マニュエル・ルグリの新しき世界 A

2021年6月20日


昨年パリ・オペラ座バレエ団を引退したルグリ。
今年の秋にはウィーン国立歌劇場バレエ団の芸術監督に就任するそうです。
引退したとはいえ、まだまだ踊りのほうも観ることができそうですね。

ところでパリオペでの引退公演(プログラムの表紙!)にルグリが「オネーギン」を踊ったことに、すごく興味をひかれてしかたがなく、観たかったなあ・・・と、あちらこちらでその時の記事を読みあさっているのです。
まったくもって個人的な視点からですが、レイフ・ファインズが演じた「オネーギンの恋文」のオネーギンと、ルグリのオネーギンのイメージが、どうにも重なってしまうのです。
2人とも外見のクールな美形さが、よく似ている気がするんですよね。
表面の冷徹さと内面の情熱との2面性がお2人の持つ魅力なのではと思うのです。
それがオネーギンのキャラクターにぴったりなんですね。

さて、マニュエル・ルグリとパトリック・ド・バナと、東京バレエ団のコラボレーション。
本日はその初日でAプロ。

「クリアチュア」(日本初演)

「ザ・ピクチャー・オブ・・・」

「ホワイト・シャドウ」(世界初演)

の3作品でした。
すべて振り付けはパトリック・ド・バナ。

特に、世界初演という「ホワイト・シャドウ」、大変素晴らしかったです!
スタイリッシュなのだけど、とてもエネルギッシュで、何か、身体の芯の部分というのか、人の根源的なものに訴えかけてくるような気がして、創造性を活性化してくれるような感じでした。

音楽や演出や照明などの効果はまるで映画を観るように立体的で、刺激的でした。

衣装は高井秀樹氏オリジナルデザインで、これまた非常にスタイリッシュでかっこ良くて、カーテンコールの時など、まるでファッションショーのようでした。

ルグリの踊りは、本当に優雅で格調高く、精神の乱れがない、水平線を観ている時のような心の落ち着きを与えてくれます。
特に今日のバナの振付けで踊ると、高い精神性と確固たる力強さがあって、まるで武士道のようだな、と思うのでした。

今度はBプロに行きます。