わが教え子、ヒトラー
これは、コメディだったんですね。
やはりポスターのデザインを観れば、作品のイメージどおりでした。
予告編や、チラシのイメージだと、コメディという印象はなくて、どちらかというとシリアスなのかと思いこんでいたので、
冒頭からかなり笑いが満載だったので、少々とまどいつつ観ていました。
次第に作品の雰囲気がつかめてきて、
あ、これはコメディなんだなと納得しました。
すごく微妙な笑いなんですけどね・・
でも実はかなりきついブラックユーモアで・・・、
なかなか面白かったです。
それでいていきなりすごくシリアスになる時があって、ドギマギしました。
そして、おかしさと同時に悲しみも混ざり合うという、
感情のバランスを、いい意味で崩してくれるところがなかなか鋭いです、ダニー・レヴィ監督。
3馬鹿トリオみたいな、ゲッベルス博士、ヒムラー内務大臣、クルト軍需大臣がオトボケで、笑わせてくれました。
特に、右腕を固定したままのヒムラーが最高におかしいです。
衣装がすごくいいセンスだなあ~と思いながら観ていました。
もちろん、ドイツ軍の制服は、たくさんの映画で再現されており、すっかり見慣れたデザインではあります。
でも、微妙な生地の質感や、色合い、ボタンやディティール、服のシルエットの出し方など、細かいところにこだわりやセンスを感じ取りました。
今回はコメディということもあって、生地の色にしても派手めに選んであり、ボタンなどもやたらにピカピカとさせていたり、と、制服の威圧感の中にもどこかキッチュな雰囲気を加味しているのです。
そのさじ加減が実に上手だし、しかも下品になりすぎていないところにおそらくはニコルさんのセンスの良さが光っているのだなと思います。
衣装担当はニコル・フィッシュナラーで、「青い棘」や「ヒトラーの贋札」も担当しており、なるほど、と納得しました。
どちらの作品においても、衣装のセンスがかなり良くて、印象に残っていたからです。
なんといっても素晴らしかったのはウルリッヒ・ミューエさんの演技。
すごーく良かったです!
「善き人のためのソナタ」も良かったですね。
特に、友人と電話で話すシーンが印象的でした。
個人的にはこの作品で最も心に残ったシーンでした。
笑えるシーンではなくて、すごく悲しい、重い雰囲気のシーンなのですが・・・。
ミューエさんは去年亡くなってらしたんですね。知りませんでした。まだ54歳だったそうです。
藤子不二雄Aの「ひっとらあ叔父さん」を思わせるヒトラーでした。
怖いような、滑稽なような。
特に、レッスンの時にジャージ(しかもゴールド)を着せられるのですが、
それが、ひっとらあ叔父さんの着物姿と重なって、くつろいだオヤジさん、という雰囲気が哀愁と可笑しさを演出していました。
あとチャップリンの「独裁者」を思わせるシーンがいくつかありました。
ヒトラー役のヘルゲ・シュナイダーさんは、ミュージシャン兼コメディアンだそうで、かなりいい味を出されていて、とっても良かったです。話し方とか、すごく上手!!
愛犬ブロンディもなかなかの役者で、可愛かったです。
「ひっとらあ叔父さん」にも、ブロンディは登場して、重要な役をやっています。
この、窓から脱出するシーン、可愛かった・・・
セットなどのデザインも良かったし、DVDが出たら細かいところをもう一度チェックしたい作品です。
独裁者 コレクターズ・エディション [DVD]
最後の演説が凄い!
藤子不二雄Aブラックユーモア短篇集 (1)
こちらが藤子A先生の、ブラックユーモア短編集。
1~3まであって、「ひっとらあ叔父さん」は1巻に入っています。
藤子A先生のブラックはクールです!!!