パブリック・エネミーズ

2018年5月10日

制作:2009年アメリカ 143分
原題:Public Enemies

監督:マイケル・マン
脚本:ロナン・ベネット、アン・ビダーマン、マイケル・マン
原作:ブライアン・バーロウ
音楽:エリオット・ゴールデンサール
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:ポール・ルベル、ジェフリー・フォード

ジョン・デリンジャー:ジョニー・デップ(平田広明)
ビリー・フレシェット:マリオン・コティヤール(石津彩)
ジョン・“レッド”・ハミルトン:ジェイソン・クラーク(石住昭彦)
ハリー・“ピート”・ピアポント:デビッド・ウェナム
ホーマー・ヴァン・ミーター:スティーヴン・ドーフ(田坂浩樹)
“ベビー・フェイス”・ネルソン:スティーヴン・グレアム
ウォルター・ディートリッヒ:ジェームズ・ルッソ
アルヴィン・カーピス:ジョヴァンニ・リビシ
フィル・ダンドレア:ジョン・オーティス
チャールズ・マクリー:クリスチャン・シュトルテ
“プリティ・ボーイ”・フロイド:チャニング・テイタム
メルヴィン・パーヴィス捜査官:クリスチャン・ベール(東地宏樹)
カーター・バウム捜査官:ロリー・コクレーン
J・エドガー・フーヴァー長官:ビリー・クラダップ(森川智之)
チャールズ・ウィンステッド捜査官:スティーヴン・ラング(有本欽隆)
アンナ・セージ – ブランカ・カティク(林りんこ)
ポリー・ハミルトン – リーリー・ソビエスキー(タルタエリ)

時間がないと言いながら、実は、少し前のことではありますが2回も観てしまいました。
また観たい、完成度の高い素晴らしい作品です。
マン監督は、セリフが少ないし説明的なシーンも極限まで少なくしていくというやりかたなので、
観る側の想像力が少々必要な映画です。だけど私は、マン監督のそういうところが、大好きなんですよね。
説明的すぎるのは、ハードボイルドじゃないんだよね、ってとこがよおくわかってくださってるし、そんな監督の気持ち、どういう風に表現を抑えていきたいのかということがわかるし、観るほうとしても、そういう風にシンプルに、やや足りないくらいの感じの演出に嬉しくなってしまうのです。
正直いうと、あのシーンのセリフがどうだとか、ひとつひとつ細かく話したくてしかたがないのですが、ネタばれになるからできませんね・・・残念です。

本作とは全然無関係ですが某邦画(つい最近話題だったのでちょっと気になり)をTVで観たら「なんてアップが少ないんだろう・・・昔の映画みたいだ。退屈極まりない映像だ。」と思いました。
映像が死ぬほど退屈で眠い。例によって照明回し過ぎてて影もなく、のっぺりとした平坦な画面。
で、そのあと「パブリックエネミーズ」を観たものですから、動きのある、素晴らしく臨場感あふれるカメラワークにやたら感動したし、アップと引きの遠近感のある構図にも感激でした。
(そもそも比べるレベルではないのですが)

それとはちょっと別の話ですが、娘が「昔の映画って面白いよね。カメラが動かないから。」と言うのです。
そういえばそうだったなあ。それでも最低限、洋画だと構図は考えて作ってるし、陰影のつけ方などはすごく工夫してると思うんですよね。
特にヒッチコック作品などは影の効果的な使い方が秀逸です。
モノクロ映像だと、特にコントラストが強いから楽しい。

とにかくもう、なにもかもツボにきまくり!
やっぱりマン監督のハードボイルド、大好きですね~!最高!
本物の上質な大人の映画という雰囲気に浸りきって、幸せでした。

そして、マン監督の銃撃戦シーンは今、他のどの監督よりもいいですね。
最高級って感じです。
2回観たけど、観るほどにいいなあと思います。
これは昔、レオーネ作品観てて、何度も何度も観れば観るほど凄いなあ~と、細かいところにどれだけ気を使って作ってるのかがわかるほどにのめりこんでいくんですよね。
ああいう感覚を、今、劇場で同じように味わえるというのがすごく幸せです。


男の世界に華を添えていたマリオン・コテイヤールの存在感も素晴らしいものがありました。
彼女はジョニー・デップと似合うなあ~と思いながら観ていました。

ハードボイルドだけど、ラブ・ストーリーになっているというところも良かったし、マリオン・コテイヤールの存在が甘すぎず、単にお色気担当で出ているなんていうんじゃないのは言うまでもないことで、しっかりとした演技力も素晴らしいです。


クリスチャンベイルのパーヴィス捜査官が、ジョンと会って、別れ際の感じがなぜだかやけに印象に残ってしまいました。2人が会った時、何かを感じ取ったんだな・・・と思わせる演出が良かった。
ああいう繊細な演技はクリスチャンならではですね。

彼は切なくって・・・最後のシーンのクリスチャンの表情が何ともいえませんでした。
マン監督作品は、言葉が少ないんですよね。行間を読む感じが、切なさをさらに高めるんですね~
人物の内面から描きたかった、という監督の言葉を読んで、ああ、やはりそうなんだなと思いました。


娘と観たのですが、我々の両隣に3人くらい銀縁眼鏡のダンディな白髪紳士が座っていて、皆さんひとりで来てるようでしたが雰囲気がすごくよく似ていました。
オペラの時となんだか雰囲気が似てるし、どうも私は白髪紳士達の趣味の領域に入りこんでいるのだろうか・・・などと思うのでした。

マン監督が1943年生まれですが、たぶん、同じくらいの世代の男性だと、
監督の描きたい男のダンディズムがよーく理解できるのかもしれないなあ、なんて思いました。
私?・・・はですね、あくまでも想像の中で理解を深めて楽しんでおります。
でもこんな作品を観た時ほど、男に生まれたかった~とつくづく思ってしまいますね。
そう、つまり、同じ男としての共感ってやつを実感してみたいわけです。


ジョニー・デップは、雰囲気も服の着こなしもなんだか普段のままのような、ぴったりハマってて。

ジョニーの着こなすダンディな紳士服には見とれっぱなしでした!
チェックのコートも、ベストも、シャツも、中折れ帽も・・・、どれもみな着てみたい!と思ってしまいました。生地の質感やシルエットなどの観察に忙しくて、おそらく私が最も興奮したのは衣装だったような・・・。
クリスチャンの着てたグレイのスーツとか、最後に着てたベージュのスーツもすごく素敵だったなあ。ポケットから取り出したマッチ箱のブルーもオシャレでした。
羨ましくてしかたがない、男の世界、なのです。


劇中に使われていたクラーク・ゲーブルの「男の世界」という映画が気になり、DVDを探してみたけど見つからず。うーん、気になります。

最初の銀行強盗シーンで「LOST」でクレア役のエミリー・デ・レイヴィンが出ていてすごく目立っていました。
金髪にブルーの服が似合ってて、赤い口紅。すごく綺麗だなと思いました。


これはプレミアの時のジョニー。
オシャレですね~。

ほとんどジョン・デリンジャーそのものという感じです。

この作品は脇役陣の選び方が、すごく個性的ないい俳優さんばかり起用していて、流石にセンス良いなと思いました。

「ロード・オブ・ザ・リング」でファラミア役のデヴィッド・ウェナム、脇役ながらも光っていました。
冒頭の刑務所のシーンから目に止まり、画面の隅でチラチラしてるから妙~に気になって。でももっと顔映してほしい!と思いました。

それからフーヴァー役をビリー・クラダップ。
この前の「ウォッチメン」の青い人がまだ記憶に新しいです(笑)。
しかし今回すごく太っていてびっくり!貫録つけていたのか、顔が違っててびっくりです。

「パンデミック・アメリカ」で主演のスティーヴン・ドーフもちょこっと出ていて、なんとか確認。
この映画、結構動きの多いシーンばかりなので、脇役俳優さんおっかけるのがかなり大変です。私はそういうのが得意なほうですが、2回観て確認したシーンも多かったです。なので1回だと「あれ?あれがそうかな?」みたいな感じになるところもそうとうあります。


これは「ディス・イズ・イングランド」でコンボ役の時のスティーヴン・グレアム。
今回はジョニーの一味で”ベビー・フェイス”・ネルソン役でした。
彼はすごく良かったですねー。キレっぷりが最高の演技!彼は困った人の役が妙にハマる。
仲間の面倒見の良いジョニーも、さすがに手を焼くという感じで(笑)、本当にいい味出してました。

大分前にサントラを購入して聴きまくりでした。
音楽のセンスも、とても良いです。このサントラはおススメですね。

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すでに曲は知っていたので、おお、このシーンでこんな風に使われるのか!とか、その使い方にも感心しながら観れて、とても楽しかった。

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