METライブビューイング「ロデリンダ」

2020年9月8日

METライブビューイングの「ロデリンダ」鑑賞。

今シーズンはコンプリートしようと張り切っていたのだけれど、
午前中の体調不良が理由となり、今のところ一度だけ「サティアグラハ」だけ行けなかった。
すごく評判良かったようで、残念だった。。。
「アンナ・ボレーナ」「ドン・ジョヴァンニ」「ジークフリート」どれもすごく良かった。

1演目につき1週間しか上映してくれないので、スケジュールの調整が結構大変だけど。

友人と娘と3人で「ファウスト」は初日に行ってきた。
しかしこれはまたあらためて書くので・・・ってもう今日で終わりなのね。早いなあ。

とりあえず今日は「ロデリンダ」の感想を。


まずは、素敵なお衣装に目を奪われっぱなし。
細部まで繊細に細かく作りこまれていて。
その美的センスの良さ。
すっかり見とれていました。
舞台って、基本的に遠くから鑑賞するものだから、衣装のディティールなんかどうでもいいかと思ったら大間違いで、やはり細部まで気を使っているかどうかは、遠目にもわかるし、そこから伝わってくる作り手の想いみたいなものまでが出ているか出ていないかで、観ているこちらの気分の高揚度も違ってくる気がします。
映画でももちろん同じことが言える。見えないところまでこだわっているかどうかでその作品の奥行きや伝わってくるものに差が出ると思う。

紫の光沢のある生地に黒を少々効かせて、小さめにキラッとあしらった黒のブレードがいい。
あと胸の黒い十字架がいい存在感。


こちらの黒のドレスも、思わず見入ってしまった。
縦に細長く生地を・・・縫い合わせているのでしょうか?
手がかかっているし素晴らしく素敵!
この衣装の登場している時間はそんなに長くないけど、強烈に印象に残ってる。


こちらは終盤で着用していた鮮やかなブルーにゴールドのドレス。
軍服風のデザインが、ロデリンダの意志の強さを表しているようで、とっても素敵だったし、綺麗なデザインだった。

ところでロデリンダの息子役、歌うシーンはないけれど、いい演技していてそれにすごく可愛かった!


こちらは悪役のグリモアルド。
悪役でテノールは珍しいのでは。
というかこの作品は主要キャストが全て高音域の人達なので、合唱しても全体の音が高めで不思議だなーと思って観ていた。

彼のジャケットのシルエットも綺麗でついつい見入ってた。
生地や仕立てが良いのだろうか。つい無意識に目で追ってしまうのね。

ヘンデルの音楽は大好き。
バロック音楽は私にとって最も好みの領域なので、今回のバロックオペラをMETで観れるのは実に嬉しかった。

優雅なヘンデルの音楽にうっとり・・・として聴き入っているうちに時間はあっという間に過ぎた。
観に行く前は、長いな~と思っていたのに、実際、見とれたり聴き入ったりしていたら時間の長さなんてちっとも感じなかった。

特にこの作品をぐっと盛り上げてくれたのがこちら、べルタリード役とグリアモルド役。
アンドレアス・ショルとジョセフ・カイザーの、カウンターテノールのおふたり。
カウンターテノールが2人も出ていて、しかもデュエットというのは初めて聴いた。
バロックとカウンターテノールはよく合うんですねえ。
いやあ、じっくりと聴きごたえありました。本当に美しくて素晴らしいお声。

もともとはカストラートのために作曲されていたとか。
それにしてもカウンターテナーって不思議。変声期になってもソプラノを維持できるかどうかは生まれ持ったものだそうで、本当に彼らの2重奏、貴重でした。


脇役なのにもかかわらず本作で最も印象的だったのがこちらのジョセフ・カイザー。
グリアモルドの忠実さと誠実さは「ドン・カルロ」のロドリーゴを思わせる。
とってもいい役どころ。身のこなしも綺麗なので、彼を観ているのはとても楽しかった。
お衣装も素敵。


ついつい大きく飾りたくなってしまった、ジョセフ・カイザー。

幕間のインタビューで、アンドレアスとジョセフが出ていたけど、歌う時は高音なのに、普通に喋ってる時はわりと低めの声なんですね。
カウンターテナーは、ファルセット=裏声ってことがよおくわかりました。