SOMEWHERE
スティーブン・ドーフ大好きですので、彼が主役でほぼ出ずっぱりというのがまずなんといっても嬉しかったです。
しかも、実にナチュラルな雰囲気で、なんともカッコイイではありませんか。
もう本当に嬉しかった。
「パブリック・エネミーズ」の時なんか、大作だからチラッとなのだろうなとは思ってたけどほんとにチラ!だった。こういうのってわかっちゃいるけど、ってとこがある。
だからこそ、彼が主役でしかもハマり役となれば、嬉しくて嬉しくて、観ている間中、笑顔でいられる。
スティーブンの役は著名な俳優ジョニー・マルコ。
多忙で、高級ホテルに住んでいてフェラーリを乗りまわしている。
ちょっとした怪我がきっかけで娘と過ごす日々を送るうちに、ふと自分自身を取り戻していく。
一度、軌道に乗ってしまうとずーっと同じところをグルグル回っているような、メリーゴーランドみたいな日常になっていたのが、ほんのちょっとしたことで崩れた。
娘とのつながりが彼を癒してくれる。
驚くのは、彼女のお得意な撮り方と思われる、ドキュメントタッチというかもうほとんどドキュメント撮ってるのではというくらいの超自然体な映像です。
スティーブン・ドーフもエル・ファニングも、すごく自然体で観ていてすごくなごむ。
彼らが演技をしているということを忘れてしまうほど。
本当の親子に見えてくる。
スティーブンは、「ブレイド」ではヴァンパイアをやってたしついこの前は「インモータルズ」では勇者だったし、それから時には警官だったし、色々な役をこなしてくれて楽しい。
ドレス姿も可愛いエルちゃん。とても透明感があって、綺麗な子ですね。
そうそう、ベニチオ・デル・トロがカメオ出演していました。彼もほとんど素という雰囲気だったけど、”本人”という設定なのでしょうか?
エレベーターの中でかわす、少ない言葉の中に存在する様々な背景を想像して楽しんでいました。
こういう演出、すごく好きです。
父コッポラとつい比較してしまうのだけど、さりげな~い演出や映像感覚など、やはりよく似ているなあ・・・と思いました。
というかここまでさりげなくセンス良く、さらっと何気なく作っているようでいて実は緻密に計算されているのだろうなあと思わせる。そしてそんなことができる人はそうはいないという気がする。
カッコ良く決まってる演出も大好きだけど、演出なのかどうなのかっていう微妙なところをねらっているのもすごく好きですね。
けどこれも、似通っているようでいて実は、監督の個性がすごく出てしまうものなんですよね。
そこに乗るか乗らないか、というか自分は乗れるか乗れないか?っていうある意味スリルみたいな部分があったりして、このあたりは監督のほうから観る者に投げかけてくる遊び的なものなのかなあと思うのです。
お料理するエルちゃん。とても上手。
それと、ここはホテルの客室のキッチンなんだけど、すごく立派で驚いてしまう。
私も旅先でお料理したいなあ・・・と思いながら見ていました。
ジョニーさんも、お料理とかしてみたりするんだけど、パスタ大量に茹でてみたり、なんかちょっと違う。娘のほうがずっと自立しているような感じに見えたりして。
観終わって、いい映画だったなあと。心からそう思います。好きですね、ソフィア・コッポラの感性。半端じゃない本物感の漂う癒し系。独特のセンスの良さもさりげなくて素敵でした。
ラストのスティーヴンの表情が心に残ります。素敵でした。