アリス・イン・ワンダーランド
これも、公開してすぐに観に行って、新宿ピカデリーの一番大きいスクリーンで観ました。
娘が3Dは嫌だと言うし、私もそれほど強烈に3Dじゃないとダメとか思ってはいないので2D上映で観ました。
ティム・バートン監督は、とても尊敬していて、彼の作品を観にいくのは、何かとても高級なセミナーを受講するかのような感覚です。
クリエイターとして、いつも新鮮な驚きをもたらし、他にはないオリジナルな創造的世界が、感性を大いに刺激してくれて楽しいことこの上なしです。そしていつも大変勉強になってます。
実は、原作アリスの世界は少女趣味なところにどうも入っていけないところがあり、ほとんどなじみがありませんでした。
はるか昔に読んだ記憶があるしディズニー作品も観たけど、あまりよく覚えていないってくらい。
しかしあまりにも有名な作品なので、興味がなくても知っている、とそういう感じでした。
“甘くてガーリー”な印象があったのですが、しかし、よく観察してみれば結構ダークだったり、あるいはゴシックなところがあってそれがとても趣味に合っていたりと、食わず嫌いでいないで入り込んでみるとなかなか面白いことに最近になって気付きました。
実際、ゴスロリの世界ではアリスのキャラクターやイメージがよく使われていますね。
そんな風に特に思い入れが強くなかった作品ですが、とにかくティム・バートンが選んだテーマ。
今度はどんなものを見せてくれるのかと大いに期待していて、そして期待以上の出来栄えに嬉しい驚きでした。
ティム・バートン監督の最高傑作と言って良いのではないだろうかと思ったくらいです。
ティム・バートン風アリス、なにもかも、隅から隅まで面白くて楽しくてしかたがなかったのです。
少女趣味に偏っていなくて、けれどもしっかりロマンチックで、そして少々苦味を加えた大人風でありながら可愛い遊び心がいっぱいの、なんとも魅力的で素敵な世界でした。
とてもたくさんの色を使っていて、カラフルなのに、影があって、暗い感じに統一しているところも良かったですね。
この話に出てくるキャラクターや様々なものはどこか変、というのはティム・バートンの世界そのものですね。
白の女王、アン・ハサウェイがものすごく綺麗でした。
全身真っ白で夢のように美しいのですが、どこかダークなところが感じられるキャラ設定が、いいですね。
他にも、声担当の俳優陣の豪華さは要チェックでした。
なにしろ一番素晴らしくて印象深かったのは青い芋虫役のアラン・リックマン。
あの、もやもや~っとした話し方や声のトーンが忘れられません。
娘と2人で大ウケでした。特に、逆さまでサナギになっていくシーンとか、最高でしたね!
あと、白ウサギはマイケル・シーンだし、ジャバウォッキーはクリストファー・リーだし。
アリス役のミア・ワシコウスカのアリスがとても良かったです。
19歳という設定で娘が同じ年ごろなので、大変共感するところがあったようでした。
終盤で甲冑を着て戦うシーンでは、「ロード・オブ・ザ・リング」のエオウィンを思わせ、この人がエオウィンだったらなあ~・・・なんて思っていました。
アンダーランドは、きっとアリスの潜在意識の世界なのだろうなあ・・・と考えていました。
現実に帰った時、自分の道を決めてしっかり自分の足で歩いて行こうとするために必要な創造的世界。
それは、決して、現実逃避に終わっていない。少なくともアリスにとっては。
この映画のテーマが”現実を受け入れる勇気”であったように思いました。
このジョニー・デップを初めて観たときはずいぶん前になりますが、その時はかなりびっくりしましたね。
顔は真っ白だし髪はオレンジ色だし目が変だし・・・
まージョニデだったらなんでもOK☆という妙な説得力に押されてしまうから凄いです。
それに、何度も予告編を観るたびに慣れてきてしまいましたし公開する頃にはフツーになってました(笑)。
けれども、このような特異な芸術的キャラクターは、ジョニーにしかできないこと。
やはり凄い人だなーと思いました。
単に奇抜で変な格好の人にはとどまらず・・・もちろんですが・・・奥行きのある人物像を表現していて素晴らしかったです。
衣装も細かいところを見るとすごく可愛いのです。
帽子に刺さったピンとか、花柄のスカーフ、指には指抜き、肩にたすき掛けしてるのは糸巻き、という具合。
お茶会のシーンは最高楽しかった!
テーブルセッティングとかめちゃくちゃ加減がすごいオシャレだし、マッド・ティーパーティなイカレた雰囲気が面白すぎでした。
赤の女王、ヘレナ・ボナム・カーター♪
いいキャラでしたねー。
トランプのイメージをデザインに取り入れていて、とってもオシャレでした。
アリスが着せられてた赤いトランプ柄のドレスが、この映画の中でダントツお洒落でした!
観終わってから娘とも「何?!あのドレス!!可愛いっーー!!」と叫んでいたくらいです。
衣装担当はコリーン・アトウッドで、最近では「パブリック・エネミーズ」でも素晴らしく素敵でオシャレでカッコイイ衣装を作っていました。
今回の衣装も、どれもこれも素敵でした。
特に感心してしまったのは、アリスが小さくなったり大きくなったりした時のドレスの変化。
細部までよく考えられていて素晴らしい!
ところで私がこの作品中で激ツボというか、もう完全にノックアウトっていうか、映画史上最高傑作じゃないか?!と思ったのが、赤の女王のカエルの召使いでした。
も~あの皮膚のしっとりと湿ってツヤッとした質感とか、挙動不審な表情とか、目つきとか口元とか赤い燕尾とか!可愛くて可愛くて!!たまりませんでした。。。
あらゆるシーンの、背景や、様々なデザインはとても勉強になりました。
色彩はカラフルでありながらもダークなイメージ。
このさじ加減の絶妙さが、やっぱりティム・バートンらしいなあと思いました。
実写とCGの組み合わせ方もうまくできていて、違和感なく溶け合っていました。
色々な有名ブランドが、アリスとコラボしていてアクセサリーなどを出していますが、どれも可愛くて欲しくなってしまいますね。
クリエイティブな刺激がてんこ盛り、もう大変!な作品。