Vフォー・ヴェンデッタ
すごく感動しました。泣けた。
反独裁主義、でも、アンチヒーロー。主人公は決して清く正しい英雄ではない。
復讐鬼であり、モンスターであり、でも、心優しい紳士なのです。
こういうストーリー、大好きです・・・。
アラン・ムーア(原作)のダークな雰囲気、メッセージ性の強い作品はいいですね。
ガッツを感じますね。
ジョン・ハートも良かったー!
悪しき独裁者という役でありながら、すごく素敵なのはなぜですか・・・。
フォー・ヴェンデッタを観ながら、「1984」を思い出さずにはいられなかったのです。
プロパガンダの恐怖。
ジョン・ハートが管理される側としての役を演じていたが、今回は180度違う、独裁者を演じていた。
彼もすごく好きな俳優のひとり。
私は「1984」の彼が最高に好きだったので、DVDにならないかなあ~と待ち焦がれているのです。
それにしても、ジョージ・オーウェルの「1984年」が書かれたのは、1949年ですよ。
そこから、基本的には何も変わってないんじゃないの、世の中。どうよ?
一見、自由に見える世界。でも、気が付かない間にコントロールされている。
そう、考え方や個人的な嗜好まで。
もうひとつ、思いだしたのが「ルード・ボーイ」ですね。
伝説となったバンド、クラッシュのドキュメント的な作品ですが、イギリスの病んだ部分をかなり批判的に描いており、20年ほど前にミニシアターで観て、衝撃を受けた。
当時、これを観てサッチャー政権の独裁ぶりが理解できた。映画で学ぶことは本当に多いです。
私はこの作品、すごく強く心に刻まれたひとつです。これは入手可能なので、是非おすすめしたい。
と、いうような作品もあわせて観てみると、このフォー・ヴェンデッタの中に出てくるシーンやセリフにこめられたメッセージ性の意味が一部ですが、浮き彫りにされるかもしれません。
また、映画的には、セリフや登場人物がうまくリンクしていて、それが実に面白い。
セリフにシェークスピアを引用していたりするのも、楽しい。
セットも小道具も、高感度!赤と黒のイメージもおしゃれですね。
ジャズやクラシックもセンス良く、特にチャイコフスキーの「1812年」がすごく効果的に使われていました。花火にぴったりね。
嬉しくってたまりません!
Vの隠れ家には、たくさんの美術品が置かれていたり、レトロなジュークボックスも素敵。
日の当たらない、薄暗い地下室みたいな部屋もいい雰囲気でした。
こういう、隠れ家のイメージや、ナタリー・ポートマンとの関係は、まるで「オペラ座の怪人」を思わせる。
ナタリーのロリータコスプレと、Vのエプロン姿でお料理♪♪には、ちょっとツボってしまいました・・・笑。
ヒューゴさんの演技(一切、顔の表情がなく、仮面をつけたまま)と声に魅了させられました。
パンフにも素顔が載っていないのは驚きました。
「エレファントマン」も思い出しましたね、そうそう、あれもジョン・ハートだっけ!
「リーグ・オブ・レジェンド」の、クラシックと超未来的をうまくミックスしたデザイン感覚って、アラン・ムーアの特徴なのでしょうか。
とてもいいですね!
こういう考えかたはわりとよく使われるアイディアだとは思うのですが、アラン・ムーアのセンスはかなり独特な感じがします。
すごく大胆に使い分けていますね。
だから、過去なのか未来なのか現代なのか、いったいどんな時代なんだかよくわからなくなって、そこがまた面白かったりする。
Vは、銃を使わず、ナイフだけで戦うのですが、ああいうのって、なんだか「戦いの美学」みたいなものを感じさせてくれて、いいですね。
そういうところになんだかんだとツッコミを入れるのは野暮でしょう。
現代の私達の生活は、決して自由ではないってこと。
真実から目をそむけているほうが、安楽に生きていけるからね。
だから、皆、考えようとしない。
疑問を持ち始めたら、疲れるだけだからね。
そう、考えるのは面倒臭いしね。
自分で責任とるのってかったるいし、誰かがやってくれたらいいなって思ってれば気が楽。
いかに自分自身の幸福が、陳腐で嘘臭いかっていうことを、思い知るのは辛いことだしね。
・・・そしてこれは、今も昔も、ずっと変わらない恐ろしい現実なんだってこと。
「V」を観て、そんなことを考えていた。
少数派の立場で観ると、すごく深い意味のある、最高!!に面白い作品だと思います。
これも、すぐDVDが欲しいと思いました。
Vフォー・ヴェンデッタ [Blu-ray]
ナタリー・ポートマン (出演), ヒューゴ・ウィーヴィング (出演), ジェームズ・マクティーグ (監督)