『ANON(アノン)』感想

ANON(アノン)作品情報

 時間:100分
 原題:Anon
 製作:2018年 ドイツ、イギリス、アメリカ
 監督:アンドリュー・ニコル
 脚本:アンドリュー・ニコル
 撮影:アミール・モクリ
 音楽:クリストフ・ベック
 
 キャスト:
サル・フリーラン: クライヴ・オーウェン(木下浩之)
匿名の女(ANON): アマンダ・サイフリッド(豊口めぐみ)
チャールズ・ガッティス: コルム・フィオール(吉富英治)
カール・ニーダーマイアー: デビット・ストーチ
サイラス: マーク・オブライエン
クリステン: ソーニャ・ヴァルゲル

 

ANON(アノン)予告編

 

ANON(アノン)のあらすじ

地球上の全ての人間の記憶が記録・検閲されるようになり、犯罪がなくなった代わりに、個人のプライバシーも匿名性も失われた近未来の世界が舞台。

犯罪がなくなったはずにもかかわらず、連続殺人事件が発生。刑事であるサル(クライブ・オーウェン)は、おとり捜査を始める。

捜査を進めていくと、アノンという人物にたどり着き、会うことになるが…。

(ANON=アノンとは「匿名」を意味する)

このアノンという人物には、あるはずのデータが見つけられない。

犯人はアノンなのか?なぜ、アノンは自分自身を隠すのか?
捜査を進めていくうち、さまざまな謎が解き明かされていく。

ANON(アノン)を観たきっかけ

アンドリュー・ニコル監督は『ガタカ』『ロード・オブ・ウォー』などわりと社会派寄りの作品の印象があったので個人的に好きな監督。そして『ANON』というタイトルにも強烈に惹かれて、観てみました。

∪-NEXTにて観賞しました。観たいなーと思ったらすぐに観れるのがよいですねー(^^)

 

ANON(アノン)はクライムサスペンス仕立ての近未来SFドラマ

クライブ・オーウェンが演じる刑事サルは子供を亡くし妻と別れて孤独な暮らしをしている。暗い過去のある、ちょっとやさぐれた刑事さんという風貌。ややお疲れな雰囲気を漂わせています。
とはいえ近未来なので、乗っている車や服装はスッキリとしたデザインでスタイリッシュ、住んでいる部屋もおしゃれな感じです。

近未来なのに乗ってる車は普通の乗用車っていうか、未来からするとヴィンテージカーという感じなのかしらん?むしろ趣味の乗り物的な。
デザインはクラシックだけど、中身はハイテクノロジーな仕様なのかな。

デバイス不要でジャンジャン人と連絡できるのって便利ーと思ったりもするけれど、全ての記憶にアクセスできてしまうから、盗みとか浮気もバレるしってことなので、悪いことは何もできない世界になっています。
『スノーデン』思い出します。

がしかし、なんですねー。

ヤバいことはついやってしまうし、ダメって言われてもやりたくなっちゃう。でまあ当然の流れで、もみ消そうとする輩が現れたり、それを商売にする奴なんかも出てくるわけですね、はい。

人間の性ですかね。

個人的には、もみ消しの手間とかお金とか面倒だし大変だから最初からヤバいことはやらないでおけばいいのにねえ、と思ってしまうのですが(笑

具体的なことは書きませんが、どんな風に抜け道があるのかとか、どうやって裏工作すんのかとかは観てのお楽しみ。

なるほどねー、そーやるのかーと、非常に興味深く観ていました。

しかしデバイス無しで交信している様子とか、PC画面すらない部屋で会議とかやっていると、もはや人間ではなくロボットの世界に見えてきてしまいます。

でもそこは演出がいいんですよねー。

全てがデジタル化されている世界に、アナログな小道具を登場させる。例えば紙の札束とか。タバコも普通の紙タバコ。
すごく古そうな年代もののアンティークな本とか。そういう人間味のある小道具を、チョイチョイ画面に、意図的に印象に残るように入れてくる。

 

大体、中盤くらいに差し掛かったところで、この人が犯人じゃないのかなーという雰囲気になってきますねー。

単純な私は、「もうこの人犯人じゃないの?」って考え始めるんですが、しかしそうそう単純ではないんですねえ。

さてさて、、、、、しかし、なのですが、ここに結末は書かないのでご安心を。

観てのお楽しみ、の方が良いです^^

わりとセクシーなシーンも多くて、画面も全体的に常に暗めなので、大人向けの映画ですね。
アマンダファンにはセミヌードもあるよー!非常に美しくて思わず見惚れます。

無機質なインテリアや背景、割と無表情な登場人物たち、それと画面上にデジタルな数字やら記号やら地図やらが表示されるので全体の雰囲気は固い感じの印象に統一されているんだけれども、そういう中にアマンダのヌードとか、男女の絡みシーンなんかを入れてくる。無機質なものと生身の人間という対比を見せているようでした。

アートなビジュアルにアマンダの美しさがよく似合う。

エドワード・ホッパーの絵などのアメリカの現代アート的な、スタイリッシュな心地よさを味わうのでした。
いらないものを徹底的に排除した画面構成はなんとも潔くて、監督の美意識の高さを感じさせます。

エドワードホッパー-Wikipedia

 

ANON(アノン)のロケ地

スタイリッシュな映像に惹き込まれながら、観る楽しみを大いに与えてくれる作品『ANON(アノン)』。
視覚的満足度が高い、と言えます。
インテリアはスッキリとおしゃれで、どのシーンも良いです。


警察の打ち合わせ室はコンクリートの壁と机でできていて、デスクの上には紙一枚も乗っていない。もちろんPCも電話も、本当に何もいらない世界なのです。
全ては人間というデバイスを通してコミュニケーションできて、あらゆること、あらゆる場所にアクセスできてしまうから、機器は一切不要という世界。
監視社会SFモノというと、クラシック作品ではやはり『1984』を思い出しますが、もう今や記憶がクラウドに保存されちゃうっていう設定になったんだなあーと、つくづく時代の流れと進化を感じました。

ロケ地はどこなんだろうと興味深く観ていて、最初はロンドンかな?と思ってしまいました。というのもクライブ・オーウェンがイギリス人だから、その雰囲気に引っ張られてしまって、ついロンドンだと思い込んでしまったのでした。
これは監督の意図に嵌められてしまったなあ。苦笑。

が、ロケ地はどうやらNYCのようです。
冒頭でサルとANONがすれ違う場所は、あの『ジョン・ウィック』で有名な、ホテルコンチネンタル。私はあそこに行ったことがあるのだけど、とてもオシャレな界隈なんですよね。あの頃のNYCは平和だったなあ。

サルの住まいはマンハッタンのブロンクスあたりのようです。

というわけで、なかなか興味深い近未来を見せてくれたのでした。

ANON(アノン)関連作品

監視社会というテーマで。こちらは現実なのですが…
『スノーデン』オリバー・ストーン監督
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『1984』ジョージ・オーエル
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アンドリュー・ニコル監督作品;
『ロード・オブ・ウォー』
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『ガタカ』
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