新国立劇場「影のない女」
オペラ「影のない女」を鑑賞。
作曲はリヒャルト・シュトラウス、台本はフーゴ・フォン・ホフマンスタール。
R・シュトラウスというと「ツァラトゥストラはかく語りき」「英雄の生涯」がなじみ深いけれど、このオペラ「影のない女」は今まで聴いたことがなかったと思います・・・たぶん。
初演は1919年ウィーン。
芸術作品には時代背景が大きく影響していることは言うまでもないことですが、初演が第一次世界大戦のあとということは大戦中に作曲をしていたわけですね。
影のない女は子供を産むことができない、という作品のテーマは、辛い時代に生きる人々の苦悩を表しているかのようです。
そのような時代を感じつつ鑑賞することで、この作品のイメージをつかむことができるかもしれません。
またこの作品で興味深いのは、ワーグナーの「ジークフリート」やモーツァルトの「魔笛」などのオマージュが盛り込まれていることですね。
ファンタジックな設定や物語は、一度で全てを理解しきれない、やや難解なところもありますが、語りたいのは愛であり、生と死に対する強い気持ちの表現があるように思われます。
なんとなくSFちっくでもあり、あの時代にしては斬新だなあと思います。
それにしても皇后のソプラノの声量と力強さは凄かった。
シュトラウスはソプラノびいきだったそうですが(奥様も歌手だし)、それでソプラノ独唱があんなにも際立って魅力的だったのかしら・・・と、帰宅後に考えていました。
先日、映画「ドン・ジョヴァンニ」を観たこともあってか、作曲者やその作品にかかわった人達のことや時代背景や、色々なことを思いながらのオペラ鑑賞でした。