軍もの風刺コメディ『ヤギと男と男と壁と』

2023年6月8日

予告編を観た感じでは、詳しいことはわからず、一応コメディなんだろうな、と思っていました。軍隊ものの。

ところが、話が進むにつれ、一筋縄ではないコメディであることがわかりました。

なんというか……ゆる系社会派、って感じのノリ。
で、意外にも癒し系(?!)なのに驚き。

2003年頃のイラク、戦争は始まったばかりで、ユアン・マクレガー演じるボブ・ウィルトン記者が現地の取材を続けるうちに、とんでもない部隊のとんでもない事実がわかっていくというお話。

……という実に意外性のある、興味深い切り口の作品でした!
いや~しかし私はとても好きです、この作品。
すごく平和的なノリが良いです。
しかも単に平和ボケなわけでは全くなく、締めるとこは締めてるし。

ジョージ・クルーニーの演じるリン・キャシディの大真面目ぶりに、かえって笑ってしまいます。真面目というかボケというか?実にその微妙なところがジョージさんの素晴らしい演技力、流石です。
彼は一応、優秀な超能力者というのですが、SFアクションみたいな凄いシーンを期待してはいけません。

笑いも満載だけど、時々ふっとシリアスになるシーンがあって、心に残りました。

チョイ役でロバート・パトリックが出てくるのですが、小奇麗なスーツ着用の戦争ビジネスマンで登場。もういかにも、っていう感じで笑ってしまいました。
彼のセリフの中にあった”ハリバートン社”の名前や、あとガソリンスタンドに長蛇の列ができていることなど、先日読んだ映画「グリーンゾーン」の原案になった本にも出てきたな、と思いながら観ていました。

なぜヤギが出てくるのかは……
観るとわかります。
いろいろと”ありえない実話”ばかりなんだけど、捕虜に音楽を聴かせる拷問っていうのにもかなり驚きました。
(個人的にはわかる気がしてしまうんだけど……)

映画を観る前にこの画像見つけて、右の髭&長髪の人って誰だろう~?
なんて思ってたらジョージ・クルーニーさんでした~びっくりした(笑)。
左はケヴィン・スペイシー。胡散臭い雰囲気はいつものことながら、怪しい存在感でキメてましたね~。髪型も効果的。

ユアン・マクレガーは記者役で、ジョージさんと珍道中(?)な感じになるのです。
ジョージの隣にいると、華奢に見えることや、この前のゲイ役の乙女ぶりが記憶に新しいためか、なんだか可愛くてたまりませんでした。
最後のほうで花を持っているのがやけに似合っていたし。
もと”ジェダイ”のユアンを意識したのかしないのか、やたらジェダイ、ジェダイってセリフの中に出てくるのも面白かった。

ジェフ・ブリッジスはヒッピー調で平和主義者な、新地球軍の指揮官、ジャンゴ役。
みつ編みヘアーが可愛かったし、優しい顔立ちと雰囲気に癒されました♪
ニューエイジ思想による超能力者部隊を作り軍事利用するというのですが、この映画でやっていることはほぼ実話というから驚きでした。
アメリカ人の間でさえ、あまり知られていなかったようで、出演した俳優さんたちも驚いていた様子。
SFとかの世界ではよくある話だけど、本当にあったとは!

これは撮影中??
なんだか楽しそうです。

こちらが原作。

結局のところ、奇妙で危険な取材の旅をしたひとりのイギリス人の男、ボブにとって、これは癒しと自己解放の旅でもあったのでは、とラストシーンは語っているようでした。