モーテル

映画って、どう楽しむかというところが楽しい、です。
この「モーテル」は、ケイト・ベッキンセールが出るというのでまず興味を持ちました。
あと、チラシのアール・デコ調のようなレトロなデザインのモーテルの看板と、暗い色調などのセンスの良さに惹かれました。


ケイト・ベッキンセールは好きな女優さんのひとりです。
なにしろ「アンダーワールド」での戦う女ヴァンパイア・ヒロインはホレボレしました。
彼女は、ミラ・ジョヴォビッチ並に強そうなイメージを持ちながら、色っぽいところがいいですね~。
綺麗な外見とたくましいイメージに加えて、どこかファンタジックでフェミニンなところも魅力なのかもしれません。

それにしても最近の映画は、CGがどんどん進化していってるし、過激な表現にしても、以前は普通じゃなかったことまでどんどんフツーになっていっちゃうしで、表現過剰気味。
みなさんやはり、アドレナリン・ジャンキーになってるのかなあ~?と思うんですよね。
過激な表現を追及しましたけどいかが的なノリもどうよ?って思ったりするので、そういう意味でもこの「モーテル」、なかなか良かったです。
閉じ込められる恐怖、そして脱出劇のおもしろさに、かなり引き込まれました。面白かった。


まず、ちょっとクラシックな雰囲気が良かったです。
どことなく品のある古いサイコ・スリラーを思わせる作りが、なかなかにツボでした。監督さん、結構バランス感覚がいいですね~
クラシックなスタイルというか渋めの手法で、そのあたり知的な感じもあって、なかなか楽しめました。
出血や過激表現はかなりおさえめ、それより心理的恐怖を表現したかったようです。


ケイトさんは、出だしはめちゃくちゃテンション低いんです。
でも、だるそうなケイトさんも、なんだかツボだったり(爆)。
逆に、これからどうなるのかドキドキでした。
そしてケイトさんがこのままのテンションで終わってしまったら私どうしよう、みたいな不安とか余計な心配もしました。
このテンション谷底状態から、どんどん緊張が高まって・・・・・、終盤の盛り上がりはなかなかに見ごたえがありました。かなり入り込んで観てしまいました。
ネタバレになるのであまり書けないのが辛いところですが、ケイトさんは実に良かったです。
やはり彼女を起用しただけのことは、とりあえずあったと思う。
ケイトさん使ってるんだから・・・という期待は、はい、そうです期待どおり・・かも(笑)むむ・・ネタバレしそうでこれ以上は書けないっす。

パンフに出ていたケイトさんのコメント「これまでの出演作に比べるとアザの数はダントツね。死ぬほど(笑)」だそうです(涙)

あとケイトさんがナイフでうっかり手を切るシーンがあるのですが、バンドエイドでも取り出して貼るのかなあと思っていたら、ちょっとなめただけで終わり。
やはりヴァンパイアか?!きっともう直ったんだわ・・・くくく。なーんて思ってウケていました(笑)。


セットがすごく良かったです。モーテルのインテリアとか、’70年代かなんかのまんまのボロボロな雰囲気がなんとも味わい深いものでした。
照明も、夜のせいもありますが暗めな調子でずーっと進行していきます。影の効果が怖さを増しますね♪

脚本も、なかなかよくできているなあと思いました。
結構細かい心理描写が表現されていて、面白かったです。
ケイトさん演じるエイミーのテンションが冒頭、やたら低いところや、夫婦の会話に冷たい風が吹き荒れている理由も、物語が進むにつれて明らかになり、極限状態におかれることで、夫婦の関係の深い部分に徐々にふれていくシナリオも、なるほど~と引き込まれました。
どんなときでも冷静さを失わなわず今おかれている状況を分析し、やれることをやる、というデビッド役のルーク・ウィルソンがカッコ良かったなあ。


支配人役のサイコおやじ、見た目フツーなのにキレると暴走しまくりで、めちゃくちゃ怖いです。この、めがね、髪型。そしてこの、首の傾け具合が絶妙。
一見地味で害のなさそうなフツーの人が豹変するのって、怖さ倍増って感じ。こういう演出は面白くて好きですね。
でもなんかあの俳優さんいいなあ。別の映画に出てきたらきっと、ものすごくいい人なんかやってそう。自分犠牲にして人助けしちゃったりとか。


・・・などと考えていたら!!
何と、このフランク・ホエーリーさんは「ワールドトレードセンター」で訳アリの救急隊員を演じていたんですね~。
あわててDVDで確認したら、「え、この人?!」(画像の人)とかなり驚きましたね。
まるで別人のようでしたもん。いやーびっくり。
というか「記憶」って面白いな~と思いました。
しかし、私の脳みそは、彼のことを「覚えて」いたのだろうか???