ウォッチメン

これは、かなり前から楽しみにしていて、ネットで何度も何度も予告編を観たりしていました。
期待通りというかそれ以上の出来栄えに大満足!
とーっても!楽しかったです。
もちろん娯楽作品ですが、実はなかなかに社会派というか・・・、現実社会と空想が入り混じってて、シュールでブラックで大人のコミックの味がたまりません。すごく面白かったです!

「300」を見事に映像化した天才ザック・スナイダー監督。
今回もまた、可能な限り原作に忠実に、というコンセプトで映画化。
原作はやはり天才アラン・ムーア。
この作品は、グラフィックノベルとして初めてSF文学の最高峰ヒューゴー賞を受賞、2005年にはタイム誌が選ぶ1923年以降の長編小説ベスト100に選ばれた名作。
すでに20年もたっているというのに今でもグラフィックノベルの最高峰と言われているほどの作品。
本当に、よくこんな凄いストーリーを考えるなあ、とひたすら感心しまくってました。

史実にそったかたちで、そこへ架空のキャラクターであるヒーローたちが歴史にからんでいくのが面白いのです。
ヒーローたちがからむことによって、実際の史実とは違う展開になっています。
冒頭にはそのヒーロー入りの歴史をすごい早さで見せてくれるのですが、これが最高に笑っちゃうんですね。
1945年の第2次世界大戦終結から、冷戦、ベトナム戦争、ケネディ暗殺、ニクソン大統領就任、アポロ月面着陸、ウォーターゲート事件、アフガニスタン侵攻、レーガン大統領・・・・・と、一応は順番どおりになっているのですが、ベトナム戦争は・・・ええっ?!という終わり方だし、ケネディ暗殺した人物は・・・?!そしてニクソンは・・・・・と、架空のヒーローのせいで、いろいろととんでもない歴史に塗り替えられていました。
これがなかなか皮肉がこってりとこめられていて、思わずにやりとします。
大胆なアイディアだけど、すごく考えさせられますね。
政治的な人物のほかに、アンディ・ウォーホルやミック・ジャガー、デビット・ボウイなどもヒーローと一緒に登場。
このほかにも、懐かしいキーワードがいっぱいで、細部に凝りまくっているので、知れば知るほど深くて面白いという作品です。

ポスターがどれも素晴らしいデザインで、勉強になります。
ここにあげた他にもまだまだあって、いったい何種類あるんだ~と思いました。

歴史を勝手に変える大胆さ、そしてそこにこめられた深いもの、さらにお話の展開がサスペンスに仕立てられていて、さらにさらに、重要登場人物がたくさんいるし、しかもそれぞれのキャラクター設定が実にしっかりとよく考えられていて、そしてまたさらに!
小道具や乗り物や武器、コスチュームなども細かいところまでよく作られています。

というわけで、何からなにまで、驚きと刺激との連続で、ひとつの画面の情報量が多いので、観ているこちらの脳内での処理速度とレベルが問われます。
私も1度しか観てないのですが、この作品は何度も何度も観て、様々な角度から検証すればするほど面白いこと間違いなしです。

そしてまた、映像の完成度は言うまでもなく素晴らしいです。
こういうの観てしまうと、例えば邦画の予告編、CG使っていたりすると酷く辛いものがあります。
ストーリー性も重厚なところへ、この完璧な映像。
ザック・スナイダー監督の才能は本当に凄いです。
過去に、著名な監督たちがこのウォッチメンを映画化しようとして断念したというエピソードにもそれが表れていますね。

こちらのトレンチコートの人は、ロールシャッハ。
顔の模様がもやもや~って変化するのがすごく不思議で面白いアイディア。
彼が一番良いキャラでした。

個人的には、あのピースマークが懐かしくて。
ピースマークのデザインは目と口の形状と位置だけなわけですが、実はこれが、時代とともにすごく変化していってるんですね。
この作品で使われたピースマークのデザインは、おそらく初期のものと思われ、私が小学生のころに流行していたものです。
あらためて見ると、初期デザインて良いな~と思いました。

作品では血のついてるのがポイント。

一番気になっていた人物。
Dr.マンハッタン役のビリー・クラダップ。
彼はハンサムなだけでなく、ひと癖ある役がすごく上手いんですね。
「M:I:Ⅲ」とか「グッド・シェパード」でもすごく印象に残る脇役でした。
今度はマイケル・マンの「Public Enemies」で、ジョニー・デップと共演。これが今からもう楽しみで楽しみで!!
ビリーはFBIのフーバー長官役、てことはまた悪役?
ところでこのトレイラーがあまりにもカッコイイので、友人に教えてもらってからというもの、何度も観てます。

このDr.マンハッタンのキャラがかなり笑わせてくれました。
ビリーのファンとしては、ほぼこの青い人状態だったため、残念ではありましたが・・・。
彼はほとんどいつも全裸ですが、時々パンツのようなものを着用。
あと、このポスターのようにスーツを着ることもあります。


マンハッタン氏は身体はもちろん、精神も人間離れしてしまい、思考も人間から離れていってしまう・・・。
でも、こういう人間性を失っていくところが悲しくもあり、またブラックユーモアにもなっていて結構笑ってしまいました。

この画像は、変化前(というか変身中)のビリー・クラダップ。
実はほとんど素顔観れないかも、とあきらめていたので、少しでも登場してくれて嬉しかったです。
彼のクールで知的なイメージが、ぴったりの役でした。


これはコメディアン役の、ジェフリー・ディーン・モーガン。
彼はこの前、「P.S.アイラブユー」でジェリーの親友役を素敵に演じておりましたが、今回はかなり違う印象。
ちょいワル・・・いや、かなり悪いのかな?詳しく書けないけど・・・、ジェフリーさんがカッコいいので楽しいです。
友人たちの評価も高かったですね。
チョイワルおやじ系、ワイルドな雰囲気が良いです。

ガウンの胸にピースマークのバッジというスタイルも好きでした。


こちらは、ロールシャッハ役のジャッキー・アール・ヘイリー。
声がめちゃくちゃ素敵!!
聞き惚れておりました。
マスクとってくれて嬉しかったです(笑)。
彼も人気高いようです。
皆、絶賛してましたね~。残酷な性格で、ちょっとスプラッターなシーンもあり。


シルク・スぺクター役はマリン・アッカーマン。
さらさらの髪が素敵で、お衣装もイケててカッコ良かったです。
こんなヒールでバシバシ戦っておりまして、あたったら痛そうだな~と思いながら観ていました(笑)。
シルクは、お母さんの後を引き継いでいて、このあたりはまるで、ピクサーの「Mr.インクレディブル」みたいな部分がありました。

お母さんの髪型や衣装がレトロでオシャレなのです。ガーターベルトに網タイツ、コルセットなどで、すごく可愛い。

この他、「マッチポイント」で素敵な兄を演じたマシュー・グードとか、「オペラ座の怪人」のラウル役のパトリック・ウィルソンも楽しませてくれました。
特にパトリック・ウィルソンは、シャイで控え目な性格のナイトオウル役で、お坊ちゃま育ちの素直な性格という設定。
発明が得意で、乗り物の名前が“アーチー”。

音楽の使い方もシャレがきいてて楽しいです。
こちらは疎いので、感覚で楽しんでいましたが、要所要所で色々と意味深い使われ方をしていたようです。
「ワルキューレ」の使い方が私的には最もわかりやすかった(笑)。

あ、あと、日記って(アナログの)大切だなと思いました。