映画『トータル・リコール』の感想

2020年5月28日

作品情報

 時間:118分(ディレクターズ・カット版130分)
 原題:Total Recall
 製作:2012年アメリカ
 原作:フィリップ・K・ディック『追憶売ります』
 監督:レン・ワイズマン
 脚本:マーク・ボンバック、カート・ウィマー
 撮影:ポール・キャメロン
 美術:パトリック・タトポロス
 音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
 
 キャスト:
コリン・ファレル(森川智之)
ケイト・ベッキンセイル(岡寛恵)
ジェシカ・ビール(本田貴子)
ブライアン・クランストン(金尾哲夫)
ボキーム・ウッドバイン(楠大典)
ジョン・チョー(猪野学)
ウィル・ユン・リー(土田大)
ビル・ナイ(小川真司)

予告編

圧倒的なスケールで表現された世界観、クオリティの高いビジュアル、冒頭から息を呑みます。
レン・ワイズマン監督の美的センスに溢れた映像世界に浸りまくりました。
美術スタッフ出身の監督なので、その才能は「アンダーワールド」時代からひときわ輝いていました。
「アンダーワールド」でそのセンスに魅了されてしまったファンの私として、こんな超大作でワイズマン監督の表現世界を大きな画面でじっくり味わうことができて至福でした。

しかも主役がコリン・ファレルとあっては。
嬉しいやらありがたいやらもったいないやら。
ついに来たなって、こんな日が来ることをずっと心のどこかで待っていた、そんな気分でした。
コリンはここ最近は大作映画を避けていて、もう出てくれないのかなあーと思っていたところでしたから、ファンとしては嬉しくて。


コリンはほぼ出ずっぱり。スクリーン独占状態で、嬉しかったですねー。
肉体美に見とれっぱなしで、内容が二の次になってしまったり(笑)
・・・いや、そうはいってもわりと真面目に、話の構造を理解しようと観ていましたよ。
コリンの大ファンであるとともに、ワイズマン監督のファンでもありますから。

格好良すぎます。美しすぎます。
筋肉といい、骨格といい、全身の体のラインが本当に美しいです。

スタイリッシュなワイズマン監督の映像によく似合っていました。


全編にわたり動きの激しいアクションシーンが展開され、とっても楽しかった!
オリジナル作品を観たのはいつだったか、かなり昔のことだし大雑把にしか覚えていない。
一番強烈だったのはシュワルツネッガーの顔が破裂しそうになるところ。
その他、あれはどうなるのかなあ?というシーンがいくつかあったけど、今回のリメイク作品は、ワイズマン監督のオリジナルともいえる独特な映像世界に仕上がっていたと思う。


ケイト・ベッキンセールが美しかった……!!
身のこなしの素晴らしさ。
そして、優しい良妻と鬼嫁の二重人格が美しいお顔にハマっていて、楽しませていただきました。良妻から鬼嫁に表情が瞬間的に変わるシーンが気に入った!
ひたすら鬼の形相で追いかけてくる様子はターミネーター並みの怖さ。
ジェシカ・ビールの「素敵な鬼嫁ね」っていうセリフに笑いました。


対してジェシカ・ビールは優しく主人公をサポートする正反対なキャラ。
彼女はやはりアクション映画のほうが似合うと思いました。
前回彼女を観たのは「ニューイヤーズ・イブ」でしたけど、妊婦役でスパッツなんか履いててアクション無しだなんてもったいないなあと思っていました。

あと、ほぼカメオなんじゃ……というくらいちょっとだったんですが、ビル・ナイ登場がとっても良かったです。
監督もきっとビル大好きなんですね。

今回は鼻を鳴らさなかったし(笑)、オーラが違うというかやけに癒し系。
悟りを開いたような、澄み切った目に見惚れてしまいました……すごく癒された。


タイヤなしのカーチェイスが最高に楽しかったです!
今までに無い感覚。
磁力で走っているので、道路が上でも下でもOKというのが面白かった。
地球の内部を通るエレベーターというのも面白かった。
CGを使いすぎると、実写というよりアニメっぽくなってしまうのだけど、そのあたりの映像センスはさすがで、リアルなものとCGを巧みに組み合わせているようです。
コロニ―は巨大セットで、ひとつの街くらいあったとか?凄い・・・。

オバマ大統領がお札になっていたり、ちょっとした遊び心も楽しい。

「スター・トレック」やドラマ「フラッシュフォワード」のジョン・チョウもチラッと登場してました。金髪だったけど軽い感じにならなくてどこか頼れそうな知的な雰囲が彼の持ち味でしょうか。


オリジナル作品では最も有名?な、乳房が3つあるお姉さんも登場。
特殊メイクだとか!
アメリカのコミコンイベントに登場して、会場は大騒ぎだったそうです。

過去は関係ない。大切なのは今の自分だ。

コリンのセリフにこんな感じのがあって、それがすごくカッコ良くて印象に残りました。

オリジナル作品にはなかった、シリアスで重厚感のある素晴らしい作品になったと思います。
先に脚本ができていて、それを読んでからワイズマン監督がそれを気に入って、という流れだったらしいです。
コリン主演大作、次は何かなあという期待を持てたことが嬉しかったし、ワイズマン監督の作品も、もっともっと観てみたいです。
本作を観て、ますますワイズマン監督の創造力とその考え方に興味を持ちました。

コリンのピアノを弾くシーン、すごく良かったです。
彼のああいう、心の内面にすーっと入っていく演技はやはりうまいなあと思うし、繊細な表現力には独特なものがありますね。
ベートーヴェンのピアノソナタ「テンペスト」が使われていました。

こちらはヴィルヘルム・ケンプの演奏。

第三楽章でした。
家に無かったので、CDを購入ました。リヒテルの。タッチが力強くて、映画のコリンの繊細さとは雰囲気違うけど、リヒテル好きなので。

それにしても人間の記憶って不思議。
自分の子供の頃の記憶で、あれって現実だったのかなあ・・・?なんて、現実だったのかどうかわからない記憶がありますね。

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