RIZE

2018年3月30日


いや~~凄かったです。ただ踊ってる映画なのかと思っていたのですが、甘かったです。
彼らは、「踊るしか選択肢がない」という、いわば極限状態の生活だったのですね。
まったくもって、ノー天気な日本人である自分を恥じた日でした。
本当にこれは、芸術といえるのかもしれません。
でも、アートだとかそういう問題じゃなかったんです。
ストリートカルチャーというものには、必ず社会背景があるものなんだ、って実によく理解できました。
ただのファッションではないのです。



「ここはサウス・セントラル。銃撃戦が日常茶飯事の場所だ。それが嫌なら、踊るしかないんだ」────────トミー・ザ・クラウン
この言葉が物語るように、彼らの住んでいる地域は、外を歩いていて、いつ銃で撃たれて死ぬかわからないという、危険な場所。
L.A.の、サウス・セントラル地区です。

冒頭で「この映画に出てくるダンス・シーンは早回ししていません」という言葉に期待がふくらみます。
しかし・・・暴動のシーンから始まるのです。
そこで「え?!」と意表をつかれます。
そう、それは1992年に起きた、ロス暴動の映像だったのです。

RIZEというのは「這い上がる」という意味。
踊ることを選択しないならば、銃かドラッグしかないという世界。
生きる希望もないその場所で生まれたのが、クラウン・ダンスという独特のダンスでした。
そのダンスには内側から溢れ出る怒りと、大地の神とつながるようなエネルギーが存在するかのようです。
前に観た「愛より強い旅」にも出てきた、魂を浄化するときの踊りにも似ている。
それから、実際に映像としても出てきますが、アフリカ原住民の儀式のダンス。
ある種のトランス状態。顔にペイントするのも、とてもよく似てる。

そして、デヴィッド・ラシャベル監督のファッション・フォトグラファーとしての素晴しい感性にはかなり刺激を受けました。
ドキュメントの映像って、ビジュアルアート的には結構退屈してしまうものが多いんですよね。
でも、この作品は全然退屈しなかった。編集もすごくうまい!と思った。
リアルでいながら、シーンの展開に無駄がなく、そして説得力がある。

それにしても、すごいダンスです。白人や東洋人には決して持つことのできない民族的なパワーを感じました。

最近、渋谷の劇場に通ってるなあ・・・。
でも、ちょっと観ずらいのが難です。あの劇場・・・。オシャレな建物なんだけどね。
今のところ、劇場はヴァージンシネマズ六本木がお気に入り。THXの音は、やみつきになります。

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トミー・ザ・クラウン (出演),‎ ラリー (出演),‎ デビッド・ラシャペル (監督)
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