HAVEN

ガラガラの映画館で最高に面白い映画を観た。
ほんとうに世の中どうなってるんだろうか?
まあ、今に始まったことじゃないけど。

私は、とくにオーランド・ブルームのファンというわけではないが、こういう大スターがわざわざ出演する低予算作品には興味がわきますね。

それにしてもこのポスターはカッコ悪いデザインだ。
海外版の映画のポスターのデザインは、どれも優れて美しいというのに、日本版になったとたん、醜悪になる。
なんでわざわざデザインを悪くしてまで変える必要があるのか、理解不能。
このように、空に顔が浮かんでいるデザインのパターンはもう終わってるってば(笑)。
怖いよ・・・

帰り際に数人を見かけたが、皆若い女の子ばかりだった。
おそらく、オーランド・ブルーム目当てだったのだろう。
たぶん彼女達には不評だと思われた。
いつもの素敵な王子様のようなオーリーは登場しないからだ。
しかも、主役(?)のわりには登場シーンも少なく、ファン向きのかっこいいショットもない。
つまり、オーリー目当てで行くとちょっとはずれる可能性がある。

さてこの作品は、クライム・ムービーによくありがちな、
いくつかの別々のエピソードがまったく関係なくバラバラに進行していき、
最後にそれが一つの線につながる、というパターン。
こういうパターンはすでに嫌というほど観て来てはいるが、それでもこの作品はかなり面白い。
あまりにも少ない観客と、どこか自信のなさそうな宣伝(というかお金がかかっていないのね)のせいで、ガラーンとした場内にポツンと席に腰掛けながら、不安な心持ちだった。

しかし、始まってしばらくするとその不安は完全に吹っ飛んだ。
人間関係が複雑に絡み合い、
時間軸が行ったり来たりと、パズルのような仕組み、
先の読めない展開、スタイリッシュな映像感覚、
セリフの緻密な関わり合い、
音楽の使い方のうまさ、
実にエキサイティングでセンスの良い作品だった。
微妙に同じシーンが繰り返されるのも、面白い見せ方だと思った。
人物の描写も非常に魅力的で、3日で脚本を書き上げ、たったの約1ヶ月間で撮影したという荒ワザにもかかわらず、いや、だからこそ、なのかもしれないが、ぎゅっと締まりのあるなかなか骨のある作品だった。

思わず、身を乗り出して魅入ってしまった。

さらに、リー・イングルビーが出てきてますます私のテンションは上がった。

この人ね。
これは予想外。
実に嬉しいサプライズだった。
「マスター&コマンダー」で繊細な士官候補生を、また「ハリー・ポッター アズガバンの囚人」ではイカれたナイト・バスの車掌を演じた。
線が細いが、演技のしっかりした存在感はとても強い印象を残す。
なかなかの美形で、その容姿はいかにも英国的な情緒を漂わせているあたりがとても気に入ってる。
もっと出てきてくれないかなあと期待している存在。

この作品を観るまで、脳がユルユルだったのに、シャッキリと覚醒した感じ。
面白かった!