新国立劇場オペラ「こうもり」


オペラパレスにて「こうもり」を鑑賞。

この作品は、何度も観ているけど、何度観ても楽しいし、
オペラ初心者に最もおススメだと思う。
おそらくそういうことなのか、いつもより来場者の年齢層がやや低めだったし、女性客、とくに女性の2人連れも目立っていた。
いつもだと、白髪紳士がほとんどだし、あるいはオペラ好きな夫や恋人にエスコートされた女性という2人連れがほとんど。
いつもと雰囲気違うなあ~と思いつつ、休憩中に周囲の人々をさりげなく観察してた。

本作はオペレッタ。
オペラに比べてセリフが多いので、オペラになじみのない人にも入りやすいと思う。

ストーリーはいわゆるラブコメ。なので、全編笑い満載。
以前も同じ演出の本作を、やはり新国立劇場で観ていたが、今回もほとんど同じだった。
基本ドイツ語だけど、この演出ではところどころに上手に日本語を取り入れていて、かなりウケていた。場内大爆笑、というシーンが何度もあった。

キャストが違うので、以前観たものとちょっと違った雰囲気を楽しめた。
この作品で私が一番楽しみにしているのが、オルロフスキー公爵役。
この役はメゾ・ソプラノ、つまり役柄は男性なのに女性歌手が配役される。
男装した女性で、そして謎のロシア人大富豪という設定は実に魅力的なキャラクター。
前回観たオルロフスキー公爵はかなりの美形で、いかにも育ちの良いおぼっちゃまという雰囲気がとても素敵だった。
また別の劇場で観た時にはカウンターテナーが配役されていて、とても貴重なものだったし素晴らしかった。
今回のオルロフスキーはエドナ・プロホニクで、衣装が黒とゴールド、黒髪ロングストレートといういでたちは、見た目はダークな悪役風で、ちょっとひとクセ、アクの強い雰囲気で独特。なかなか楽しませてくれた。体格も結構大柄な人だったので、遠目にはしっかり男性に見えて歌いだすと女声というギャップた楽しかった。

帰り際の通路で、とあるご婦人が
「今日は誰も死ななくて良かったわ」

と感想を語っておられた。
確かにそのとおりでございました(笑)。

壮絶な内容のオペラ作品が多いけど、それはオペラという特殊な表現形態のおかげで、決して暗い気分になったりしない。
むしろ堂々たる華やかな舞台に見とれてしまい、その迫力と勢いに気持ち良く乗せられてしまうところがオペラの醍醐味でもある。

それでもコメディなオペラも時にはいいものだなと思った。
「こうもり」を観ると、いつものことだけど・・・

無性にウィーンに行きたくなる!!

キャストの変更などがあったが、今回もとても上質な舞台であり、気軽にこうした上質オペラが楽しめる新国立劇場の存在はありがたい。

これで今年の深刻劇場通いは〆となった。
また来年からも通いたい。いえ、通うために頑張るぞ。