エクスペリメント

2023年7月15日

オリジナルのほうは未見なのですが、「エス」というドイツ映画のリメイクだそうです。
私と娘としては、エイドリアン・ブロディが出てるから行かなくちゃ!と、かなり張り切って行ってきました。

とっても面白かったです!


実際にあったスタンフォード監獄実験が元ネタなのだそうで、大変興味深い内容でした。

募集によって集められ、そこからさらに面接をして人選をし、最終的に24人が選ばれる。
彼らは14日間、刑務所という閉鎖された空間で看守と囚人役にわかれてルールどおりに過ごせば高額な報酬がもらえるというもの。

支配するものとされるもの。


日常ではみんな普通だし善良に暮らしているけど、実験で極限状態に追い込まれていくと、内面の本質的なものが表面化してきます。
そうした心理描写がとても面白かったです。
人間はどんな人も、心に光と闇を持っていて、それを自分で調整しているというかバランスをとって生きているのだと思う。
この映画の描写は、若干誇張もあると思うけど、現実社会の中だって、よく似たようなことは常に起こっていると思う。
“そんなことありえない”と片づけてしまうのは危険かもしれません。

人の心の闇の部分を徹底的に見せて、考えさせる、そういう意味ですごく面白い切り口の作品でした。
脚本もよくできていたし、撮り方も大変臨場感があって良かったです。引き込まれました。


エイドリアン・ブロディ、最初は髭&長髪で登場。
娘も私も、こっちの風貌のほうがいいよね~と言ってました。
ヒッピー風の恋人役は「LOST」でシャノン役だったマギー・グレイス。


本当に存在感のある人ばかりですが。

こちらはフォレスト・ウィテカー。
「ラストキング・オブ・スコットランド」での怪演っぷりを思い出してしまうんですね~。
権力を手にして豹変していく様子は、どうしてもあのアミン大統領に重なってしまう。


・・・なので、いじめ役がぴったりなフォレストさん。
それに対して、いじめられ役がぴったりなエイドリアン。
はまってました・・・。

正直、いじめというか虐待シーンが延々続くと、
もうやめてくれ~!
と思ったり、
どうなるんだろう?
と思ったり、
なんで実験中止じゃないの?
と思ったり、
かなり入り込んで観てましたね~。

ま、ただいじめられてるだけじゃ終わらないのがエイドリアンの持ち味ってところもあって、さらに彼の深層にあるいつもとは逆の側面が興味深いのです。

なんだかだんだんあの赤いランプが”全知全能の神”みたいになってきちゃって・・・。
それが言い訳と言うか、暴力の正当な理由として勝手に位置づけられているような感じ。

何かに価値観をゆだねてしまうのは恐ろしいことだ。


脇役で光っていたのがクリフトン・コリンズ・Jr。
彼だけなぜか短パンだったり、さりげなく個性を強調(笑)していたり、詳しく書けないけど終盤の彼は、あ、やっぱりそうなのね~、と思わず笑ってしまった。なかなか楽しませてくれました。


「トワイライト」ではヴァンパイア役、また「バーレスク」ではバーテン役だったキャム・ギガンテッド。
すごく可愛かったです♪
カム・ジガンデイと書かれている場合もあって、日本語表記って時々面倒くさいですね・・・。

というわけで、個性的な俳優さんたちの競演が楽しかったですね。

心の深い部分・・・て、自分のことも考えてみたくなる作品でした。すごく勉強になりました。

結局終わってみると、一番危うかったのはエイドリアンの演じたトラヴィスだったのかなあ・・・。
こんな実験に参加したら、絶対後遺症が残ると思う。
インドで癒されるといいけど。

こちらがオリジナル。
モーリッツ・ブライトロイ主演だし、観なくちゃです!