バンテージポイント
私はTV、特に地上波チャンネルを観ることがまったくと言っていいほどないのですが、友人たちの話しているのを聞いてると、公開映画の解説をかなり放送しているようなのですね。
だから、たいていの人たちは、観る前から結構その作品に対しての情報を持ってしまっていたりします。
しかしそれは、自分の正直な感覚で観ることの妨げになっていることが多いなあと思います。
私はもっぱら、映画マニアの友人からの情報とか、映画関連の記事、あるいはネットなどから情報を得ていますが、劇場に行くまではできるだけ情報を入れないことにしています。
まずは、自分自身がどういう反応をして、どういう感じ方をするのかというところにとても興味があるんですね。
さて、この作品はとてもよくできていて、非常に楽しかったです。
というか、こういう暗殺とかアクションとかが大好きですので、わくわくしながらはじめから終りまですっかり楽しみました。
8回、同じ時刻に戻って、同じシーンからやり直しという手法。
それを、違った人の視点で。
同じシーンも、違う人の視点からとらえていくと、見えなかったものが見えてきたり、と、話が進行することでわからなかった事実が浮かび上がってくるんですね。
これがとってもおもしろくて、すっかり引き込まれてしまいましたね~。
聞くところによるとこれは、黒澤監督の「羅生門」の手法を取り入れているそうです。
確かにそのとおりなのですが、印象としては羅生門というより「LOST」に近い雰囲気でした。
カメラワークにもかなり動きがあるので、現代的なイメージが強くて、そう感じたかもしれません。
作品的にいい仕上がりだと思いました。
再度観たいと思いましたからね。
全体に漂う緊張感もすごくいい感じで、特に気に入ったのは終盤のカーアクションのシーン。
時間的にもかなり長く、たっぷりと楽しめて、しかもギリギリぶつかりそう~な狭い道を走り抜けていくのはなぜだか気分爽快。
最近の映画でもいくつかこのようなヨーロッパの狭い道でのカーアクションを観ましたが、それでもちっとも飽きさせず、撮り方にも臨場感があって、上手いなあ~と思いました。
エドガー・ラミレスさんまた・・・(ボーン・アルティメイタムにも出演)と思いました。
何がまたかは書かないでおこう・・・。
俳優さんが皆さん素敵で、次々と登場するカッコイイ方々に嬉しくってたまりませんでした。
大統領役のウィリアム・ハートは、クリントン氏のイメージなんですね。
もちろん、シークレットサービスのデニス・クエイドも、すごくいいなあ~と思いました。
とにかくイチ押しは、マシュー・フォックスのバリっとしたダークスーツ&鬚なし!!
・・・にうっとりです。麗しいですね~。
「LOST」で大人気のようで、ブリスターではジャックのフィギュアも販売しているのを発見して・・・いえ、買ってません(笑)。
役も、今回かなり重要な人物です。
あと私の秘かなごひいき俳優さん、ジェームス・レグロスがチラッとですが、出てきて嬉しかったです。
「ゾディアック」で最後に出てきた刑事さんですね~すごく印象的な目をしている人です。
いかつい印象の顔なんですが、でもなんか、このごつごつした顔が好きなのです(笑)
最後のほうの、ホテルの部屋にいた大統領の側近の人たちの一人で、透明感のあるギョロッとした目が特徴的な人です。
本当にちらっと出てきただけですが、なぜか印象に残るんですよね。
そういうわけでこの作品、キャスティングというか俳優の顔選びがすごくいいなあと思って観ていました。
そういう作品て、映像的にキリッとしてるというか、きちっとまとまりがあって、いいですね。
J.レグロスにしても、ちらっと出てくるだけで画面がキリッと引き締まりますからね~。
こういうのってたぶん、ほとんどの人が意識しないで観てはいるけれど、印象がキリッとしているなというのは何となしに残っているはずなんですよね。たぶん。
作り手も、そういう微妙さをも計算の上だと思います。
エドゥアルド・ノリエガもすごく素敵ですね。
今回は鬚もじゃでモサッとした感じで、髪型もちょうどいい長さ。
カジュアルな服装でしたが、さすがスペイン人の色気があって、そしてオシャレでした!!
女優さんも忘れてはなりませんね~。
シガーニー・ウィーバー、登場シーン少なめでちょっと意外でした。
でもあんな風に彼女を起用するというのもなかなか心憎いですね。
「ミュンヘン」でエリック・バナの奥さん役だったアイェレット・ゾラーも、あの時よりぐっと綺麗な印象でした。
ところでこの作品のピート・トラヴィス監督は、何と「キング・オブ・ファイヤー」を撮った人だったと、あとで知りました。
DVDを持っているのですが、キャスティングが大変素晴らしいのです。
レイ・ウィンストンがヘンリー8世、ショーン・ビーンも出演。
監督、ご趣味のいい方ですね~(笑)。次回作も期待してます!