ブラックブック

まず、この作品はとっても良かったということを一番先に書いておきます!

時代設定といい、キャスティングといい、脚本、演出、すべてがほどよく、ビターな大人の好みにしっくり決まっていて、実にいい出来栄えだと思いました。

さて戦争映画は、10代の頃からとにかくよく観ています。

人間の内面性、とりわけ善と悪の描かれ方に興味をひかれます。

戦争という、いわば極限状態におかれたときの、人間の心理とか行動に非常に興味深いものがあります。

やたらに「善」を強調する、いわゆる典型的ハリウッドっぽい描き方にはそろそろ一般的にも胡散臭さが露呈してきているのではないでしょうかね。
しかしそうはいっても、最近観たいくつかの作品にもあらわれているように、まだまだ、ハリウッドはそうしたかたくなな善人物語から抜けられないでいるようですが。
それに、商業主義に偏った作り方にならざるを得ない、どうしても大衆に媚びなければならないわけで。
個人的には芸術の方向へ偏ったものを好みますがね~(かなり激しく偏っててOK・笑)、やはり映画の場合は、芸術と商業のバランスが避けて通れないところなのでしょうね。


ま、そういう話は横へ置いてと。本題の映画の感想です。
この「ブラック・ブック」の監督、ポール・バーホーベンの作品はほとんど観ていませんでした。これから観てみようかな~と思っているのですが。
彼は、かつてハリウッドで活躍し、ここで故郷のオランダにもどり、この「ブラック・ブック」を作ったということです。
そう、”ハリウッド的な制約を受けない作品を作るために”。
それで、この「ブラック・ブック」を観てみれば、ああ、なるほどね!と納得するはずです。ほんとうに、監督が作りたいようにやってるんだろうなあという雰囲気が感じられるからなんです。そういう作品って、やはり観てるとしっかりと伝わってくるものですねえ。


レジスタンスのお話で、戦争映画といっても、派手な戦闘シーンはほとんどなし。
室内のシーンが多く、主役のエリスというユダヤ人女性がナチスに潜入してスパイ活動をするという物語になっています。
そういうわけなので、人間の内面性がメインとなり、登場人物の誰が悪で、誰が善で、というのが複雑にからみあって、実に面白いのです。
そういう中に恋愛沙汰も加わって、さらに話が複雑化します。

主役のエリス、潔くて、妖艶すぎない知性のある色気が素敵でした。各シーンでのレトロな衣装もすごく素敵でした。
もちろん、レトロな建築とかインテリア、車などにもワクワクしました。
本当にあの時代の風情はたまりませんね~~。
今回とくに、葬儀屋さんの車(霊柩車)とか、衣装に目を奪われました。
ゴシックな雰囲気がすごく素敵~~~~


こちらの、トム・ホフマンがすごく気に入りました。
いいです。すごくいい!
ラッセル・クロウ似なところがまたたまらなく素敵。
悪キャラをとってもうまく演じてるとこなんかが最高です。

他にも、脇役で各種ハンサムな俳優さんが登場してくれて、楽しかったです(笑)。

DVDでも、再度楽しみたい作品です♪