オーケストラ!

作品情報

 時間:119分
 原題:Le Concert
 製作:2009年フランス
 監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
 脚本:ラデュ・ミヘイレアニュ、アラン=ミシェル・ブラン、マシュー・ロビンス
 撮影:ローラン・ダイヤン
 衣装デザイン:
 音楽:アルマン・アマール
 
 キャスト:
アレクセイ・グシュコブ(伊藤和晃)
メラニー・ロラン(甲斐田裕子)
フランソワ・ベルレアン(小島敏彦)
ミュウ=ミュウ(唐沢潤)
ドミトリー・ナザロフ(石住昭彦)
ヴァレリー・バリノフ(佐々木敏)
アンナ・カメンコヴァ(藤生聖子)
アレクサンドル・コミサロフ(多田野曜平)

『オーケストラ!』の感想

2010年も約半分ほどが経ち、映画の感想もたくさん書いたし、その中でも素晴らしい作品がいくつもあり、何度もブログ上で「今年のベスト10入り!」なんて叫んでいた気がします。
それはもちろんその通りだったのですが、「オーケストラ!」はもう、ほんっとうに最高でした!!!
笑うだけ笑って、ハラハラさせられて、泣けて、政治的な要素もあり、そして、何といってもクラシック音楽のオーケストラの世界を舞台裏から描いているところが素晴らしく、楽しくてたまりませんでした。
チャイコフスキーのVn協奏曲と言えば、ついこの前ヒラリー・ハーンの演奏会に行ったばかりだったし、大好きな曲だから自宅でもしょっちゅうかかってますね。
聴けば聴くほど美しいなあと思っています。
その後、マシュー・ボーンで「白鳥の湖」、「モーリス」でもチャイコフスキーの交響曲が使われていましたので、そんなこんなでここのところずっとチャイコフスキーに浸りっぱなしです。


ヴァイオリニストのアンヌ=マリー・ジャケは「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロラン。
ヴァイオリン演奏はかなり特訓したとみえ、見た目なかなか決まっていてカッコ良かったですね。
観ていてムターを彷彿とするような風情でした。
劇場ロビーではムターのCDを販売していました。


指揮者アンドレイ・フィリポフ役はアレクセイ・グシュコブ。とっても素敵でした!
ロシア国内ではかなり有名な方だそうですが、演技でも指揮者は難しいと思うのに、指揮っぷりもなかなか決まってました。
見た目は怖そう?な印象ではありますが実際はシャイで物静かな芸術家という感じで、話し方も落ち着いていて、じんわりと内面の情熱を演じて見せてくれ、素晴らしい俳優さんだなあと思いました。


ラスト12分、コンサートの様子をじっくりと見せてくれたのは嬉しかったし、この12分間は本当に感動的で素晴らしかったです。
過去、現在、未来へと繋がっていく音楽の世界。
すっかり浸りきってしまいました。

アンドレイが、なぜ、詐欺師まがいのことまでしてオーケストラをチャイコフスキーのコンチェルトにこだわるのか、また、なぜアンヌ=マリー・ジャケでなくてはならないのか、なぜ彼は指揮者ではなくボリショイ劇場で清掃員をしているのか、大切に保管してある折れた指揮棒・・・などなど、その秘密は物語が進行するにつれ明らかになっていきます。
逆境で生きる人々、そしてそれをさらに逆転させる痛快さ。

脇役がみんな個性的すぎるほどで、それぞれの描写がとても面白かったです。
コンマスがジプシーで、いきなりパガニーニのカプリーズを軽快に弾いて見せ、「倍速?!どうやったの?」とアンヌ=マリーを驚かせるシーンが印象的でした。
パガニーニといえば超絶技巧、それをいとも簡単そうに笑顔で弾く様子。
クラシックファンにとって、こういうシーンってなんとも楽しいですね。
また、冒頭から前半はもう、笑いっぱなしでした。
ロシアネタとかクラシックネタで笑いまくり。+パリ♪って感じでほんっとに楽しい~!のです。


迎えのバスが来ませーん・・・の図(笑)
向かって左、チェロ奏者のサーシャ役、ドミトリー・ナザロフ、アンドレイをいつも気づかっていていい雰囲気を作っていました。
ほとんど破天荒な性格のキャラばかりの中で、ひとりまともな人物。
その隣は元ボリショイ劇場支配人でマネージャーのガヴリーロフ役のヴァレリー・バリノフ、怖い顔しながらめちゃくちゃ笑わせてくれました。
交渉が上手い、というか「マジそれでいいの?!」みたいな会話が面白かった。
相手方のパリ・シャトレ座支配人は「トランスポーター」でタルコニ警部のフランソワ・ベルレアンも流石に面白かったです♪
登場シーンでピンクのボーダーシャツとか着てるし。
あと、ユダヤ人のトランペット奏者のおじいさんと息子、可愛かったな。

みんな、パリっていうだけで異様なハイテンション、楽団員達がパリに着いたとたん、お金持ってバーッとどっかへ消えてしまったところ、彼らの気持ちがあまりにも分かりすぎて、おかしくってしかたがありませんでした。
すでに今年No.1をどれにするかでまたまた悩んでますが、これは本当に素晴らしい作品です。

関連作品

セリフがかなり入っていて、ちょっと変わったサントラ。
クラシックの他に民族音楽も様々使っていて、楽しいです。


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