映画『シュレック3』の感想

作品情報

時間:92分
原題:Shrek The Third
製作:2007年アメリカ
原案:アンドリュー・アダムソン
原作:ウィリアム・スタイグ
監督:クリス・ミラー
脚本:ピーター・S・シーマン、ジェフリー・プライス、クリス・ミラー、アーロン・ワーナー
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
制作:ドリームワークス・アニメーション

キャスト:
マイク・マイヤーズ
エディ・マーフィ
キャメロン・ディアス
アントニオ・バンデラス

予告編

大阪弁のシュレックだけはやめてほしいの。
1作目からのシュレックファンでありながら、日本語吹き替えは1度も観ていません。
というか、基本的に映画の日本語吹き替えは観ないですねえ。
イメージギャップがありすぎることがほとんどだし、
やはりセリフは、演じている俳優さんの声で聞かないと、意味がないと思うのです。
ギャグなんかにしても、英語じゃないと伝わらないニュアンスもあるわけだしね。

シュレックのブラックなノリが、娘も私も大好きで、
1作目から特典付き前売り券を購入し、劇場に足を運び、DVDも購入しました。
でも、1のときも2のときも、ガラガラの劇場がさみしかったのを覚えています。
それが、今回3作目にしてこんなに一般の観客に受け入れられているとは、正直いって驚きです。
大体、2をやるときだって、
「え?!続編作ってくれるんだ!?」
って意外だったのに、3まで作ることになるだなんて、本当にびっくりです。

さて・・・。
平日の午後の六本木、字幕版というと、こうなるのか・・・
まるで、白人幼稚園団体鑑賞会のノリでした。
金髪のチビッコたちでいっぱい!
ポップコーンの香りでむせかえるくらい。
上映前にやってる「鷹の爪団」の上映中マナーなんて、まったく意味もなく・・・(汗)
うわあ、まいったなー・・・と思いつつも、ここは開き直って、
気持ちいいくらいに大声で「うきゃきゃきゃ!」と大爆笑で盛り上がる場内の雰囲気と一体化してしまうっきゃない。
娘も私も笑いすぎて涙をふきふき観ました。

今回も、ひとクセあるキャラが満載で、とても楽しかった。
低いんだか高いんだか不明で素敵なテンションも相変わらず健在だったし、
監督はアンドリュー・アダムソン(今回は製作)じゃないけど、かなり楽しかった。
っていうかクリス・ミラー監督、悪党役で声の出演までされているんですね~(笑)ノリのいい人です。

チャーミング王子の声は、ルパート・エヴェレットで、「ナルニア国物語」ではキツネさんでした。
今回もバリバリの超ナルシストでマザコン、ド勘違い王子~気持ち悪いのなんのって、もう最高ですよ(爆)。
すごくいい声なのに見た目は思いっきり気持ち悪い、というところがポイントですね。
それにしてもルパートさんは「アナザーカントリー」では上品な英国青年を演じていた方で、こういうキャラの声をやるっていうのは本当にシャレがきいてます。
で、やっぱり、ロバのエディと猫のバンデラスのコンビが最高♪
ロバは顔からしてもう、エディ・マーフィのまんまだし、
猫のキャラは、ゾロのイメージだから、絶対にアントニオ・バンデラスの声でなくっちゃあ、意味がないんです。
そのほか、脇役の声はスタッフが結構担当していたりするんですね。

そうやってキャラクターつくりを、声の俳優さんのことまできっちりと、実に細かいところまで考えてやってるわけですから、
そこまで観てあげなくては、作ってる人たちの気持ちにはなれないわけで、この作品の本当の楽しさはわからないのです。
パンフに、キャラクターと俳優さんのツーショットが並んでいるのですが、よく似てる。


一番好きなキャラクターは、長靴をはいた猫。
帽子、剣、ブーツと、ゾロのイメージがなんともいえずいいんですよね~。馬は乗れないけど。
必殺技のウル目攻撃もかわいい~~。
今回、ロバと無駄に入れ替わるとこなんかもおかしくてしかたがなかったです。
魔法使いマーリンの、胡散臭いヘルシー志向なところも面白かったです。
靴下に健康サンダル、おーがにっく・ふーど?!(笑)

魔法学校のハイスクールの雰囲気、よく出ていましたね。
アメリカの学園モノに必ず登場するキャラなんかが次々と出てくるのは面白かった。
実際にスタッフは、地元の高校へ行ってリサーチしたそうで、あの、なんともいえない「どうでもいい感じ」がリアルでした。
皆さん邪悪なところがいい味でした。

一番おかしかったシーンがこれ。
とくに、ピノキオがしゃべるところと、クッキーマンの過去!?のフラッシュバックが最高でした。あの意味不明さがたまらないですね。
あと、オオカミのおばあさんとか、いつも特に必要ないのに何気なくそこにいるというその存在感が可笑しい。
盲目のネズミ3匹も、何のために出てるのか(笑)。
そういった無駄の取り入れ方にユーモアのセンスを感じますね。
さりげなく毎回登場して、笑わせてくれる。道化師の基本というわけかも。と、納得してみる・・・。

大好きだった、シュレックのお家がまた登場してくれて、とても嬉しかった。
森の中の一軒家っていうところがすごく童話的で素敵で、質感とか色合いなどもとてもいいんですよね。
やっぱり、シュレックにはあのお家が似合ってる。

かわいくないけど、なんかかわいい、無駄で意味不明なんだけど、最高におもしろい。
この作品のユーモアのセンスは、わかる人にしかわからないのだと思うし、それでいいんだろうと思うんですね。
なんでも、万人向けに作ろうとすると、途端につまらなくなってしまうことってありますからね。
シュレックの作り方の方向性は、とても好きです。

関連作品

『シュレック3』