映画『幸せのレシピ』の感想
作品情報
時間:104分
原題:No Reservations
製作:2007年アメリカ
監督:スコット・ヒックス
脚本:キャロル・フックス
撮影:スチュアート・ドライバーグ
音楽:フィリップ・グラス
美術:バーバラ・リング
キャスト:
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(深見梨加)
アーロン・エッカート(津田健次郎)
アビゲイル・ブレスリン(宇山玲加)
ボブ・バラバン(山野史人)
パトリシア・クラークソン(大西多摩恵)
アリヤ・バレイキス(高島雅羅)
予告編
この「幸せのレシピ」はちょっと邦題が軟弱ですが本当は「No Reservations」というカッコイイタイトルがついているのです。
ドイツ映画「マーサの幸せレシピ」のリメイク作品です。
「マーサの幸せレシピ」は、私のお気に入り作品でした。
だから、リメイクというと、ちょっと不安でした。
その反対に、気になってしかたがなくて、そしてとても楽しみでもありました。
なにしろ、大好きなアーロン・エッカートと、キャサリン・セダ・ジョーンズの組み合わせときて、しかも天才子役のアビゲイル・ブレスリンときては、仮にこのリメイク作品でなかったとしてもキャスティングだけでかなり期待してしまいますよね。
アーロンとキャサリンでリメイク、というのはもう1年くらい前でしたっけ??
どのくらいか正確には忘れましたが、その情報はかなり前からキャッチしていて、とても楽しみにしていました。
少々、オリジナルと違うところはあっても全く気にならず、それどころか本当に素晴しくオシャレで素敵なニューヨーク版に生まれ変わっていて、お見事な出来栄えでした。
なにより嬉しかったのは、クラシック音楽の使い方。
プッチーニやヴェルディのオペラの曲がたくさん使われていて、その使い方がまた良かったです。
クラシック音楽というのは、それだけで完成されていますが、やはり使い方が悪いとなんだかしっくりしなくて浮きまくってしまうこともあります。
それがよくわかったのは、日本のM監督作品を観たときでした。
彼は必ずクラシック音楽を映画の中に使うのですが、いつもすごく変・・・というかツボをはずしているんですね。
その曲をそんなところに使うな!なんて思っちゃうと最悪です。
「幸せのレシピ」では、おお~!そこでその曲を使うんですか!!
とか、そんな感じで、クラシックファンの私としては嬉しくってしかたがなかったのです。
特に印象的だったのはやはりプッチーニの「トゥーランドット」の、あまりにも有名なアリア「誰も寝てはならぬ」ですね。
そしてパヴァロッティの歌声ですから!最高でした!
使われたそのシーンも、映画の中では最も重要なシーンです。だからこそ、パヴァロッティの声でそのシーンを盛り上げまくってくれて、心の中で思わず拍手してしまいましたね。
エンドロールでもずっと「誰も寝てはならぬ」を流してくれていて、まるでパヴァロッティ追悼みたいでした。
澄み切ったテノールが劇場内に響き渡って、ほんとうに気持ち良いエンディングでした。
最後に拍手喝采が入っていたのも、さすが!です。
あと、ワインを飲むシーンではヴェルディの「椿姫」より「乾杯の歌」ときては、うーん、やるなあ!とうなりました。
あたりまえのようでいて、あまりにもツボにしっくりきすぎてしまったのでした。
スコット・ヒックス監督はクラシック好きですね、間違いなく。
あの有名な、大変素晴しい作品「シャイン」を作った人ですね。
私は昔、「シャイン」を観て、ジェフリー・ラッシュのファンになったのでした。
ところでオリジナルの「マーサの幸せレシピ」のほうはジャズが中心に使われていて、それもまた良かったです。
後方のセラピストの方は「ゴスフォード・パーク」に出ていらしたボブ・バラバンさん。
知性溢れる存在感がなんともいえなくて、いかにもセラピストって感じでしたね。
ヒロインのキャサリンさんは、ゾロの妻などをやっており、強い女のイメージがあるのですが、今回はちょっと弱いところも見せてくれて、強さと弱さの両面を細やかに演じていました。
キリッとした美しさが素敵です。
さてさて、なんんといっても私が楽しみだったのは、アーロン・エッカートです。
この、マリオ・・・じゃなかった今回はニックと言う役ですが、この人ってもう、理想的な男性ですね。
「1番もできて、2番もできる男!!」
デキル男ってどんな時でも完璧なのね。マリオは素敵すぎでした。
それに、マリオ役のセルジョ・カステリットさんは本当に温かみがあって、奥行きのある演技をされていまして、この完璧なマリオをいったいどうアレンジしてくれるのかと、期待と不安でいっぱいでした。
・・・ニックの登場シーンでもう、ガーンとつかまれましたね。
いや、さっすが、アーロン。
もう~、ずーっとニックにやられっぱなしでした。最高!!!
いやー上手いなあ・・・。
話し方とか、微妙な表情とか、絶妙です。
セルジョさんのマリオも、アーロンのニックも、どちらも素晴しいのです。
これって素敵!嬉しかったです。
ニックのお料理してるとこがまたいい!
カジュアルなファッションの着こなしもカッコイイです。
アビゲイルちゃんが、これまたさすがの存在感でした。
ほんとにこの子、小さいのに大人みたいな深さと複雑さを表現する、天才ですね、まさに。
そうそう、隣人のバツイチ建築家の彼も良かったしレストランの女性オーナーも良かったし、それに臨月のコックさん、ほとんどオリジナルのイメージのまんまで嬉しかったなあ。
オリジナルを尊重しつつ、オシャレにニューヨーク・アレンジで見せてくれるという、言ってみりゃ粋なはからいみたいで、楽しくてしかたがありませんね、こういうのは。
ニューヨークスタイルのインテリアも見逃せません!
家具選びや色使いなど、とても素敵。
アビゲイルちゃんの子供ファッションは要チェック!
登場のたびにオシャレなコーディネートがかわいい~~~!
キャサリンはできる女ということで、シンプル。
まー、何着てても色っぽいです・・・
リメイク元の作品『マーサの幸せレシピ』も観ました!
すっかりマリオ役のセルジョ・カステリットさんのファンになってしまいました。
絶対のオススメ!
というわけで軽くすませようと思っていたのに、やはり書き出すと止まりません。。。
そしてサントラは、最高ですよ~~~!
劇場に売っていなかったので、帰りにHMVに寄って購入して帰りました。
帰宅後にAmazonさんで注文・・・じゃ待てない!
ということで、毎日聴いてます♪