スパイダーマン3

一応、1も2も観ましたので、3も観ておきましょうということで、行ってきました。

監督のサム・ライミは、カルト作家としての地位を確立してる人で、作りに関してはやはりかなりのコダワリが感じられます。
とくにビジュアル方面に、熱心なようです。
デビュー作の「死霊のはらわた」を先日観てみましたが、もう、笑うしかないっていうか。ホラーファンのスタッフ、ケロリンとかは、大絶賛してるんですが(笑)。
しかし、デビュー作には作家の本質が表れているような気がしますね。実におもしろいです。


で、今回は映像がDLP(フィルムじゃなくてデータ)で音響がSRD-EXで観てみました。
ほんとうにすごい!
まず音ですが、サンドマンが「ず~~ん」と出てくると、椅子がビリビリするので、まるでぶるぶるシートみたいでした。
映像は、スミからスミまでクリアーで、かなり目が疲れますが、凄ーく綺麗。


今回一番の見所は、やはりサンドマンですね。
砂粒の表現には目をみはるものがあります。
あとでいろいろと記事を読みましたが、あれは本物の砂ではなくって、トウモロコシの穂軸部分を粒状に加工したものを、一粒一粒レンダリングしたそうで、気の遠くなるようなことをやっているんですね。
ちなみにレンダリングっていうのは簡単に言うと、3DCGのデータをあれこれ入力していくみたいな作業らしく、ほんの小さなデータでも、一晩かかるとか、そういう、えらく時間のかかるものらしいです。
しかも、このつぶつぶは、一粒ずつ制御できるようになってるとかで、まー本当に信じられないことですね。
で、こういった映画にありがちなのですが、監督はアーティストですので、感覚的に「こういう表現にしたい、きっとできるはずだ」っていうのが理屈を超えたところで先走ってて、技術者は「現状ではまだそういう技術はありません」てことになって、それじゃあ開発しちゃいましょう、となるわけです。

でも大体、この手の映画のメイキングのインタビューを観ると、スタッフが「これでも監督を100%満足させられなかった」とか言ってるのがあったりして、予算とか時間の都合などで適度に妥協して作ってるんだなーと思ったりします。
こだわるとキリがないんですねえ。気持ちはわかりますねえ。
そういう製作の裏話は、聞けば聞くほどおもしろいです。
ピクサーの特典映像なんて、まるでデザインの授業みたいに面白いです。
すごく勉強になります。

しかしです、終わってから娘とふたりで、スパイダーマンの悪口大会になっちゃったんですよね~(笑)。
人として、ヒーローとして、どうよ?!っていろいろと納得できなかったですね。
仲間うちでも、アメコミ好きは多いのですが、なぜか私のまわりにはスパイダーマン好きはいないんです。
友人ともさんざん、議論したのですが(笑)、どうもスパイダーマンのツボってやつが見つからないんです。
友人なんかは「何で赤と青なんだ」とか、そういうデザイン上の最も基本的なことまで言う始末で。これはアメリカの色なんだよ!と言わんばかりに、国旗をバックにしているシーンがありましたが。
一応、原作よりはかなりシックな赤と青にしていますね、さすがに。
今回の黒いスパイダーマンは、なかなかカッコイイですし。

あと、ハリーはかわいそうすぎでした。
たいていは登場人物に同情ってほとんどしないのですが、なぜか今回のハリーには同情しました。
ハリーが出ないんなら、もう観ないぞ!とさえ思ってしまったり・・・と言いながら、やればまた観に行くに決まってるのです(笑)

あれはハッピーエンドといえるのだろうか。

ブライス・ダラス・ハワード、綺麗でした。
ああいうアメコミ風のバッチリメイクも似合うんですね。新しい発見。
あと、ピーターが、ダークになったとたんにモテだす、というのがおかしかったり。。
ヒュー・グラントみたいに腰ふって踊りだしたかと思えば「シカゴ」になってたし。
笑えるシーンがたくさんありました。

しかし、スパイダーマンて弱いなーと思うのです。
キメ技とかもないし、戦闘能力低すぎだと思うんです。
もしも次回作とか考えてるなら、クラスチェンジしたほうがいいんじゃないかと(笑)。
チベットとか行って、山奥で修業してくるとか(バットマンビギンズ?)
X-MENみたいに大勢出てくる中のひとりならこの程度でいいかもしれないですが、ひとりのヒーローとしては弱い気がしますねえ。
そういう身近で、自分に置き換えて見る、子供の視点なのでしょうね、きっと。
話のスケールも小さくて、身内とか身近な人達に限られているし。
まあ、スパイダーマンの世界というのは、原作も古いことですし、ああいうものだと思って観ることにしていますが。

ハリー、父上と同じ格好で登場して、びっくりでした。