X-MEN ファイナルディシジョン

最初観たときに失敗したこと。
マイアミ・バイスを観たすぐあとに観てしまったのです。
(1日2本以上観ることはよくあります)
それで、まず画面の粗さに「あれ?!どうしたんだろうこれは?!」と思って・・・、でも、しばらくしてすぐに慣れてしまいました。
なにしろ、マイアミ・バイスのHDカメラの映像はほんとうに綺麗で、あのレベルの解像度に慣れちゃったらこのあとが困るというわけです。

さて・・・。
1作目より2作目ということで楽しんできて、3作目を楽しみにしていました。

実は、今回この作品の感想を書くのがとても難しいのです・・・。
私は、人様の作ったものに対して、批判的な態度をとるのがあまり好ましくないと考えているので、特に映画の場合は「とにかく楽しむ」ということの姿勢で臨んでいます。
X-MENは大好きです。
というか、アメコミ・ヒーローものはとにかく好きなのです。
だから、多少のことは大目にみてしまいますね。

でも??

で、さきほどの続きになりますが、マイアミ・バイスの大人の雰囲気からガラ~~っと変わって、冒頭から、いかにもオタク向き、お子様向きな軽いノリについていけなくって、
「あれれれ?」
おっといけない!モードを切り替えるのを忘れてた!
と、脳のモードを切り替えてからはなんとか、世界にはいることができた。
しかし、隣の男はボリボリ食べどおし、前の席の二人はこともあろうに、しゃべってるしで、最悪の環境だったため、ちっとも集中できず、イライラしただけで終わってしまった。
なんというマナーの悪さ!

それで不満を解消するために、2度目に挑戦。
今度は落ち着いて観ることができた。
結構感動できた。
泣いたり、笑ったりのシーン、アクションとかなり盛りだくさんな感じだし、
とりあえず問題は解決してスッキリするしで、
単純でわかりやすいから、一般的にいって、非常にウケがいい作品の出来具合になっていた。
だから、レビューを読みにいくと、一般評価が高いのもうなずける。
わかりやすいから。
簡単なのである。
わかりやすいと、一般の評価は上がる。
これが世間の常識である。

やっぱり「スーパーマン・リターンズ」のあの感性。
そして作品の完成度を観てしまうと・・・、
どうも今回のXーMENはとりあえずの感動、しかなかったような。
物足りなさが心残りな感じなのです。
感動のシーンも、どうもおざなりというか。
それでも、俳優さんたちの演技がさすがというか、深みがあって素晴しいので、
彼らの表情を追いかけているだけで、心は熱くなってくる。
これでもっと、深みのあるエレガントな演出をしてくれてたらなあ。
だけどアメコミでそこまでのレベルを求めても無意味なのか、とも思ったり・・。

ブライアン・シンガー監督だったら・・・という気持ちがどうしてもひっかかるのかもしれない。
スターウォーズのようなシリーズものにするという狙いがあるらしいのですが、
それならやはり、同じ監督でやり通すほうが良いのではと思ってしまう。
監督の個性が生かされないと作品は生きてこないし、
作品としての一貫性がなくなってしまう。
ファンというのは結局は、監督の感性についていくものなんじゃないのかなあ、と思うのですが。
少なくとも私はそうした作り手の視点を重要視しているつもりなのです。
確かに、アクションも派手派手に、よくできていたけど、
細かいディティールのツメが甘いというか。
深みがないんですよね。
だから、観終わったときに、料理で例えると、とりあえずは目にも、ボリューム的にも満足なんだけと、何かが欠けている気がするんですね・・・。
いや、決して嫌いじゃないし、好きなんだけど・・・。

さて。
人によって、好きなキャラクターが決まっていると思うのですが、
私は断然、マグニートのファン。
イアン・マッケランのかっこ良さは前回に引き続いて、いや、さらに出番も多く、大活躍だったので、その点非常に満足度は高かった。
やっぱりサー・イアン・マッケランが最高です。
あの声、話し方。
20年前の若作りスタイルにドキドキしました。
変な色のコートもダンディに着こなして(笑)。
とくに、一番カッコイイのは、車をバンバンひっくりかえしたり、ぶっ飛ばしたりするシーン。
まるでオーケストラの指揮者のような華麗な手つき!
ほんとうにエレガントな演技なさっていて、ホレボレしてしまいます。
彼はゲイで、ベジタリアンです。

娘の大好きな、ストーム。
髪の色がいいとか、目が白くなるのがいいとか、雷がいいとか、
とにかく、観る前も終わってからも、ストームストームストームばかり言ってる(笑)。
はねっ毛がかわいい。

サイクロップスが・・・ショックでした・・・
彼にはいろいろと思い入れがあったから、
あまりにも簡単すぎる扱いにはかなりショックを受けた。

ジーンも良かったですね~。
セリフが少ないし、なんだか無表情っぽいのに、雰囲気がすごくよく出ていて。

個性的な登場人物がたくさんで、ひとりひとりにコメントしたいくらい。
なんだかんだと言っても、好きです。X-MEN。
また作ってくれるなら、必ず行きます。

あと、この作品の「少数派」という存在へのメッセージに共感するところが大いにありますね。
少ない=普通じゃない=異常=排除
これって、危険な考え方なのです。