『ある愛の風景』

2023年7月15日

この『ある愛の風景』ですが、原題は『BROTHERS』なんですよね。
またもや邦題と全然タイトルが違うんですよね~。
ポスターの雰囲気も、ぜんぜん違う。
私はこの作品を観終わってから原題を知ったのですが、それですごく納得しました。やはり『BROTHERS』のほうがしっくりするんです。

原題のことは後で知ったので、観ている間は「ある愛の・・・」というタイトルで観てるわけですが、どうもしっくりせず、2人の兄弟の絆や、心の葛藤や変化などに心を動かされましたね。
もちろん夫婦愛も描かれてはおりますが、それよりも兄弟役2人の俳優がすごく良かったせいか、どうも私は兄弟の関係が心に響き印象に残りました。
特に、弟ヤニック役のニコライ・リー・カースが良かった。

あ、でも、妻役のコニー・ニールセンさんも、やわらかい優しさとキリっとした強さのある美しい人で、とても素敵でしたけれど。

戦争はたくさんの大切なものを壊していくわけですが、この作品では、夫が帰還した後の苦悩と家族の心象を描いていきます。
そこは戦場ではないのに、遠く離れた平和であるはずの一軒の家なのに、ひとりの男の「変化」によって穏やかな日常は消え、家族はバランスを失っていきます。

おそらく誰もが思いだすであろう『ディアハンター』に非常に近い感覚の反戦映画でした。
そして、人間の深層に迫ってくる切なさの描き方に圧倒されました。
監督は女性監督ということを観終わってからびっくりしました。
しっかりと重厚で深みのある、決してヤワじゃない演出、それでいて実に細やかで繊細なところもあって・・・。
だけど女性的とは思わなかったので驚いたのでした。

キャストはデンマーク生まれ、監督はじめスタッフもデンマーク生まれと、完全にデンマーク100%ですぜ、って映画。
なんかね、いいんですよね~デンマーク映画。
他にはない独特の雰囲気があってね。
『アフター・ウエディング』も実は今回と同じスサンネ・ビア監督の作品。
さすがにその才能はかなり注目されているらしく、今年はまた彼女の作品が観れそうで、楽しみです。
また、ハリウッド・リメイクも進行中とか。
う~ん・・・でも、やはりこの北欧調がいい味だと思うんですけどもね~と言いつつ興味はありますね(笑)。
同監督作品で『しあわせな孤独』もいいですね。少々、深く入って共感しづらいかな?というところもありながら、なぜか心に残ってしまう。
マッツ・ミケルセンも素晴らしいですしね~。

と、ついでなのでご紹介してしまおう・・・

そういえばデンマーク映画を見始めたのも、マッツさん見たさとマッツふぁんの友人の影響でしたっけ。

ところで、北欧の映画を観ていていつもすごく気になるのは、インテリアですね。
『ある愛の風景』では、白い壁にナチュラルな色のテーブル、ヤコブセンのアントチェアーなんかがさりげなく置かれている、ちょとライトな感覚のダイニングが北欧っぽくていい感じでした。
食器類はもちろん白で、キャンドルも白、と清潔感があるコーディネート。
あとでそのヤコブセンの椅子が無残な姿になっていたのが、やけに痛々しかったです。

書き出すと止まらなくなる映画の話・・・今日はこれにて。