戦場のアリア

私の高校時代の愛読書は「ジョニーは戦場へ行った」とか「西部戦線異常なし」とか、「誰がために鐘は鳴る」とか、そういうのばかり読んでいた。
恋愛小説はちっとも読まなかった。
世の中で起こっている、裏側のことが気になってしかたがなかったのです。
映画も、戦争ものにハマッていて、とにかく観まくってた。
第一次~第二次大戦のあたりは特に好きだった。
もちろん「コンバット」も何回も観た。
女が出てこない、男のドラマが大好き。
今回は久しぶりに第一次大戦の、あの雰囲気を味わえる作品で、とても嬉しかった。
「ジャーヘッド」などの、ハイテク兵器の戦争とは違う、人間どうしの体温が伝わってくるようなドラマが魅力だ。

かつては、大抵のハリウッド作品では、ドイツは完全に「敵」という扱いになっていて、一方的な視点の話が多かったと思う。
古い映画って、そういう意味でいろいろとひっかかる部分があって、時々観ると、驚くことがある。
話はそれるけど、恋愛なんかの倫理観も、納得いかないぞ!ということがたびたびあったりする。
この「戦場のアリア」では、どこが敵だとかいう、そういう一方的な視点はなくて、皆が同じ人間なんだ、という視点が良かった。
これって、今だから、まさにこういう視点が生きてくるのかもしれないなあ、と思った。

第一次大戦の頃って、つい昨日まで、昼間は労働して、夜は仲間や家族と酒飲んで歌って、普通に平和に暮らしてた民間人に、いきなり武器持たせて、人を殺せ、っていう感じだったのだろうね、きっと。
だから、戦えって言われたって、すぐには受け入れられないんだなあ。
そりゃそうだよね、特にフランスとドイツなんてご近所さん感覚で今までお付き合いしてたわけだし。
兵士たちの葛藤はそうとうなものでしょうね。
実際、クリスマスじゃなくたって、本当は人間同士、仲良く暮らしたいっていうのが正常な願望なわけで。
だから、クリスマス、っていうことは一応大義名分なんじゃないのかなーって、観てて思った。
ユダヤ人も混じっていたし、音楽が結ぶものは宗教や国境には関係ないんだよ、って言いたげだった。

ところで、ギョーム・カネ、とっても良かった。
フランス軍の制服は、いつの時代も派手めでオシャレですね。素敵。
ドイツ軍の制服もかっこいいし、イギリス軍の赤いチェックとポンポンつきの帽子がすごくかわいい!
3将校が並ぶショットは、個人的にすごいツボでした。かっこいい!

ダニエル・ブリュールは結構注目していて、「グッバイ!レーニン」「ベルリン、ぼくらの革命」「ラベンダーの咲く庭で」「青い棘」と、ずっと観てきました。
ちなみにこの中で私が好きなのは「ベルリン、ぼくらの革命」。
ダニエルって、そんなに個性的な顔立ちでもなく、どちらかというと可愛い系なんだけど、存在感があって、単なる顔のかわいい俳優ではないのよ、みたいなところがお気に入り。
今回はドイツ軍の将校の制服姿に髭をたくわえ、ぐっと大人の雰囲気が素敵でした。
彼の役は実はユダヤ人というところがポイントでした。
ああいう人たちはあの後どうなっていくんだろうか・・・って気になりました。
かつての戦争の話ではあるけれど、人間の中には変わらないものがきっと、ずっとずっと存在しつづけてると、この作品をとおして再認識した。

それにしても、英国軍はいっつもお笑い担当なのね~(笑)。
今回は“スコットランド軍”だったけど。
始め、なんて聞き取りにくい英語なの?って思った(^^;)
「KING ST.」なんて塹壕内に看板つけたり、バグパイプを戦場にまで持ち込んでたり、キルトまではいてたし。
サッカーまで始まったときは、笑ってしまいました。
男の子って、ほんとに理解できないわ~っと、私は幼稚園の頃に思ったものだったわ。(笑)
この作品は内容もわかりやすくて、万人向けです。とっても心温まる良い作品です。
それと、これは実話に基づいてつくられています。感動しました。

戦場のアリア スペシャル・エディション [DVD]
ダイアン・クルーガー (出演), ベンノ・フュルマン (出演), クリスチャン・カリオン (監督)
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