モーツァルトとクジラ

これは、実在の夫婦がモデルになっているお話です。

主人公のカップルは、自閉症を代表とする障害のひとつ、(一般的には「知的障害のない自閉症」とされる)アスペルガー症候群であり、ふたりの不器用な恋愛物語を描いた作品となっています。

お気に入り俳優のジョシュ・ハートネットが出てるので観に行ったのですが、これがなかなか良かったのです♪

ダスティン・ホフマンの名演技で有名な「レインマン」でアカデミー脚本賞受賞の、ロナルド・バスが脚本担当。
この主人公のモデルとなったジェリー・ニューポートさんは、「レインマン」を観て、自分がアスペルガー症候群だとわかったそうです。
今回、監修で参加されています。

とってもハートウォーミングなラブ・ストーリーに仕立ててあり、しみじみとした感動、そして観終わってほのぼの気分になりました(*^^*)

ふたりは、対人関係は非常に苦手なのですが、彼は数字の天才、彼女は芸術家で、絵と音楽の天才という、特殊能力に秀でているのです。

実際、過去の天才たち、例えばアインシュタイン、ダ・ヴィンチ、ベートーヴェン、ニュートン、織田信長などがアスペルガー症候群だったと言われているそうです。

しかし、この作品を観ていてつくづく思うことは、いわゆる「普通」とは何なのだろうか?ということです。
あるいは「普通じゃない」って何なのでしょうか。
いつも思うことではあるけれど、数が多いほうが普通と考えるのは危険なのではないだろうか。
というか普通という基準じたい、なんだかいい加減なものではないだろうか。
誰が、何をもって普通と決めるのか。
この、普通っていうのがそもそも、押し付けなのではないだろうか。

コミュニケーションの苦手とか、あるいはかなり異常なんじゃないの、みたいな人は「普通に」存在している気がしますしね。

かくいう私も、引きこもるのは大好きですし(笑)、
狭くて暗いところとか、部屋の隅っこが大好きなのは娘。

問題なのは、昨日の「パフューム」のグルヌイユみたいに人よりちょっと違う能力を持った人は集合体から排除されようとする傾向にあったり、また、周囲の理解を得られないために傷つき、孤独感に陥ってしまう。

とにかく、ジョシュ・ハートネットのなりきりっぷり、すごく良かったです♡
カッコイイだけじゃなくて、ほんとにはまりかたが上手というか、すごく雰囲気があります。
小鳥をたくさん飼っているのが面白かった。
か、かわいい・・・
あと、ジョシュは服の着こなしがいい!パーカーが可愛かった~。
すごくオシャレです♪


相手役のラダ・ミッチェルは、「サイレントヒル」ではハードな雰囲気をフェミニンに演技するという感じで、とってもかっこ良かったのですが、今回はハチャメチャでかわいくて、ドナルド(ジョシュ)をすっかり振り回してしまいます。
随分雰囲気変わるんだなあ~と、感心しました。
別人でしたもん。
ファッションも、ちょっとエキセントリックな雰囲気で、古着などを可愛く着こなしていました。
ドレスの下がスパッツ、とか。
あと、赤とか、オレンジのコーディネートが印象的。
サイレントヒルのときはモノトーンだったので、ヴィヴィッドな色も似合うので、意外でした。

脇役の個性的な面々も、皆さん演技派で、観ていて楽しかった!

それにしても、この作品はかなり人間の本質的な部分を描いているなあと思いました。
ドナルドは、幸せになりたくて、「普通」になろうとしたけれど・・・。
幸せっていうのは、自分自身でいること。
自分自身を隠して、周りに合わせていくことは、結局幸せじゃないんですね。