新国立劇場「トスカ」

2020年9月9日


念願の「トスカ」を鑑賞できて、感激でした。

CDでは何度も何度も聴いてるので、曲のほうはすっかり耳になじんでいて、
次はあのアリアだな・・・わくわく
とか、あるいは
実際に大音量で劇場に響きわたる、歌手の声に驚いたり。

物語の背景となる時代が、ナポレオン侵攻の頃なので、何となく「宮廷画家ゴヤは見た」のシーンも思いだしていました。(あちらはスペインですが)

音楽を聴いているだけで胸が熱くなってきてしまうから、恋人たちの悲劇の運命にも、音楽なしだったらきっとクールな反応をしてしまうであろう私でも、すっかり引き込まれてしまうのです。
うーん、流石にプッチーニです。
極上の音楽、心の深い部分に響いてくる・・・
繰り返されるテーマのところもすごく好きだし、特に好きなのは3幕のカヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」。テノールの魂のこもった声と、弦楽の美しい響きが涙と感動のクライマックスなのです。

舞台セットがすっごいツボでした。
イタリアの教会や宮殿なので、「天使と悪魔」のシーンも思いだしたり、それから007の「慰めの報酬」のオペラのシーンなど、色々な映画にリンクして楽しかったです。

特に3幕のセットは聖アンジェロ城で、舞台中央にどでかいミカエル像がドーンとお出まし。
おお・・・!と思わず目を見開いてしまいました。
イルミナティのアジトでトスカは身を投げたんですね~

それにしても、やはりテノールの主役は天然系キャラが多く、その逆にバリトンの悪役系キャラのほうがどうも魅力的に見えてしまうのはしかたがないのかしら(お衣装も黒とゴールドが素敵でしたし・笑)。。。と心の中で苦笑したのでした。

映画「MILK」の中でも「トスカ」が効果的に使われていました。
特に印象的だったのは、終盤、ハーヴィ・ミルクがひとりで「トスカ」を鑑賞するシーン。
3幕のクライマックスで涙ぐむハーヴィ。
帰宅後、元恋人のスコットに電話し、今度一緒に行こうね・・・と話す。
そしてその後の、ハーヴィが銃弾に倒れるシーンでも、「トスカ」がかぶってきます。
ミルクの無念の死が、「絶望のうちに私は死ぬのだ・・・今まで、私はこれ程生命をいとおしんだことはない!」と歌うカヴァラドッシの最後のアリアに重なるなあ・・・と、しみじみ思いだしていました。
ショーン・ペンの演技、素晴らしかったですね。

というわけで、いつも聴いてるカラスの「トスカ」です。

「天使と悪魔」が観たくなってきました。