SICKO/シッコ

とても良い作品でした!

私は、たいそうな健康保険料を支払っているけれども、最後に病院に行ったのはいつであったか思い出せないのです。
たぶん、最後に行ったのは・・・そうだ、思い出しました。
娘を妊娠して、そのときでした。
そしてそのあとは病院へ通うのはやめてしまい、出産までは助産院のお世話になったのでした。
というわけでかれこれ20年近くの間、病院のお世話になっていません。
これもマクロビオティックのおかげですね。
歯科医院には何度か行きました。
もちろん、虫歯ではなく、詰め物が取れたとかそういうことでね。
しかしそれもここ数年行っていなくて、歯医者さんから忘れられそうです・・・。
ちょっとさみしいです(笑)。
保険証は「身分証明書」としてしか利用していないのです。
ずいぶん高額な身分証明書だわ。

そんな私なので、今回の「SICKO」(=ビョーキという皮肉な意味のタイトル)は、一応観る予定には入っていたものの、内容的に関係あるのかなあ・・・とちょっと思っていたんですね。
で、それはとんでもない間違いであったと、大反省しました。

ポスターに「ひとごとではありません」と書いてあったのですが、そのとおりだと思います。

つまり・・・全てのことはつながっているのです。
いいことも、わるいことも、みんなみんなすべて。
この、地球上のみんながつながっているんです。


医療がテーマではあるのですが、結局のところ、政治的な話なのです。
ただ、いつも彼の作品を観て思うことは、この、今見せられていることはごく一面でしかないのだなあということ。
まだまだ描ききれていないことがある気がしながら終わるんですよね。
それで、これを観た人はいろいろ考えてくださいね、っていう働きかけなのですね。

監督の人柄も伝わってくる作品です。
”敵に塩を”送った場面が最高に面白かったですね。やってくれるなー。

「ボウリング~~」「華氏911」と、この「SICKO」はずっと一貫性があるというか、繋がっている話なのですね。
なので、是非3本を合わせてご覧になるとよろしいかと思います。

国民の恐怖をあおり、やる気をなくさせ、政治への関心を失わせる。
ジャンク・フードを食べさせ、心と身体の健康を奪い、仕事もなく、希望を持つことも失わせるのです。

また、見せ方の腕も上げています。
ところどころにモノクロの古い映画のシーンを挿入したり、音楽でシーンを盛り上げたり(ロンドンはストーンズ!とか)と、
今回のムーア監督は映画的センスもアップしているので、なかなか面白く観ることができました。
皮肉たっぷりなセリフなども、たくさんあって、「うわ、これは笑えないでしょ・・」と思わず笑いをこらえてしまったりする場面も多かったです。
しかしながら、あまりにも酷いことって、笑うしかないよね・・・ってことかな。

公開前はブッシュ政府に、フィルムを没収されそうになって、あわてて海外へ持ちださなければならなかったというエピソードがまた、興味深かったですね。
そんなに公開されたくなかったわけですね。
しかし、そのことがすっかり宣伝効果になっておりますが・・・。


エンドロールの最後のほうに、監督のコメントが入っています。
「果物と野菜を食べて、歩きましょう」
そうそう、病気になる前から治療費の心配をする前に、自分の身体は自分で管理しませんと。

監督は、かなり太めな方で、この作品に登場している時点では、首がなくって、まるで「レミーのおいしいレストラン」のグストーみたいなあごをしているのですが、
聞くところによると、かなりの減量に成功したらしいです。
でも、もっと減らしたほうがいいですよねー。
あの体型はかなりリスキーですよね。
痩せたほうが説得力も増すと思います。
って、それはご自身でも語っておられましたね。

自分が健康でいるということはある意味「義務」であると、私は思っています。
だから、健康でいるために何らかの努力をするということは、いただいた命を大切に扱っていることと同じだと思います。

どうせ何も変わらない、と思うならばその思考自体、思い込まされているのかもしれません。
ムーア監督は行動することで、変わらないと思っていることも変えることができる、と考えているんですね。
これはすでに何かを行動している人の考え方だなあと思います。
そういえばアル・ゴア氏も、同じことを語っていましたっけ。
変わらないさ、と思っている人は、行動しない人。
傍観者かあるいは他人のすることを見て批評するだけの人。

みんな一緒に頑張ろうよ!そんな監督の熱い思いや姿勢が伝わってきます。
ムーア監督のような人は、時代に必要な人だと思います。