『君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956』

2023年7月15日

この作品も単館上映、しかも一日1回の上映で、さらに、客席数が少ない!
とまあそういう事情だったため、連日満席。
私は、そんなことは知らずに行ったら20分前で満席と言われてしまい、しかたなくその日は『迷子の警察音楽隊』を観ました。
なかなかになごみ系で、良い作品でした。制服かわいいし。

で、頭にきたので別の日に朝イチで行って席を確保し(上映は昼だったんで『AVP2』を観て時間をつぶした・笑)やっと観れました(涙)。
やはり満席でしたね。
その日は地下鉄内で麗しきロシア人バレリーナをお見かけしてしまったり、朝からハイでした。

さて毎度のことながら邦題に不満。
原題が「愛、自由」なんですよね。
どうして「君の涙ドナウに流れ」なのかな・・・演歌みたいだし。
なんて・・・ちょっとブツブツ言ってみましたがそんなことはぶっ飛ぶくらいに、とにかく素晴らしく良かったです!!
『勇者たちの戦場』同様この作品もすごく真面目に作っていることが、ひしひしと伝わってきて、魂にうったえるものがありました。
ぬくぬくと不自由なく暮らしている現代日本人の私に、この映画を偉そうに批評できないですが・・・。

自由、愛、そして革命です。

ふたりの恋人たちを中心に、1956年に実際に起こった激動のハンガリーを描いていきます。
ただどうしてもこの手の作品だとケン・ローチの『麦の穂をゆらす風』を思い出してしまって、頭の中で比べてしまうんですよね。
そうすると若干ですが荒っぽい部分が気になったときもありました。
でもローチ監督のこなれた手法とはまた違う味があって、大変素晴らしい演出力でした。
そう、荒削りが結構好きだったりします。
ざっくりと目の粗い、麻布みたいな感じかな。
それも意図的ではなくて、自然にこうなりました、っていう雰囲気からにじみ出てる良さですね。
作り手の熱い心が、きっと観るものを作品の世界に引き込むのでしょう。
魂にずしりとくるものがあって、やはり無理して観に行ってよかったです。
これは本当におすすめしたいです。
自由のために戦う人達、そして恋人たちの絆に切ない感動を覚えるのです。
当時のことをよく知りもしない無知な私のような者が観ても、かなり感動しました。
ハンガリー映画史上最高の動員数って、すごく納得しました。
もう一度行きたい・・・と思いながら、スケジュール的にやはり無理でした。
DVD待ちます・・・。
心のどこかに、彼らのことを忘れないでいたい・・と。
そんな気持ちで劇場をあとにしました。
音楽がやけに重厚だなあ?と思っていたらナンと、ハンス・ジマーさんのお弟子さんでした!
たぶん、パイレーツなんかの特典映像で指揮してる人だと思われます(ジマーさんは、自分で指揮しないで指示を出すだけなのです)。

俳優さんたちがまた良くてね~。
ヒロインのヴィキ役のカタ・ドボーさん(右)凄く綺麗で素敵でした。
主役のイヴァーン・フェニェーさん(左)要チェックです。
超美形でギリシャ彫刻のような肉体美。
スポーツ万能とあって、オリンピックの水球シーンはかなりの迫力でした。
水球って、すごいハードでかなり危険な球技なのですね~ちゃんと見たことなかったので、驚きました。ずっと泳ぎっぱなしで、遠泳してるような感じですね。

エステル役のヴィクトーリア・サーヴァイさん(左)も、凛としていて素敵だった!!

冒頭で引き込まれて、最後まで、何度もクライマックスみたいなシーンがあって・・・本当にエネルギーのあふれる力強い作品でした。
先日の『ある愛の風景』も女性監督でしたね~頑張ってるなあ。

この作品のプロデューサーが12歳の時にアメリカに亡命した12月6日、その日は映画の中で描かれる水球チームの戦いの日だったそうです。

”自由がすべてに勝る贈り物であることを”
「天使のうた」マライ・シャーンドル作

自由について、深く考えさせられます。