硫黄島からの手紙

2023年11月30日

制作:2006年アメリカ 141分
原題:Letters from Iwo Jima

監督:クリント・イーストウッド
脚本:アイリス・ヤマシタ
原案:アイリス・ヤマシタ、ポール・ハギス
原作:栗林忠道、吉田津由子(編)『「玉砕総指揮官」の絵手紙』
音楽:カイル・イーストウッド、マイケル・スティーヴンス
撮影:トム・スターン
編集:ジョエル・コックス

栗林忠道陸軍中将:渡辺謙
西郷昇陸軍一等兵:二宮和也
西竹一陸軍中佐:伊原剛志
清水洋一陸軍上等兵:加瀬亮
伊藤海軍大尉:中村獅童
藤田正喜陸軍中尉:渡辺広
谷田陸軍大尉:坂東工
野崎陸軍一等兵:松崎悠希
樫原陸軍一等兵:山口貴史
大久保陸軍中尉:尾崎英二郎
花子:裕木奈江
大杉海軍少将:阪上伸正
小澤陸軍一等兵:安東生馬




もう2回観まして、絶対に再度行く予定です。

しばらく感想が書けないでいました。
あまりにもいろいろな想いが胸いっぱいになって、どこから書いていいのやら、困ってしまったのです。
覚悟を決めて、そろそろまとめないといけないなあと、こうしてどうやら書いているわけです。
しかし思い出すと、まだ感動の嵐で・・・困ってしまいます。

なんというか・・・。感動というよりはもう、感無量です。
イーストウッド流の人間ドラマの密度の濃さ、血のかよったセリフ・・・。
すぱっ、すぱっ、と決まるひとつひとつのシーン。
シンプルで淡々と、しかし熱い想いが感じられる。
監督は、ワンテイクしかやらないというのは有名な話ですが、その撮り方が作品全体に効果的に表れているような気がしました。
だから、観てて気持ちよいんですよね、彼の作品は。
確かにテーマは重いのですが、この潔さがイーストウッドらしいというか、実に良かった。
もうね、ファンの私としては、まさに感無量なのです。
イーストウッドの戦争映画。
それだけでじゅうぶんなのに、日本からの視点で、こんなにも日本に敬意を持って作ってくれるとは。

映画的には「父親たちの星条旗」のほうが上だという感想もありましたが、私としては、「硫黄島からの手紙」を作るために1作目があったのではと思わせるくらいに、今回の2作目はよくできていたと思いました。

で、もうここで感想終わりたいくらいなんですが(笑)。
続けてがんばります。

戦闘シーンが少ないですが、戦争の悲惨さや無意味さは、とてもよく描かれていたと思います。
過剰に演出していないのに、いや、だからこそなのか、じゅうぶんに伝わってきます。素晴しいです。
日本でも、かなりの動員数ということなので、きっと多くの人々にそのことは伝わるのでしょう。
しかし、きちんと映画としての完成度があり、
そして映画としての楽しみを忘れないでいること。
そういうたくさんの、あふれんばかりの素晴しい要素を、監督から、まるでプレゼントのように受け取ったような気持ちです。

言ってみれば、かつては敵国であったアメリカ人の、監督の手によって作られた作品です。
こんな時代になったことに、ほんとうに心から感謝すべきなのでしょう。
そういう意味から、この作品は、今後をとても前向きに考える良いきっかけとなってくれると思います。
過去に目をそむけたり、観ないようにするということが、いかに救われない行為かと思いました。
過去を知ることは、自分を知ることだと、何かで読んだ記憶があります。

硫黄島という、地球からみれば小さな小さな島。
あえて舞台を限定して絞り込んだことで、
その、小さな孤島から、世界を見た様な気さえしました。
ほんとうに凄かった。
やはりこちらも、「父親たちの星条旗」と同じく、色彩感を薄くして、
まるで回想シーンを見ているような気持ちにさせられる効果でした。
「父親たち~」のほうもとても良かったのですが、
「硫黄島~」のほうはますますその効果が発揮されていたように思いました。
日本人の雰囲気に、モノトーンがよく溶け合っていて、
ほんとうに綺麗な映像でした。

で、この作品であらためて、日本の俳優さんって素晴らしいではないですか!と確認させられました。
撮り方がいいと、こうも違うんだなと。
そして、痛感しました。
日本には、映画を作れる人はいないんだね・・・。
いい俳優さん、宝の持ち腐れですよ?

でも、ちょっとだけ気にかかったのは、水も食糧もほとんどない状態で長期間すごしているとなると、もはや「マシニスト」のクリスチャン・ベイル状態なのではと想像してしまいました。
あれはとても危険なので、俳優さんにそこまでは要求とか期待しませんけども、皆さんいかにも栄養状態良好という感じでした。
清水とか西郷は、もともと繊細なせいか結構、雰囲気出てました。
「散るぞ悲しき」の中には「やせおとろえた幽鬼のごとき姿」という表現がありましたし、皆さんもうちょっと役作りしてくれても良かったかなあ、と思いました。

とくに、渡邊さんは「ラスト・サムライ」とか「SAYURI」のときなんかより、ずっとずっと良かった。
今までで一番好きかもしれません。
あと「バットマンビギンズ」の彼は・・・論外です。
ケタ違いに彼の良さが引き出されていたように思いました。
ちなみに「ラスト・サムライ」は日本の美意識が奇妙にデフォルメされていて、世間の評判は良かったのですが、私は気持ちが悪くて好きになれませんでした。

この作品の人物描写は大変見事です。
やはり脚本がすごいなと思いました。
それぞれの登場人物の生き様が、明確で、血が通っていて、動作やセリフや役割にもきちんと表現されていて。
どの人物にもどこかに共感する要素がある。
脚本もさることながら、監督の演出もお見事です。
イーストウッドは、シンプルなスタンスでありながら、細部への配慮も天才的だなと思います。

ジャニーズに興味がなく、ましてや嵐なぞもまったく知らなかった私ですが、二宮和也ってすごく演技が上手いので、びっくりしました。

脇役陣も素晴しかった!

あとから考えると、大林(だっけな?)、中間管理職みたいなおじさんね。
憎たらしい役なんですが(笑)、あの役者さんも、とっても印象に残る人でした。
去り際の演技なんか、非常に味がありましたね。
とくに車に乗っていくときの後ろ姿がよかった。

それと、いつも西郷と一緒だった、目のぎょろっとした人。
名前が不明なのですが、彼はすごく雰囲気がありますねえ。
声の調子のとりかた、表情、どれも素晴しいです。
まるで昔の俳優みたいな顔立ちなんかもいいし。
「弾がない!弾がない!」って叫ぶシーンで泣かされました。
家族の写真を握り締めるところも・・・

加瀬亮演じる清水も、強烈な印象でした。
彼は、若いのにすごく存在感がありますね。
短いシーンのなかに、憲兵の異常性とそれに従うことができなかった彼の人間性がよくあらわれていて、心に残りました。

よくぞ使ってくれました!と感激だったのが、西中佐役の伊原剛志。
長年贔屓にしていた俳優さんだったので、あんなに華のある役をやってくれて、もう嬉しくってたまりませんでしたね。
監督に感謝です。

伊藤中尉役の中村獅童も。登場シーンは少なかったのですが、非常に心に残りました。
極限状態になったときに、いままでと逆の行動をとってしまう人。
かならずああいう人物って登場しますね。

そして、いろいろな情報を読むと、いかに栗林と西が天才的で、秀でていたかがうかがえます。
2人が海辺で再開するシーン、とても素敵でしたが、2人にはとても共通する部分が多いのですね。
2人への知識がなくても、あの再開シーンで、なんなとなく、この2人は親友のようにお互いに深い尊敬と理解、そして共感する部分を所有しているのだなということがうかがえました。
その後、ネットや本で調べると、2人の人物の秀でた才能や人柄に、驚きと悲しみと・・・なんともいえない気持ちになりました。

それにしても栗林中将の「絵手紙」には参りました!
その絵と文章のセンスにはやられましたね。
絵の上手で簡潔なことや、その横に添えられた文章の温かさに、人間の奥行きを感じ、感動しました。
絵手紙の本も出ているようですね。
西は、男爵家の出であり、ダンディズムを地でいく人。
彼についていろいろと調べてみたら、こんな優雅で天才的で、キレてる日本人がいたんですね!とものすごく感動しました。
と同時に、こんな素晴らしい人があの島で命を落としたなんて、と、あまりにも残念です。

ところで、私の父は東京の下町生まれだったので、戦時中は長野県に疎開していました。
それで、子供の頃は、しょっちゅう、夕食の席で父親の、戦時中の体験話を聞かされて育ちました。
当時の写真などもありましたから、それを見てはまた、語ってくれたものです。
とにかく、何が大変だったの、これが大変だったの、それが大変だったのと、「大変だった、大変だった」ということを繰り返し繰り返し聞かされて育ちました。
父の兄弟は半数が亡くなったそうです。
叔母(父の姉)の家(都内ですが)には、毎年夏休みというと泊りがけで遊びに行っていましたが、このときも、夕食の席では毎度毎度、戦時中の話でした。
叔父も叔母も、まだ子供であった私に話すときは軽い冗談のように明るくアレンジして聞かせてくれていましたが、私の脳内のイメージには凄惨なシーンが刻みこまれていきました。
竹槍の練習をさせられた、とか。
叔母は、満州にも行っていた経験もあり、当時の婚約者は特攻隊で亡くしている人です。
写真も見せてくれました。
美しく端正な顔立ちの、軍服姿の人が目に焼きついてしまいました。
同時に、深い悲しみが刻み込まれました。
叔父はといえば学徒出陣の年代だったそうで、死体処理をやらされていたとか。
大きな穴を掘り、そこへ遺体をどんどん入れて、燃やすのだそうです。
食べ物がいかになかったか、という話も、何度も何度も繰り返し聞かされました。

戦場に行く前に、演習などで命を落とした人もいたし、戦地では、映画にも出てくるように、戦闘ではなく、病気になって死ぬ人もたくさんいたそうです。

それで、そんな話を聞かされながら、私は戦争を知らない世代ではありますが、戦争に対する嫌悪感はそのころに育てられたのかもしれません。
しかしそれとは反対に、戦争に対する興味が残ったようでした。
なぜ、無意味なことを人々はやらされてきたのか?
なぜ、合法的殺人が許されてきたのか?
表と裏の存在。
表があれば、つねに裏が存在するのです。

今はほんとうに平和で、物は豊かすぎるほどなのだ、ということを思い知らされてきました。
しかし、ありあまるほどの食べ物やモノは、私たち日本人の感覚を麻痺させてしまいました。
なにが真実であり大切かということを、知らない人が多すぎます。
人間は非常に愚かだと、思って結論としてしまっても、しかたがないかのような状況です。
しかし、今ここで、この「硫黄島からの手紙」が作られたことが、わたしたちにとっても、とても良いタイミングだったのかもしれません。

今回の「硫黄島からの手紙」は、物語がほとんど前線でのできごとに絞り込まれています。

そして、常に顔が見えない大本営。
でも、それがかえって硫黄島の孤立と栗林たちの孤独感、そして恐怖感、空虚さ、などを強くあらわしているのかもしれません。
反対に、「父親たち~」では、見えない敵の日本兵と戦う米兵が描かれていました。

日本の場合、なぜあんなにまでして国民を洗脳しなくてはいけなかったのか?という疑問が残ります。
ほとんど狂気です。
単純に考えると、すぐバレる嘘をなんとかごまかすために、おどかしたりつついたりして、無理やり取り繕ってるみたいな・・・
要はそこに矛盾が存在するからですね。
だから、明らかに怪しい。
「父親たちの星条旗」では、兵士たちの視点でとらえていながら、米国の政治的な背景の部分にまでふれていました。
「麦の穂をゆらす風」でも、政治的背景を織り交ぜていながら、ひとりの人間という視点で表現していたので、頭が整理されやすかったのですが・・・。
今回も、実はもっとそういう部分まで描いてくれたらなあと思っていました。
しかし、あえて監督は人間のドラマに焦点をしぼり、描きたかったのだろうなと思いました。

ネットの記事にこのように書かれていました。

”渡辺さんは知米派とされる同中将について、グローバルな考え方を持っていたと説明した上で、「そういう人がとても生きにくい時代だったし、だからこそ最前線に送り込まれた」と分析。
また、日本人は過去の戦争についてあまりにも知らないと苦言を呈した。”

渡邊さんがおっしゃるように、私はほとんど何も知りませんでした。
実に恥ずべきことです。
アメリカ人の、イーストウッド監督によって、その事実を知らされたというわけで、ほんとうに日本人として恥ずかしいことだと思い知りました。
というよりも、言い訳にもなりますが・・・、あまりにも、日本人は知らされていないのではないでしょうか?

戦争のことなんか・・・。暗くなるだけだし・・・。
と、ほとんどの人はそういう反応をして、語り合うこともせず、事実から目をそむけていくけれど、事実をきちんと受け止めていかないと、真実はやってこないのでしょう。

「今や弾丸尽き涸れ 全員反撃し 最後の敢闘を行わんと・・・」
この最後の言葉に、そのときの様子を伝え残そうとした栗林中将の気持ちがこめられていますね。

最初、上陸した栗林中将は愕然とします。
硫黄島の戦力は、ほとんどゼロに等しい。
それでも、島を守り、一日でも長く持ちこたえてやるんだという軍人としての任務と、本土にいる家族への想いとがありました。

栗林中将に学んだこと。
どんなに過酷な状況であっても、やれることをやりなさい、ということ。
それは、例えばすぐには何かにならなくても、信念を持ってやったことならきっと、いつか必ず何かになるということ。

<以下ネタバレあり>観賞後にお読みください。内容がわかっても大丈夫な方はどうぞ。

潜在意識、というものが、ここでも気になってしまいました。

西郷は、妻のお腹に話しかける。とても印象的なシーンです。
「ポケベルが鳴らなくて」の裕木奈江、ほんのちょっとの出番なのに、すごく印象に残る人でした。
いい味のある演技してましたね。

「誰にも言うなよ。必ず生きて帰ってくる。」
おそらくそれは、赤ん坊というよりは、彼の潜在意識に目的を叩きこんだのだろう、と思いました。
なぜなら西郷の行動は、意識的であれ、無意識的であれ、すべてが「生きる」というベクトルで動いているからです。

かなり以前のことですが、とあるTV番組で、戦争で生き残って帰ってきた日本人兵士たちのドキュメンタリー番組がありました。
皆さん、老齢となっているのですが、全員が「生きて帰ってきて申し訳ない。戦場で死ねばよかった」と言って泣いているのです。
生きて帰ってきたのに、歓迎されない、ということもあったらしいのです。
私は彼らの苦しみを見て、本当に衝撃でした。
生きて帰ってはいけない??
理解の範囲をこえていました。
そして、そんなにも価値観が歪んでしまっていて、しかも過去のこととなった現代でもまだ、その傷跡をひきずっているという事実を知りました。

細胞というものは、常に「生」の方向で活動するという話を聞いたことがあります。
つまり、人間というのは、本質的に「生きる」という方向性を持って生活しているわけです。
生きる方向性から逆行しようとすると、必ずそこになんらかの弊害が生じると考えれば、実に納得がいきます。

名作には、心に残るシーン、セリフがキラキラとちりばめられていますね・・・
思いつくままに、いろいろ書いてみました。

1.
西郷が、米国の戦艦が来たときに「30隻くらいじゃないのか」と言ったあとに、偶然外に出て目に入った、光景。
何万という艦隊。
そのシーンで、結局、何も事実を知らされずに前線で戦っていた自分を思い知ることにもなる。
様々な矛盾を目の当たりにし、西郷はやはり死、ではなく生きることの決意をますます固くしたのではないだろうか。

2.
「おまえはアメリカ人に会ったことがあるのか?」という西中佐のセリフが、印象的でした。
非常に説得力のあるセリフでした。
そうだよ、日本人もアメリカ人も、同じあたたかい血が流れる人間なんだよ。
そんな当たり前のことを、情報操作によって、考えることさえ奪われていたのです。
しかし、同じ人間だって思ってしまったらもう、戦えないでしょう。
考えないようにしていたのかもしれません。

栗林と西以外は、殆どの兵士が、アメリカ人には会ったことがなかったわけです。
それを逆手にとって洗脳され、鬼畜米兵と呼び、米国人は日本人より劣ると思い込まされていた。

3.
西中佐が、米兵サムのかたわらにあった母からの手紙を読むシーンも良かった。
あそこで、確実に、日本兵たちの心は米兵も自分と何ら変わらない、血の通った人間なんだということを理解したのでした。

4.
「ここはまだ日本か?」という栗林中将の最期のセリフ。
西郷が顔をあげ、その目線のさきに海が見えます。
海の向こうには空があります。
「はい!」と彼は答えます。
ここでも泣かされました。
無念と、任務をやりぬいた、という思いと、そこで様々なことが一気に感情の波のようになって押し寄せてくるのです。
すごいひとことでした。

5.
2度あることは3度ある
結果的に、栗林は西郷を3度助けたことになります。

6.
イギー。すごく気になっていました。
でも、米兵のリンチシーンが出てきたけど、あれはイギーだったかしら?
なんか違う気がしました・・・。
てっきりあそこでイギーが?と思ったのですが。
辛いシーンでした。でもあそこに清水たちがいたんですね。
そして、このリンチシーンと、西中佐がサムを手当てしてやれ、と指示するシーンが対照的でした。

栗林中将が家族にあてた手紙には、何度も何度も東京大空襲のことを予測して家族の無事を心配しており、なによりも一番の気がかりだったようです。
それに、彼が孤立した島を必死に守っていたのも、東京への爆撃をなんとか延期、あるいは避けたいがためのことであったわけで・・・。
3月16日に西中佐戦死、3月26日に栗林中将戦死となっておりますので、当然3月10日のことは知っていたのではと思うのです。
しかし劇中には出てきませんでした。たぶん何かのかたちで知ったはずであり、そのシーンはとても重要な気がしましたが、どうしていれなかったのでしょうか。
監督の意図が知りたいなと思いました。

栗林と西の死に方は、事実とは少し違うようでした。
でも、それぞれが、ほんとうにその人物らしい最期を演出(といったら失礼だろうか)していて、きっと、監督は栗林ならきっとこうするだろう、とか、西ならきっとこうだろうとか、そんなふうに考えたのかもしれません。
事実と違うのではという点は、そんなに気になりませんでした。
逆に言えば、とてもイーストウッドらしい演出、ともいえるかなあ。
また、アメリカ軍の兵士が、亡くなった日本兵の実に付けていた遺品や、「首」を母国に持ちかえり、周囲に自慢するのが流行っているらしいぞ、と、ウワサされていたそうです。
ですから、万策尽きて、最後の突撃を敢行する際は、幹部たちは階級章など、自分がどこの誰だかわかってしまうようなものは全て体から外し、焼却した上で特攻したと言われています。
栗林中将が、実際にどういう最後を向かえたのか、これはもう誰にもわかりません。
わかりませんが、血眼になって硫黄島中を探し回ったとされるアメリカ軍が、中将の遺体をついに発見出来なかったところからも、やはり身分がバレるようなものは見に付けずに戦死し、生き残った兵士によって土中に埋められたとするのが一番しっくり来るような気がします。

どこでやめたらいいかわからない感想です。
もう、語りだすと止まらないですよ・・・

ふたたび「父親たちの星条旗」とあわせて観賞したいです。
2部連続上映、やってほしいです!!
「硫黄島からの手紙」だけ観てる人も多いようなのですが、絶対に2作あわせてご覧になることをおすすめします。
なぜなら、2作あわせてひとつの作品になっているからなのです。

監督はこの作品を”日本映画”と言いました。
全編きれいな日本語で、登場人物を演じるのは本物の日本の俳優さんです。
しかしそれはやっぱり冗談としかとらえることができません。
こんな深みと奥行きのある素晴しいライティングと撮影は、とうてい今の日本映画ではありえません。
やっぱり、アメリカの映画だと言うしかありません。

音楽もとても気に入りましたので、サントラ予約しました。
まだ届きませんが(今は「父親たちの星条旗」を聴いています)。
う~んと、音楽のほうも、硫黄島のほうが好きかな~~~。
息子のカイル・イーストウッドが参加しているはずなのですが、パンフのスタッフのところに名前がなくて、あれ?っと思いました。
エンドロールには確かに彼の名前がありましたのに。
親子で映画作りって、素敵ですね。

 

最後に、監督のインタビューを載せておきます。

「私が観て育った戦争映画の多くは、どちらかが正義で、どちらかが悪だと描いていました。
しかし、人生も戦争も、そういうものではないのです。私の2本の映画も勝ち負けを描いたものではありません。
戦争が人間に与える影響、ほんとうならもっと生きられたであろう人々に与えた影響を描いています。
どちらの側であっても、戦争で命を落とした人々は敬意を受けるに余りある存在です。
だから、この2本の映画は彼らに対する私のトリビュートなのです。
日米双方の側の物語を伝えるこれらの映画を通して、両国が共有する、あの深く心に刻まれた時代を新たな視点で見ることができれば幸いです。」
――――――――クリント・イーストウッド

 


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