をご覧になっていない方にはネタバレになりますので、ご了承ください。

作品情報

原題:Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald
製作:2018年イギリス、アメリカ 134分
監督:デヴィッド・イェーツ
脚本:J・K・ローリング
撮影:フィリップ・ルースロ
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
美術:スチュアート・クレイグ
衣装:コリーン・アトウッド

キャスト

ニュート・スキャマンダー – エディ・レッドメイン(宮野真守)、学生時代:ヨシュア・シア
ポーペンティナ(ティナ)・ゴールドスタイン – キャサリン・ウォーターストン(伊藤静)
ジェイコブ・コワルスキー – ダン・フォグラー(間宮康弘)
クイニー・ゴールドスタイン – アリソン・スドル(遠藤綾)
クリーデンス・ベアボーン – エズラ・ミラー(武藤正史)
リタ・レストレンジ – ゾーイ・クラヴィッツ(森なな子)、幼少時:ルビー・ウールフェンデン、学生時代:テア・ラム
ナギニ – クローディア・キム(大地葉)
テセウス・スキャマンダー – カラム・ターナー(江口拓也)
アバナシー – ケヴィン・ガスリー(粟野志門)
セラフィーナ・ピッカリー – カルメン・イジョゴ(深見梨加)
ヴィンダ・ロジエール – ポピー・コービー=チューチ(喜多村英梨)
スケンダー – オラフル・ダッリ・オラフソン(島田岳洋)
ミネルバ・マクゴナガル – フィオナ・グラスコット(渋谷はるか)
ニコラス・フラメル – ブロンティス・ホドロフスキー(岩崎ひろし)
アルバス・ダンブルドア – ジュード・ロウ(森川智之)、若い頃:トビー・レグボ
ゲラート・グリンデルバルド – ジョニー・デップ(平田広明)、若い頃:ジェイミー・キャンベル・バウアー

予告編



ローリングワールドの拡大

留まるところを知らないローリングワールド。
ローリング氏が自ら脚本を手がけ、既に5作目のタッグとなるデヴィッド・イェーツ監督がくまなくその世界を再現するために尽力することによって、本作の完成度がここまで洗練されているのである――――――。

いや~~~…………。
いや~~~~~~~~~~~…………………………。

まずお金のかかり方に唖然。
脚本の素晴らしさにも舌を巻きました。
そして、その脚本を美しく編み込んでいく表現豊かな演出。
勝手知ったるイェーツ監督ですが、とても相性が良いのではないでしょうか。

映画の脚本を、原作者自らが担当するというのは、なかなか無いことだと思います。
ハリー・ポッター・シリーズのメイキング映像、監督や脚色家、演出家、美術監督などのインタビューなどを見ていると、もちろん横にローリング氏が登場する時もあり、いかにローリングワールドが彼女の脳内の正確な再現なのかがよく分かります。
みんな、彼女がNOということは絶対にやりません。その忠誠心は騎士道精神に通じるものを感じます。さすが英国。
そして、プロデューサーとファンの投じたお金をこれでもかとふんだんに使い、期待以上のクオリティで見せてくれる。
ハリウッドとは違う、物づくりの意識が感じられます。

リタ・レストレンジ

ハリポタwikiによると、

1913年、ジャービーを使ったリタの実験が大失敗となって他の生徒の命を危険にさらした。この事件は、ジャービーの所有を禁じる法律にも違反する重大事だった。親友が退学になるのを見ていられなかったニュートは、その罪をかぶって代わりにホグワーツの退学処分を受けた。

とのこと。
ニュートが彼女を庇って、代わりに退学処分となったため、リタは経歴を守り、魔法省勤めのエリートへと成長したんですね。
はみ出し者同士、意気投合した二人は、唯一無二の親友。

涙を流すテセウスを自分からハグしながら、闇祓いとして共に闘うことを決意せしめるに足る理由だったのです……。

レストレンジ、ブラックの家系図

わけが分からなくなったため、ざっくりとですが自分用に家系図を作りました。
ブラック家、レストレンジ家に関わる周辺の家系図です。
レストレンジ、ブラックの家系図
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こちらはリタ・レストレンジとコーヴァス・レストレンジの関係を整理するための家系図。
レストレンジ家の家系図
クリックして拡大

一瞬混乱してしまいましたが、赤児の時にコーヴァスとクリーデンスを入れ替えて、コーヴァスは沈んだ船と共に死亡、クリーデンスはニューヨークの養母メアリー・ルー・ベアボーンに引き取られ、リタ・レストレンジはイギリスへ行ってホグワーツに入学した・・・ということですね。ややこしい!!(笑)

君の瞳はサラマンダー

ところで家系と言えば、ニュートの孫で魔法動物学者のロルフ・スキャマンダーとルーナ・ラブグッドが結婚し、二人で世界を旅して双子を生んだというエピソードがとても素敵で、そこまで見せてほしいとは言いませんが、とても温かい気持ちになりますね。
ニュートとティナに幸せになってほしいです。

ニュートはイモリ(ハリーがN.E.W.T試験で手こずるエピソードを思い出しますね)という意味、スキャマンダーはサラマンダーから取っているそうです。
彼らしい口説き文句を、不器用な彼が言う前に察してくれたティナ。
社会から見ると変わっている、はみ出し者という彼は、視点を変えると独創的で自由。

引き裂かれるクイニーとジェイコブ

しかし妹のクイニーは、何とまさかの闇堕ち……!!
情緒不安定なさなか、勧誘されてしまったのがいけなかったのか……。
お茶の後、奥から登場したグリンデルバルドに服従の呪文でもかけられてしまったのかとも思ったのですが、それだけであれほどの忠誠心が芽生えるのでしょうか……?
いつからグリンデルバルドが目をつけていたのか、どこからどこまでが運命なのか……。

クイニーは元々、優しくて気立ての良いお嬢さんだったはずですが、その笑顔の裏では沢山の闇を抱えていたのかもしれません。
裏表のない姉ティナとは、だいぶ性格が違いますね。
たまたま見かけたこちらの漫画が素晴らしくて、なるほどなぁ~~~と思いました。


しかし心を読める能力があれば、グリンデルバルドが何を考えているかも分かってしまいそうですが……?
彼女の行動は愛のため。
愛するジェイコブが痛めつけられたり、殺されそうになったりしたら、彼女は戻って来るのでしょうか。
今後の展開が楽しみです。

クリーデンスという少年

結局、クリーデンスはマグル生まれもしくはスクイブで、魔法が使えないのは濃厚な気がします。
にも関わらず、ラストシーンでグリンデルバルドは「君の本当の名を教えよう。アウレリウス・ダンブルドアだ」などと言い、なんだかつるっとした杖を袖口からマジシャンのように差し出して見せ・・・。
あれはもしかして、クリーデンス用にカスタマイズされたインチキ杖なのでは?と思ってしまいました。

見事に”黒い魔法使い”を誕生させたジョニー・デップ

いやはや、すごかった。
あの立ち居振るまい、仕草、表情、ほとばしるカリスマ・・・グリンデルバルドそのものでした。ジョニー・デップとジュード・ロウのために書かれた脚本と言っても過言ではない。
あれだけのブーイングを背に、演じきったということも凄いですが、やはり彼のカリスマ性を演じることができるのは、この2018年、ジョニー・デップしかいなかったのでは……と思ってしまうほど、完璧なグリンデルバルドでした。
だって、仮にベネだったらちょっと光が強いし、トムヒだったら線が弱いし、二人ともちょっと若いし……。
ダンブルドアはジュード・ロウでなければならなかったんです。だからグリンデルバルドもジョニー・デップでなければならなかったんです。他に誰ができるの!??
8年前、ジェイミー・キャンベル・バウアーがチラッッッと登場した時点で、何あの人!?どういう存在!?と、めちゃめちゃ気になっていたのですが……。
まさか、これほどまでにヤバい人物だったとは……。
あれは、もう、最も偉大な魔法使いと讃えられたアルバス・ダンブルドアが心酔してしまうのも仕方ないですね……。うん……。

ダンブルドアとグリンデルバルド

ちなみにアルバス・ダンブルドアは1881-1997、グリンデルバルドは1882-1998。
ダンブルドアの方が1歳年上だったんですね。

誰しもが持つ、欲望。彼の場合は権力。
グリンデルバルドと出会い、死の秘宝を求めて旅をしたダンブルドア。
戦わないという血の誓いをたてるほど、仲が良かった……というように見えましたが、もしかすると、そんな誓いを立てさせたのは言葉を巧みに操るグリンデルバルドだったかもしれませんね……!!
最強の杖を手に入れたグリンデルバルドと、親しかったはずの彼と距離を置き、権力を求めぬよう教鞭を執ったダンブルドア。
一体、二人の過去に何があったのか……?
ダンブルドアの妹アリアナが死んだのは、具体的にどういう原因だったのか……?
謎は深まるばかりです。

謎が解き明かされるのは、第五弾でしょうね。
これから2年おきに、メモ帳を一冊書き込むことになりそうです。

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