映画『GHOST IN THE SHELL(吹替版)』の見どころ

ハリウッド実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』を吹替版で観ました。

普段の映画鑑賞は字幕版を好んで観賞しますが、今回はあえて吹き替え版を選択。
なぜ吹き替え版で観たのか?については、下記に詳しく書いています。

作品情報

  
 原題:GHOST IN THE SHELL
 製作:2017年:アメリカ
 原案:士郎正宗「攻殻機動隊」
監督:ルパート・サンダース
 脚本:ジェイミー・モス、ウィリアム・ウィーラー、アーレン・クルーガー
 撮影:ジェス・ホール 
 音楽:クリント・マンセル、ローン・バルフ
 
 キャスト:
ミラ・キリアン少佐 / 草薙素子 :スカーレット・ヨハンソン(田中敦子)
バトー : ピルー・アスベック(大塚明夫)
荒巻大輔 :ビートたけし
オウレイ博士 : ジュリエット・ビノシュ(山像かおり)
クゼ :マイケル・カルメン・ピット(小山力也)
トグサ :チン・ハン(山寺宏一)
ラドリヤ :ダヌーシャ・サマル(山賀晴代)
イシカワ : ラザルス・ラトゥーエル(仲野裕)
サイトー :泉原豊
ボーマ :タワンダ・マニーモ
カッター :ピーター・フェルディナンド(てらそままさき)
ダーリン博士 :アナマリア・マリンカ(加納千秋)
リー :ダニエル・ヘンシャル(坂詰貴之)
ダイヤモンド : カイ・ファン・リエック(加藤ルイ)
ハイリ(素子の母親) :桃井かおり(大西多摩恵)
モトコ(素子) : 山本花織(内野恵理子)
ヒデオ : アンドリュー・モリス(今村一誌洋)
リア : アジョワ・アボアー(柳瀬英理子)
大統領 :クリス・オビ(乃村健次)

あらすじ

近未来。ネットに直接アクセスする電脳技術が発達すると共に、人々は自らの身体を義体化(サイボーグ化)できるようになっていた。
ミラ・キリアン少佐(スカーレット・ヨハンソン)は、脳以外の肉体全てをハンカ・ロボティクスのオウレイ博士(ジュリエット・ビノシュ)の手によって義体化されていた。
少佐の率いるエリート捜査組織公安9課は、サイバー犯罪やテロ行為を取り締まるため任務を遂行していた。
ハンカ・ロボティックス社の推し進めるサイバー技術の破壊を目的とするテロ組織の事件を解決するため、少佐は同僚のバトー達と共に捜査をする。
しかし事件を調べていくにつれ、自分の記憶が何者かによって操作されていたことに気付く。
やがて、真の自分の記憶を取り戻していく少佐は、過去と向き合うことになる。

予告編

『攻殻機動隊』のハリウッド実写版

原作は、あまりにも有名な士郎正宗の漫画作品。
わざわざ説明する必要はないでしょう。

本作は、士郎正宗原作押井守演出のアニメーション『Ghost in the Shell 攻殻機動隊』のハリウッド版実写ヴァージョンとなります。

『Ghost in the Shell』はSF界に大きな影響を与えているらしく、崇拝者が世界に大勢いらっしゃるのですね。

そうした崇拝者が、日本国内だけではなく世界中に存在することは、一応知っていました。が、この実写映画化プロジェクトの気合いの入れ方、ファン層の世界的な盛り上がりなどから、そのすごさをあらためて実感しました。

完成度が常識外の域というアニメーション作品を、あえて実写化するとは。
この企画を知った時は、正直言っていい度胸だな!と思いましたよ。

監督の作品に対する愛を感じつつ、観賞しました。

電脳犯罪とアンドロイド。このような世界観は日本のアニメ界において、今や通過儀礼のようになっている感じなのですが、原作が描かれた1989年当時はあまりにも先進的であったと思います。
ブレードランナーの原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は1968年発行、ジョージ・オーウェルの『1984』に至っては1949年発行なんですよね……凄すぎる。
士郎氏が参考にした『機械の中の幽霊』も1969年発行。
舞台は2029年ということなので、もうあと9年後です(笑)仮想世界とはいえ、何か予言的な感覚を受けてしまいますね。
でも実際に電脳犯罪は行われているし、コンピューター、インターネットの普及率は止まるところを知らない世界になっています。
これの95年後の世界が『APPLE SEED』なんですね……。

今回は実写映画ですが、アニメも映画もそれぞれ詳細設定は異なるので、特に違和感なく観ることができました。
吹替版で観たことがさらに良かったかもしれません。
主要キャストがアニメ版とほぼ同じなので、まるで“とてもリアルなCGアニメ”を観ている気分になります。
スカーレット・ヨハンソンだけでなく、登場人物はほとんど、皮膚の質感を非現実的に見せていました。
北野氏はナチュラルというか、いつもの感じそのまんま登場されているな(笑)と思いました。

電脳世界、インターネットの視覚化というシーンも多い。
アニメだともう、ロックマンエグゼ等でもやっていて、ある意味当たり前になってしまっているところ、実写化されると、また新鮮な気持ちですね。

豪華な日本語吹き替えキャスト。吹き替え版おすすめの理由

実は私、洋画の吹き替え版から観ることって、極めて少ないんです。
できるだけ、役者さんの肉声で演技しているのをしっかり観たいし、楽しみたい。そう思っているからなのです。

とはいえ最近は、映画ファンに気を利かせた、というかなかなか粋な計らいをしてくれたな!という吹き替えキャストが多くなっており、映画ファンのみならず声優ファンにとっても楽しみが増えました。なので、一度目は字幕で観て、2回目は吹き替えで観る、ということもしばしば。翻訳のニュアンスも変わるので、内容の理解を深めることにも役立ったりしますね。

今回の『GHOST IN THE SHELL』も、なかなか凝っています。

アニメ作品での声優陣を、主要キャストの吹き替えに起用しているのです♪
つまり、ビジュアルがアニメから実写に変わり、しかし声はアニメと同じ状態……というね、これはちょっと他の作品では味わえない希少な体験でした。

アンドロイド=スカーレット・ヨハンソン


アニメで見慣れているモチーフを実写化すると、かなりリアルで、生々しいほどのビジュアルになりますね。
実写で観ると、本当に少佐が実在するかのような錯覚に陥り、そしてそれは奇妙な喜びのような感情に発展していくのでした。

スカーレット・ヨハンソンのキャスティングについては、賛否両論ありましたが、個人的には違和感なし。
そもそもアニメーションの世界は、ディフォルメされていて現実離れしているから、なのかもしれません。

動き方もアンドロイドっぽく、人間らしくない動きを細部に取り入れているようで、スカヨハの美しさも見事ながら、演技も素晴らしいと感じました。
特殊効果でさらに人間離れして見せているのだと思いますが、戦闘シーンの肉体技は圧巻!全く違和感ありませんでした。

収録が終わった後スカヨハは「もう二度とやりたくないわ…」と言っていたらしいです(苦笑)
画面に映っていない裏の部分では、かなり、大変だったと思います。。。お疲れ様です……。

CG技術を駆使したリアルな背景


監督はルパート・サンダース。
なんと『スノー・ホワイト』(クリステン・スチュワート主演)の監督です。
71年生まれのイギリス人。
特殊効果が好きで、お得意のようです。

舞台は香港の九龍をロケ地に主に使っているようでした。

現実世界のリアルな背景、例えば車や、傷んだアスファルトの道路、ボロボロのアパートなどに、電脳世界が入り込んでいる。
CG表現は全然違和感なかったです。

“プログラム取り調べ”!安全~!!!
その発想はなかった!(笑)

監督お気に入りという”BEAT”タケシ・キタノ

本名:北野武氏、サンダース監督たっての希望で、キャスティングされたそうです。
まったく英語は不得意。でも問題ありません。
なぜならこの電脳が支配するパラレルワールドの世界では、きっと、どんな言語で話しても瞬時に翻訳される機能があるからです!便利~

とても貫禄がありました!
えっ、やばいんじゃない!?と思ったシーンも、あったのですが……。さすがの北野氏。

エンドロールで、”BEAT” TAKESHI KITANOとクレジットされていて、思わず笑ってしまいました。
監督の、北野氏に対する尊敬の意が込められているようでした!

撮影中、スカヨハがタケシさんのためにカンペ持ってあげてた、なんてエピソードも微笑ましい。

余談ですが荒巻大輔の髪型、以前から「変な髪型だなあ~、実際あんな髪の人いるのかね」……と思ってたんですけれども。
実は知人にいるんですわ。ソックリの髪型の男性が!思わず今回のタケシさんの画像、彼に見せて「ね?同じ髪型でしょ?」と言ってしまったくらい。ちなみに彼は美容師なんですけどね。

素子の周囲

個人的には、マイケル・ピットが出ていて非常に嬉しかったですね。

整ったお顔をここぞとばかりに醜く崩しつつもアンドロイドっぽい顔に作っていて、芸術的。思わず見とれます。
つくづく、翳のある役が似合いますね。

少佐は、テロに加わっていたゲイシャ・アンドロイドのチップに同期し、禁じられている頭脳の最奥部へダイヴするんですが、それを予期していたクゼ によってカウンター・ハックされ・・・という展開。

バトー、トグサにも、もっと見せ場を作って欲しかったのですが、まあ……尺が足りないよね。

桃井かおりさんも出てきます。セリフは英語でしたが、とても“日本人のお母さん”という雰囲気がよく出ていました。
桃井さんらしかった、と言えばいいでしょうか。
柳宗理のヤカンを使っていました。

ジュリエット・ビノシュも、良い役でした。

人間の存在意義とは何か?

GHOSTとは……?

魂、自我、意識、存在、無意識と意識の間、……

「GHOST IN THE SHELL」というタイトルは、原作者がつけたかった深い意味のあるものであり、我々がすでになじんでいる「攻殻機動隊」とは、まったくもって意味の異なるものなのだと、この英語表記のタイトルが公式になった時、思い知ることになったのです。

────人は記憶で決まると思ってるけれど、それはちがう。私たちは、何をするかで決まるわ。────by少佐

どんな過去があろうとも、これから何をするかでその人の存在意義は定義されるのではないか。

自分の魂や存在に揺らいでいた少佐。

戻るところは、やっぱり「自分」なんですね。

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