期待以上だった『ラフマニノフ ある愛の調べ』

恐る恐る観にいきました。
できるだけ期待しないで・・・。
というのは以前、映画のベートーヴェンでドーンと谷底に突き落とされ、マリア・カラスでは墓場に生き埋めにされそうで息が苦しくて死にそうになり(意味は考えないでくださいすみません)。
・・・そういうわけなので、今回かなり警戒していました。

音楽家を役者が演じる場合に最も重要な表現は、指揮者なら指揮をしているところだし、歌手なら歌っているところ、演奏家なら楽器を弾いているところ。
もちろん、かなり難しいのはわかるけど、俳優さんの演技力とか、カメラワークとか、演出などで、それらしく雰囲気で見せてくれれば納得するんですよね。
例えば最近ではマリオン・コテイヤールのエディット・ピアフなんかすごく迫力あったし、エイドリアン・ブロディのシュピルマンや同じベートーヴェンでもゲイリー・オールドマンは雰囲気があってとっても素敵でした。
少し前なら『ニューヨーク・ニューヨーク』のデ・ニーロもさすがに上手でした。
あ、それに『シャイン』のジェフリー・ラッシュ!
あげだすときりがないですね。
う~ん、書いているとまた観たくなってきますねえ・・・。

で今回、いろいろツッコミどころもありましたが(アメリカでもロシア語とか)、なかなか素敵なラフマニノフでした!
観終わって、娘とふたり、お互いホッとしました(笑)。
いや、というか、かなりハンサムで壊れ気味のラフマニノフ様、良かったです。
繊細ではかなげな芸術家のイメージ、よく出ていましたね~。
芸術家ラフマニノフの感情の浮き沈みや、信念や、また、音楽をとおして自分自身の愛の世界や、人生に苦悩し向き合っていく様子など、わかりすぎるほどわかってしまうというか、もうほとんど憑依のように彼の中に入り込んでしまいました。
あそこで弾けない気持ちとか・・・ああいう時はどのくらい辛いかとか・・・、いちいち彼の気持ちが理解できてしまうのです。
演じたエフゲニー・ツィガノフは何とまだ20代とか。
深みのある演技力、素晴らしかった!また是非次回作も観たいものです。
花束を海に投げるシーンが素敵・・・
彼を献身的に支える妻も素敵。素晴らしい人でした。
芸術家である彼に対して、妻はすごく普通の人だったのが良かったのかなあ、なんて思いました。
彼らのとても深くて強い絆には感動でした。
革命家のマリアンナさんもカッコ良かったな。
ライラックの演出も素敵でした。
ロシア語原題は『ライラックの小枝』だそうで、ラフマニノフのライラックに対する特別な思いが作品全体をとおして描かれています。
パンフにあった沼野恭子さんの解説から引用させていただくと、ラフマニノフの演奏会には匿名のライラックの花が届けられていたとか。
また、ラフマニノフは「ライラック」という歌曲を作曲しており、そのなかに、
“私の定めは人生に幸せだけを見出すこと、
その幸せはライラックに宿っている”
と、まさにこの映画そのもののような歌詞があるそうです。
音楽はもちろんのこと、ロマンチックで美しい世界にメロメロ~~でした~~何度か泣いてしまいましたし。
映像やインテリアなどのデザインも素晴らしかったです。ロシアの田舎の風景の映像も、美しくて、うっとりと観ていました。
撮影のアンドレイ・ジェガロフさんは42歳で昨年亡くなったそうで、何と残念なことでしょう。
あと、衣装がとても素敵でしたね。
ラフマニノフ様の淡い色のストライプシャツとか、麻のジャケットとか、たまらなくおしゃれ!
しかし一番ツボだったのは、愛人のメイドの衣装!
ゴスっぽいところなんか最高でした。
ちょっとしか登場してくれなかったのが残念。
メイクも、アイシャドウを濃くしていたりして、さりげなく遊んでるな~と思いました。
ロシア映画、なかなかイケてるな~と思いました。
ナイト&デイ・ウォッチも良かったしね。
ラフマニノフ、ストコフスキー、オーマンディ、フィラデルフィア管弦楽団・・・
なんという組み合わせ!
時々思い出したように出してきては聴いているCDです。
ラフマニノフ自身の演奏CDは、他にも色々出ています。
2008/06/05






