アメリカン・ギャングスター

「列に並べ。俺を殺したい奴はいくらでもいる。」

ラッセル・クロウの低音の声で。
カッコ良すぎです・・・。

この台詞を聴くために通ってしまいました。

この台詞のあとに、向いに座ってるデンゼル・ワシントンの顔がアップになるんですが、
「俺が言いたかったよそのセリフ」
って言いたそうでした。いえ、冗談ですけど(笑)


この作品、めちゃくちゃツボにはまって、3回観てしまいました。
いえ、3回しか行けなかったのが残念です・・・。
もしも私にもっと時間があったなら、さらに何回でも行ってますね。
もっと時間が欲しい~~。
しかしこれは私がハマったものとしては珍しいことに、比較的一般にも受け入れられて・・・いるかな?(なんとなく自信なし)という作品で、こういう時は意味もなく安心して感想が書けますね(笑)。
1回目のときは1時間前に行ったのに、前から2番目しかあいてなくて、観るのにちょっと大変でした・・。
やはりリドリー・スコット監督だし、ラッセル&デンゼルだし、知名度のおかげでかなりの動員数でしょうね。


うーん・・・さすがにリドリー・スコット監督。
何を撮らせても一流ですね。
まずは映像が大変美しいです。
どのシーンも素晴しくきれいで、巨匠ならではのどっしりした重厚さと安定感がたまりません。
内容はハードボイルドなギャング映画なのに、このエレガントさはどうでしょう!
ハードで血なまぐさい男の世界が、上質で華麗な映画に仕上がっていて、大変お見事でございました。
特に終盤の雪が舞ってるシーンは、とても美しく悲壮感が漂い、バックに流れるゴスペルとともに心にしみました。


ラッセルが少々太ってたけど、でもやっぱりカッコイイ!
デンゼルさんもカッコイイ!!
彼の役はギャングではあるのですが、ビジネスマンとしての彼の才能には学ぶべきところがありますねー。
スーツをビシっと着こなし、早起きして、きちんと朝食をとり、家族や親せきや妻を大切にし、豪華で綺麗な家に住み・・と、見かけは仕事に成功し人生を思うままに生きる華麗なる男。
安くて上質な商品を仕入れるため、現地まで足を運び、交渉する。
このお話の場合、商品が麻薬なので、米国内に運び込むために非常識な方法がとられます。
しかしやはり非合法や無理はいけないですね。
あとでツケがまわってくるわけです。
それにしてもデンぜルさんは善人のイメージが強い人ですが、今回の悪役ぶりは実にハマっておりました。キレるところなんか最高に決まってましたね。

かたや、ラッセル演じるリッチー・ロバーツは、周囲からバカにされるほどの正直者、正義感にあふれる男気のある警官。
でも女癖が悪くて妻には愛想をつかされる、部屋は汚い、食事も貧しい、というわけで、この2人の男の対照的な描かれ方が面白かったですね。
自宅で不器用そう~にツナ&オニオンのサンドイッチ作ってる姿が可愛い。
花柄のお皿も何気に可愛いし。
あと、既製品のスーツを試着しながらタグをブチッと引きちぎってるところなんかの演出もいいですね。いかにも不器用な男って感じで、ついつい世話を焼きたくなるタイプね(笑)。
ああいうところは演技といっても、ラッセルの地のまんまみたいで、つい顔がゆるみますね。
また、そういう可愛いところも見せながら、正式の捜査の時にはダークな3つ揃いのスーツでビシッと決めてきちゃうんですから!惚れぼれしますね。

この映画が公開される前に、チラシやポスターを見た娘が、
「いいギャングと悪い警官の話?」
と言うので大笑いしてしまいました(笑)。いや、無理もない。

そのほか、脇役陣がまたいい顔ぶれなんですよね~。
カッコイイお兄さん&おじさんづくしといいますか!
ミュージシャンの人なども数名参加されており、それぞれ強烈な存在感を出していました。

皆さんとってもカッコイイのですが、私が特に嬉しかった俳優さんは、
頼りない相棒のジェイ役、ジョン・オースティン♪
「マイアミ・バイス」でイエロでした。
あいかわらず濃いわ~~!って思いました(笑)
あと麻薬捜査班のスピアマン役のジョン・ホークス♪
彼も「マイアミ・バイス」の冒頭で情報屋役でチラッと出てきたのですが、すごく印象的でお気に入りだったので、今回は最後まで活躍してくれて、スコット監督ありがとう~!でした♪

ノーマン・リーダスが登場したときも、わーい!と心の中で大喜びでした。
本当にチョイ役なのですが、やけにイケメンなので目立つったら!!(笑)
かなり前に、原宿駅のダーバンの看板から彼が消えて以来、ノーマン見てなかったので、ほんとうに嬉しかったです♪

ジョシュ・ブローリンさんの悪徳警官トルーポも、気に入ってます。いかにも悪そうで(笑)。
ファッションもいかにも悪役っぽくていいですねー。
黒い革のコート、黒髪を整髪料できちっと固めていてね。
トルーポの車がシェルビーGT350H。またシェルビーか!と思いました。
特に車好きなわけではないのですが、どうもシェルビーの存在感がフツーじゃないので、すっかり覚えてしまいましたよ。
そうです、「アイ・アム・レジェンド」の中でも使われていました。
今回のGT350Hは、シェルビーでも初期の’60年代のもので、しかもブラックボディにゴールドラインが入っており、Hがついているのはレンタカー会社ハーツの1000台限定の特別仕様だそうで。
当時でもかなりレアな高級品ということでしょう。
つまり、いくら特別捜査班とはいえ、警官の給料で買えるようなものではないわけです。


ファッションもカッコ良くて、またもやチェックに忙しかったですね。
女性のほうはそれほど印象に残らなかったのですが、それでもフランクの妻がシャネルなどを可愛く着こなしていて印象に残りました。

とにかくメンズファッションは見ていて実に楽しかったですね。
デンぜルさんのスーツ姿もビシッと決まっていてカッコイイのですが、注目すべきはカジュアルなストリートファッション。
ハンチングやキャスケットをかぶり、身体にフィットするシャツやパンツ(この時代は化学繊維ものが主流でプリントなども面白い)、あるいは皮ジャンにレイバンのサングラスで、’70年代スタイルがばっちり決まっていました。
特に黒人の男たちは皆さん絵になっていましたね。
まさにチョイワル系ですねー♪

「アメリカン・ギャングスター」のモデルになった2人はまだご健在なのですね。
凄い人達が実在するものです。
パンフは実に読み応えがあって、撮影の裏話が面白いです。
DVDでもメイキングなどがとても楽しみです♪
この作品は観応えがありすぎて、考えたことや感じたことも多く、書きたいことは山ほどです。
でも、このくらいにしておきます・・・。

音楽の使い方も、本当に上手いです。
こうもきっちりとツボを外さないで決めてくれるのも、気持ち良いものです。
スコット監督って天才!

サントラを劇場で購入して帰りました。
普段はほとんど聴くことのないジャンルですが、
映画の余韻に浸るのはいい気分なのです。