パルジファル

2020年9月12日


ワーグナー最後の作品という「パルジファル」を聴きに上野まで行ってきました。
上野駅に着いたとたん、今日上野に来るべきでなかった・・・と、激しく後悔しました。
人人人・・・・・・。人がいっぱい。
駅員さんが「右に寄ってくださーいっ!」と叫んでる。
(たぶん左側に寄ると階段があるからと思われ)
公園口は人であふれかえっており、改札を出るのに一苦労でした。
桜って罪深い花ね・・・。
暗くなっても花見客がいるようで(寒そう)、警官がたくさん歩いていました。

さて私の目的は花見ではなく。
ワーグナーの指環4部作も何とかクリアし、丁度良いタイミングで今回の「パルジファル」の公演なので、これは行かなくちゃ、って感じでした。
パルジファルは通して生で聴く機会が日本では希少ということもあり、今回無理して行ってきました。

セットや衣装なしで、オーケストラが舞台の上にあがり、後方には合唱用のひな壇、オケの前に歌手が立って歌う演奏会形式でした。
クンドリ役のソプラノ、ミヒャエラ・シュスターさんが気をきかせてなのか、2幕にワインレッドの華やかなドレスに着替えて演出していました。
ちょこっと身振りも加えてくれて、ミヒャエラさんてお茶目な人だな~と思いました。

オーケストラはNHK交響楽団。指揮はウルフ・シルマー。
じーっくりと、演奏を聴くという感じでした。
N響の演奏もシルマーの指揮も、大変素晴らしかったです。
コントラバスが好きなので、いつも台数を数えてしまうのですが今回は8台。
ティンパニは2人かと思っていたけど1人でした。ハープは2台。
2幕で出てきた”一反木綿”のような(1m×2mぐらいの大きさ)巨大な金属板、サンダーシートというらしいけど、初めて見ました。
文字どおり、雷のような音を表現するため。
それにしてもたった1回使うだけなのにあの大きさは・・・。
鳴らして遊んでみたい楽器です(笑)。

パルジファルはいわゆる英雄物語で、英雄のキャラは”純粋な愚者”。
この性格はジークフリートにも似ていて、ワーグナーの英雄のイメージには統一されたものがあるんですね。

1幕でいろいろあって英雄登場、2幕は英雄の冒険、3幕で癒しと浄化、と、構成がとてもわかりやすいしストリーや設定がまるでRPGなんですよね。
ワーグナーはアイテムにもこだわっているらしく、本作には聖杯と聖槍が登場。
魔法も出てくるし、本当にファンタジーの世界で、面白いです。
シンボルは表面的にとらえることなく、様々に深い意味がこめられているようです。ワーグナー作品は、だから面白く、一筋縄でないところが魅力です。
まだまだ勉強が必要です、私。

2幕のクリングゾルの歌詞が印象的でした。
『だがこれから迎え撃つ相手は手強いぞ。なにしろ馬鹿という盾に守られているからな』

作品が長くて、肉体的疲労が激しいので当分の間ワーグナーの生演奏会は行かないかも・・・と終了時点では思ってしまったくらいですが、来年春には「ローエングリン」をやってくれるので、今から血を綺麗にして身体の浄化につとめ、疲労レベルを下げるよう努力したいと思います。